江洲永一

空想と妄想による私的叙想集。 この物語はフィクションです、たぶん。

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最近の記事

村上春樹 - 海辺のカフカ #002

「村上春樹、読んだことある?」 読んだことはなかった。もちろん名前くらいは知っている。本のタイトルも数作は言える。頭にいくつか思い浮かべてみるが、もしかしたら村上龍の作品が混じってしまったかもしれない。 「面白いから読んでみて」とスミレは二冊の本をぼくの前に差し出した。『海辺のカフカ』というタイトルだった。上下巻。けっこう分厚い。もともとぼくは他人から何かを勧められるのが苦手だ。断りにくいし、選り好みが激しい自分に合う可能性はほとんどゼロに近かった。しかし、推薦者がスミレ

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    • trf - CRAZY GONNA CRAZY #001

      「あ、これ、わたしのことなんだよ」とナツミ先輩が唐突に言った。 少し呆気にとられた表情を浮かべている自分を見て、先輩は「ほら、この曲」と天井を指差す。店内にはtrfの"CRAZY GONNA CRAZY"のイントロが流れていた。知っている曲だったが、はたして先輩のような人物が曲中で歌われていただろうか。気にはなったが特に歌詞を先読みすることもせず、同時進行で流れる詞に耳を傾けることにした。 きょうは先輩の買い物の付き添いで駅前まで来ていた。12月に入ると街は一気に慌ただしく

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