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もぐる。

 車内誌の連載をはじめて5年目に突入している。基本的には「北海道の生き物と生き物周辺」の取材をライフワークとしているので、自ら現場におもむくよりも、現場に出ている人の話を聞くことが多い。のだが。年に数回は体にむち打つこともある。

 取材のイメージからアウトドアな人の印象を持たれるが、実際は部屋で体育座りして海外ドラマを見ている時間の方が圧倒的に多い。デスクワーカーにありがちな慢性的運動不足でもある。ただし、好奇心の体力だけは友人たちがあきれるほどあり、それで体が悲鳴をあげている。

 無茶はしない。無理して見ようとしない。相手は野生。そんな信条なものだから、たいていお目当ての生き物には会えないし、まあ、おびやかすくらいなら会わなくていい。という気持ちで、条件やマナーが許せば生息地を観察することもある。

 登らなくても話は聞けるが、生息地は五合目以上と言われれば二年ぶりの登山もする。川の専門家が来ますよと聞けば締め切り明けでも長靴持参して参加する。調査の船に乗れますよとチャンスがあれば、シケシケの波に乗りながら甲板で海面を見続ける。

 そして今回、水中を見ることもできますよとの提案が。水槽ではなく湖の底。以前、水中のカメラマンでもあり調査員のHさんから川の中で見る魚の魅力を聞いていたので、ものすごく好奇心をくすぐられてしまった。初めてのウエイト、初めてのレギュレーター。どころか、ほぼ初めてのシュノーケル。初心者なので浅瀬での体験となったが、お目当ての魚に出合うなどの幸運もあった。こういうところで、こんな風に泳いでいるのか。実際に見ることで紙に向かう時の考え方が変わる。思い描くときに想像力以上の質感が加わる感じ。ま、だからといって傑作が生まれるかどうかはわからんのだが。

 というわけで、今回も運動不足MAXからの運動MAX状態に身を置いたもので、先月の「運動不足からの登山で筋肉痛フィーバー」に続編が加わることになってしまった。なんで腕がだるいのかわからないし、明日はたぶんロボコップ。何だか取材に、じゃっかんのガチャピンチャレンジ感が増してきた。ガチャピンの内臓はどんな仕組みかわからんが、エトブン社の内臓はワタクシの身一つなので大切にしたいと思う…のですぞ。

 今回の取材地。風不死岳にレンズ雲。天気が心配になる雲だけど、なんとかもってくれた。晴れ女というよりも曇天女だなと思う。



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