見出し画像

きっとまだ大丈夫

わたしは決して記憶力が良い方ではないのだけれど、3歳以前の記憶が2つだけある。

1つは、ハロウィンの日。近所のお姉ちゃん、お兄ちゃんに連れられて、住んでいたマンションの家をまわってtrick or treatをやった時のこと。階段を上って、ピンポンをして、ドアが開いて、出てきた夫妻が満面の笑みでお菓子をくれた、という一場面を、なぜか鮮明に覚えている(当時コロンビアに住んでいた)。

そしてもう1つは、父の野球の試合を観に行った時のこと。当時父は職場の草野球チームに入っていて、その試合を母と観に行って、わたしたちがいる方にボールが飛んできて…というような光景を、うっすらと。

父は転勤族だったのだけれど、転勤する先々で職場の草野球チームに入っていたようで、その後も何度か父が野球をする姿を観ている。一般的にいう「女の子らしさ」というものをほとんど持ち合わせていなかったわたしは、おままごとやお人形遊びには全く興味を示さず、外で木登りや追いかけっこや体を動かすことが好きな子供だったので、週末には時々父と一緒にキャッチボールをした。自分が投げたボールが、まっすぐ父のグローブにおさまった時は最高に気持ちよかったし、父の投げるボールをバシッとキャッチできた時も、快感だった。今思えばわたしたちはキャッチボールを通じて、親子の会話をしていたのかもしれない。

その後、小学校4年生ぐらいにわたしはサッカーにハマる。5・6年生で男子に混じってサッカーチームに入り、中学校は女子サッカーチームがなかったのでバスケ部へ。高校でもバスケ部に入り、社会人になってからは再びサッカーに戻ったので、結局これまで野球チームに所属したことはない。強いて言うなら、体育の授業でソフトボールをしたり、チリに住んでいた頃に日本人会で定期的に開催されていたソフトボール大会に参加した程度。

それでも、30歳を超えた今でも、野球という存在はとても大きくて。夫の影響で野球観戦にもどっぷりはまっているけれど、気分転換をしたくなるとわたしの足はバッティングセンターに向かう。就職活動の最終面接の前日も、肩の力を抜きたくてバッティングセンターに行ったし(面接当日、ものすごく筋肉痛だった)、なんか息が詰まってるなーと思った時もバッティングセンターへ。

昨日も、「休み、何したい?」と夫に聞かれて、すぐに出てきた答えは「バッティングセンターにいきたい」だった。神宮球場にあるバッティングセンターで、楽天の則本を相手に4ゲーム80球。

バットを握りしめ、ボールだけに集中する。思いっきり、バットを振る。盛大に空振ったり、かろうじて当たったり、時々(本当に時々)気持ちよくボールが飛んだり。当たっても当たらなくても、他のこと全部置いといて目の前のボールに向き合う時間。心地よい疲れと、爽快感。思うように打てない悔しさ。感覚がつかめてきて、いける、と思って調子に乗って2ゲーム連続でやると、疲れてフォームが崩れたりして、やっぱりちゃんと自分の体力と相談しながらやらないとできてたこともできなくなるんだな、なんて痛感したりもして。

それでも。

自分の限界を、ちょっとだけ、超えていく。

昨日のイチローの会見での言葉。

もう少し、速く。もう少し、高く。もう少し、もう少し。そうやって、1球1球と向き合うことで、少しずつできるようになって、手応えを感じられるようになって、うん、なんか、まだいけるかもって、ちょっと自分に自信を取り戻せたり。

きっとまた近々、バッティングセンターに行くんだろうなあ、わたし。


#野球 #リフレッシュ法 #旅しゃぶ野球部 #旅しゃぶ更新部 #エッセイ


ありがとうございます!いただいたサポートは大切に写真や文章の糧にさせていただきます*