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一寸先は沼

幼稚園の頃、毎年遠足に行く場所のひとつに園児の間で「底なし沼」と呼ばれていた沼があった。誰が言い出したかわからないけれど、その底なし沼には沼の主が住んでいて、その主の目は赤く光っているらしい、ということは、園児みんなが知っている有名な話で、沼にかかる丸太の一本橋を渡る時はいつも、主に見つからないようにドキドキしていたものだ。

大人になるまで、というか、つい最近まで、「沼」という言葉を聞くとまっさきに思い出すのがこの底なし沼の話だった。

ところがである。いつのまにやら世の中では「沼」という言葉に別の意味が加わっていて、私はこの数年でまんまといろんな沼に遭遇し、どっぷりとつかることになった。

ネットで「沼 意味」と検索すると、まっさきに出てきたのがこれ。

沼(ぬま)は中小規模の水域のことであり、「どっぷりハマって抜け出せない状態」の比喩に用いられる表現であり、最近では「趣味にハマる」「オタク趣味」という意味でよく用いられる表現である。「沼にハマる」「沼に引きずり込む」「沼る」「ボカロ沼」「沼ガール」のような表現で用いられることが多い。

https://www.weblio.jp/content/%E6%B2%BC

何かにどっぷりハマることを最初に「沼る」と表現した人を何かしらで称えたいぐらいに、どんぴしゃの比喩。

1つ沼にハマってしまうと、その沼は思いのほか深く広く、おまけに別の沼にもつながっていたりして、ハマり方を誤るとずぶずぶと心身ともに持っていかれて身の破滅につながりかねなかったりもする。こわわわわ。

だけど、沼があるから人生が楽しい、というのもまた事実。

例えば私が今どっぷりつかっている沼の1つが野球観戦なのだけれど、夫に連れられて試合を観に行くようになったところから始まって、観戦数が増えるにつれ推しの選手ができ、そのうち他の選手のことも知ることで推しが増えていき、結果チーム全体を推すようになり(ちなみに北海道日本ハムファイターズが好きです)、おまけにTwitter(じゃないや、Xか)で推しの情報を追っていると自然と他球団の選手の情報も流れてくるので目に留まるようになって、ずぶぶぶぶぶぶぶ。ちょっと前まで「なんであんなに何時間も試合を観てられるんだろう」と思っていたのに、今やホームのユニフォームもビジターのユニフォームも選手の応援タオルも球団公式グッズも完備し、週末になると各地の球場に足を運んで応援歌を歌い、平日も推しの試合結果に一喜一憂するまでになってしまった。もはや野球がない日々を想像できない。自分でもびっくりである。

他にも、カメラ沼にもどっぷりハマっているし、高橋一生沼にもハマっている。沼は多ければ多いほどいい、というわけではないと思うけれど、それぞれの沼に楽しみがあり、それぞれに仲間がいたりもして、それもまた日々を充実させてくれている。

そして忘れてはいけない。いつだってハマる瞬間は唐突にやってくる。一寸先は沼。ここから先も、まだまだ想像していない沼にハマっていくのだろうきっと。どんな沼が待ち受けているのか、怖さもあり、楽しみでもあり。いろんな沼を知って、世界を広げていける大人でありたい。

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