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ゲーマーを社員として雇用するとはどういうことか

かつてプロゲーマーを社員として雇用する制度を採用した会社で働いていました。(プロゲーマーのマネージャー的なポジションをやっていました)
プロゲーマーは会社員として会社に所属し、練習や大会に参加する。
一般的にスポンサーが担っている役割を会社が負担する代わりに、自社の商品やサービスをプロゲーマーが積極的に広報活動を行う。
またその商品やサービスの開発にアドバイザー的な立場で携わることもできる。そしてもちろん毎月の給与ももらえる。
かつで私が所属していた組織でそのような制度を取り入れていた。
格闘ゲーマーとクラロワプレイヤーにゲーム実況者が所属し、平常時は会社に毎日出社して社内で練習を行っていた。
ひとつのオフィスにゲームをつくる人とゲームをプレイする人、そしてビジネスサイドのひとがいる様は今思えばとても不思議な空間だったと思う。

企業に所属するというデメリット

ゲーマーにとっては恵まれた環境である一方で、デメリットもあった。
マネジメントコストが普通の社員の何倍もかかるということが一つにあげられる。
プロゲーマーであり社員というのは公人であり私人でもある。
ゲーマー社員はタレント事務所のような業務委託契約ではないので、会社員としての直接雇用契約を結んでいる。
しかしながら彼らはときにTVやイベントなどに出演する仕事もしている。
その場合のギャラは個人に入るのか?それとも会社に入るのか?
個人に入るのであればそれは副業であり、個人で管理をしなければいけない、会社であれば業務である以上その活動は休日出勤や深夜残業となることもある。さらにYoutubeやTwichでストリーミング活動をしていた場合はその収益はどうなるのか?毎日深夜まで配信していたらその分深夜残業を払わないといけないのか!?
そのようなことが仕事が入るたびに毎度毎度発生する。

会社員であり公人であるというリスクを負う覚悟

また会社員ということはその会社のイメージを背負うことになる。
それは通常のスポンサーとは大きく異なる。もしなにかプロゲーマーが問題発言や行動を起こしたときスポンサードであれば打ち切ればそれでいい。
スポンサードを降りることを非難する人はいないだろう、むしろそうすることが多くの人が望むことになるだろう。
しかし社員ともなるとそうはいかない。会社は一度雇用契約を結んだ社員をそう簡単に一方的に解雇することはできない。SNSなどで問題発言をしたから、成績が奮わず活躍ができなかった、という理由だけで解雇できない。
だからこそプロゲーマーと会社の間でとてつもないくらい信頼関係が強く結ばれていないと成立しない。
1度社員としてゲーマーを雇用した以上は成績が悪くても、問題行動を起こしても、世間から批判されても一緒にやっていくという覚悟が求められる。
それをリスクと感じる人も少なくはないだろう。
(そもそもesports市場に新規参入すること自体がそもそもリスクなのでw)
あとそのプロゲーマーがプレイしているゲームがいつまで人気が続くのかなんてことは誰にも分からない。ゲームの人気が衰退したとしても一緒にやっていけるか、別の道を模索し、活躍できる場を探せるかどうかを考えなければいけない。

覚悟からしか生まれないものもある

リスクの話ばかり書き連ねたが決して苦い思い出だけが残っているわけではない。
もしろやって良かったと思っている。上記のようなリスクをとるからこそ、いままでの仕事より覚悟も持って臨むことができる。
そしてその覚悟から生まれる信頼関係があり、彼らの活躍を心の底から湧き上がる感動がある。それは何事にも代えがたい経験であったと自分でも思う。
選手に社会人としてのふるまいを教え、彼らのゲームに対する想いに耳を傾け、試合の結果に一喜一憂する。ときには彼らに近づくよからぬ輩を追い払うようなこともした。思いがなかなか伝わらず夜中叫びたくなるようなこともあったし、上司として彼らの想いを受け止めきれずに歯がゆい思いをしたこともあった。

まとまりがない内容で申し訳ないのですが、一番最初に思い付いたことを文章にしてみました。恐らくそれが混じりっけなしの自分の気持ちであると思います。
ゲーマーを社員として雇用する件については、また時間をもう少しビジネスよりなお話しが書ければと思います。
今回はエモーショナルな話ばかりでどうもすいませんでした。
最後まで読んでくれてありがとうございました!

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