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4-2-2-2なのか4-3-3なのか

お久しぶりです。エスケーです。さて、後半戦になりファンタスティック・フォー(エンバペ、イカルディ、ネイマール、ディマリア)の起用が増えましたね(ファンタスティック・フォーは長いのでMINDでいきます)。ここで問題になるのが守備面です。CLなどで強豪を相手にする場合、MINDを起用するのか、1人削って中盤を増やして守備を安定させるべきか。どちらがいいのでしょうか、さっそく見ていきましょう。

4-3-3

まずは前半戦で多く使われた4-3-3について話していきましょう。ここではアウェイ、レアル・マドリード戦を判断材料にするのがいいのではないかと思います。

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こちらがレアル・マドリード戦のスタメンです。ネイマールは怪我明けでスタメン起用できませんでしたが、4-3-3のベストメンバーと言ってもいいのではないでしょうか。まずは1失点目を見てみましょう。15分にディマリアが左足でクロスをあげたものの味方には合わず、マルセロにボールが渡ります。ここで何を思ったか、ムニエがマルセロに対してプレッシャーをかけます。

レアル戦分析・ムニエ

完全に衝撃映像です。この距離感でマルセロ相手にプレッシャーかけるのは自爆行為です。案の定、余裕でかわされ、アザールへとボールが渡ります。このアザールに対してマルキーニョスがプレッシャーをかけ、戻ってきたムニエと共にボールを奪おうとします。しかし、世界屈指のドリブラーであるアザールからボールを奪えず、中にドリブルを許してしまいます。ここで中盤でボールを刈り取れるゲイェがいるのですが、ここでもアザールの間合いには飛び込めず、アザールからバルベルデへとボールが渡ります。このあたりからパリの中盤のバランスが崩れているように思えます。マルキーニョスがアンカーの位置にいないんですよね。

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スクリーンショット (38)

だいたいこんな感じの位置です。ムニエがおかしな位置でプレッシャーをかけたのでマルキーニョスのカバー範囲がとんでもなく広くなってしまったのです。本来マルキーニョスは攻められている場合、下図のような位置にいるべきだったのではないでしょうか。

スクリーンショット (42)

マルキーニョスを軸にヴェラッティとゲイェを動き回らせる。これで中盤のバランスが保たれていましたが、マルセロとアザールがこのバランスを崩したのです。続いてはこちらの写真。

レアル戦分析

このバランスさえ整っていれば守備はどうにかなると思っています。ナバスがノーチャンスの状態さえ作らなければいいのです。ですが、ムニエがプレッシャーをかける判断ミスをしたとき、そしてその判断ミスをマルキーニョスとゲイェがカバー出来なかったとき、一気にピンチになります。

ハーフタイムを挟み、トゥヘルは後半にゲイェを下げ、ネイマールを投入します。中盤を3枚から2枚に、前線を3枚から4枚へと変えます。この日のネイマールはまだ怪我明けで調子が完全には戻っていませんでした。この状況でトゥヘルは74分にイカルディとディマリアを下げ、ドラクスラーとサラビアを投入。エンバペをCFに、ネイマールをトップ下に動かし、ドラクスラーが左、サラビアが右に。ここから1失点するもの、なんとかエンバペとサラビアが2点を返し、2-2の引き分けに持ち込むことになります。

以上のことから

4-3-3は中盤3枚(マルキーニョス、ヴェラッティ、ゲイェ)でボールを奪える場合は有効だが、ムニエなどのカバーによって中盤のバランスは崩れる可能性が高く、攻撃面でもMINDを下回る。

ということがわかりました。

4-2-2-2

次に、4-2-2-2を見ていきましょう。

スクリーンショット (30)

これは1/13のモナコ戦。3-3で引き分けたときのスタメンです。4-2-2-2のいいところと悪いところ、この二面性が見られた試合だったのではないでしょうか。いいところは言うまでもないですが、MINDの攻撃力ですね。1/9のサンテティエンヌ戦から3戦連続でMINDの起用が続いていますが、合計で13得点を奪っています。しかもそのうちの10点はイカルディ、ネイマール、エンバペのゴールです。日を追うごとに洗練されるMINDのコンビネーションは欧州でもトップレベルでしょう。

