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『ハイ・ライズ』と『BEGIN AGAIN / はじまりのうた』

前回の『クリムゾン・ピーク』で、次は、感情の深堀りがされているトム・ヒドルストンの出演作品が観たいと書いたのだけれど、またもや何を考えているのかあまり分からない役を演じている一本を選んでしまった。

観終った感想は、「なんじゃこりぁ~?!」


18禁。現代社会において大抵の国ではあけっぴろげにして語ることがタブーであるテーマについて、イギリス人はそれらをユーモアに包んでしれっと取り上げてしまうところがある気がする。「なんじゃこりぁ?」という感想の中にも、さすがイギリス人だね、とその寛容さに納得する変な作品だ。階級の違い、セックスとセクシュアリティー、ドラッグ・・・。エゴまみれで、いびつで、滑稽だけれど、全部含めて、いろんな面を持っているのが人間なんだ、仕方ないじゃないか、と。

登場人物は、世間の常識から考えると全員頭がおかしいのだけれど(嫌なら引っ越せばいいしね)、世間の常識って一体何?というところから見直すと、色んな人間心理の妙味が浮かんでくる。そして一応、理不尽なことに抵抗してみる。

これは、ホラーでもないし、コメディーなのか、どんなジャンルに分類すればいいのだろう。ウィキによると、原作はディストピア(つまり暗黒郷)・フィクションに分類されている。なるほど。

トム・ヒドルストンがこの作品に出演することを決めたのはちょっと意外な気がするけれど。ルーク・エヴァンスが一番いい味を出していた。

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そう言えば、ロキも何を考えているのかよく分からない一貫性のないキャラクターだし、ヒドルストン氏はそういう役が多いのかも知れない。



こちらは、シンプルにまとまっていて、良かった。やっぱりキーラ・ナイトリーはすごい役者さんだなぁ。アダム・レヴィーンが、最初の方の無名感と超売れっ子になってからの垢抜け感の差を上手く出していた。5年も一緒にいて、死ぬほど愛していた男性と別れてから、悲しみに沈みながらも、自分を見失わないグレタのあの潔さはすごい。そしてマーク・ラファロ演じるダンも、擦り切れた感じがとっても良くて、適役だった。スティーヴがパーティーで、踊らずにはいられないような曲をかけ、絶対に踊ってはいけないとルールを作るところ、いかに音楽には人を動かす力があるかを知らしめるシーンだ。



さて、映画もいいけれど、現実に戻って明日は確定申告を終わらせるぞ。

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