そして、4-2-2-2の悪いところです。それは守備面です。この試合でも顕著に現れていましたね。ただ、これに関しても、4-3-3同様にMINDというより中盤と最終ラインに問題があったように思えます。1/13モナコ戦の1失点目を見てみましょう。

スクリーンショット (33)

6分30秒あたりのシーン。リプレイから中継に戻ったときにはすでにこの状態でした。ムニエがディフェンスに戻っておらず、マルキーニョスがカバーに入り(ほぼ右サイドバックの位置)、中がスカスカ状態。ヴェラッティが最終ラインまで戻るのですが、シウバはカバーに入ったマルキーニョスのカバーみたいなことをすることになります。そこで最終ラインの中央にいるのがヴェラッティとベルナトになってしまいます。ここで完全にジェルソン・マルティンスがフリーに。ここでのセスクの位置取りとベンイェデルの動きが秀逸で、この動きにPSGは対処できませんでした。セスクは常にシウバとベルナトの間に位置を取ります。この位置取りにより、シウバとベルナトはセスクに注意しないといけない状態になります。ベルナトは常にジェルソン・マルティンスの位置を確認していましたがセスクが中にいるので中に絞っていないといけませんね。そして、ゴロヴィンからセスクにパスが来た瞬間、シウバとベルナトは完全にボールウォッチャーになりベンイェデルが視界から消えます。フリーで抜け出したベンイェデルはナバスに止められてしまいますが、ずっとフリーだったジェルソン・マルティンスが詰めてゴールを決めます。

ここでの問題点は2つ。まず守備陣形を整える前に攻撃されてしまったところ。リプレイから中継に戻ったときにはぐちゃぐちゃでした。今、モナコの順位は高くないとはいえ、個々の力はリーグ・アン屈指です。これだけスペースを与えてしまうとチャンスに繋げてくるでしょう。ということはCLレベルになるとどうなると思いますか?考えたくもないですね。

2つ目は右サイドで人数をかけたのにボールを奪えなかったところです。まずムニエがディフェンスに戻れていなかったのでマルキーニョスがカバーに入ります。ここでパリはボールを奪いにいかず、引いて守ることを選択します。ただどこかで奪いにいかないといけないですね。この判断が遅れてしまったのが失点の原因なのではないかと思います。6分30秒の時点ではゲイェが戻れていなかったのでマルキーニョスの奪いに行かずに引いて守るという判断は間違ってないでしょう。ただゲイェが戻ってきた6分40秒のシーンでゲイェは全力で奪いに行くべきでした。ボールを奪うところの判断を間違えてしまうと一気に失点まで持っていかれるということがわかりますね。

レアル戦とモナコ戦を見て思ったのは、マルキーニョスにゲイェとムニエの2人をサポートするのは不可能ということです。どちらか1人にするべきでしょう。ムニエの守備は相変わらず軽いのでサポートが必須です。このサポートを出来るのはシウバくらいです。レアル・マドリード戦でもマルキーニョス、ムニエ、ゲイェは近い位置でプレーしていましたが、1失点目のアザールにブチ抜かれたときもこの3人でした。この3人のフィルターを破られたときに出来る守備の穴が大きすぎるなと。

スクリーンショット (35)

個人的には、4-2-2-2を起用するならこのフォーメーションではないかなと。ベルナトのところをディアロにするのもアリだとは思うのですが、ベルナトのビルドアップ能力を考えると出来れば外したくないですね。そして、ダグバとケーラー。彼らが強豪相手にどれだけ戦えるのかは正直未知数です。特にケーラー。今季は怪我をして全然試合に出ていません。しかし、昨季のリヴァプール戦のパフォーマンスを取り戻せばやはりこの人がスタメンでしょう。

おわりに

まぁ要するに何が言いたいのかというと、4-2-2-2は継続し、マルキーニョスのカバー範囲を出来るだけ小さくさせるべきではないかということを言いたいのです。もちろんパリの中盤、マルキーニョス、ヴェラッティ、ゲイェの3人は世界でも屈指の3人でしょう。ただ、MINDの方がより世界トップレベルに近いでしょうし、MINDをどう活かすかということを考えたほうがいいのではないでしょうか。ネイマールも4-2-2-2を継続するために守備も努力すると述べています。

MINDがしっかり守備に奮闘し、マルキーニョスのカバー範囲が小さくなれば、強豪相手にも通用するシステムになるのではないでしょうか。

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