親子

上場企業の子会社になるということ

ほんとはWantedlyのブログに書くつもりだったんだけど、どうもあそこだと”公式色”が強すぎるのでいつものように気楽に書けない。

というわけで、会社の話だけどnoteに書いてみることにする。

「子会社になる」という選択

スナップマートがフォトストック大手のピクスタに事業譲渡され、100%子会社になるというリリースが出た後、新会社の代表になった私のもとには凄まじい数のチャットやメールが飛んできた。

その後も毎日のようにいろんな人に会ってその話をされるのだけれども、感想はポジネガ半々といった感じで、「よかったね」という人と「残念だったね」という人の真っ二つに分かれた。

ただ、自分がそもそもスナップマートでやりたかったことに立ち返って考えると、決して悪い着地ではなかったと個人的には思っている。

子会社になることは「残念」なのか

もちろん、「残念だったね」という人の言わんとしていることもわからないでもない。確かに子会社として事業をスタートさせることにはそれなりのデメリットもあった。一番大きなデメリットは、「上場」「売却」といったイグジットがなくなることだろう。

これについて、ここまでの私と夫の苦労を知っている人たちからは何百回と「もったいない」という言葉を聞いたが、正直そこについては私個人はなんとも思っていない。

というのも、やはり100%自己資金で事業をゼロから立ち上げたときとは金銭的な苦労に雲泥の差があるからだ。リスクがない分リターンもないというのは当然のことだろうと思う(夫は私を手伝うために会社を辞めているので私よりはリスクを取っているが)。

子会社であることのメリットは計り知れない

一方、子会社として事業をスタートさせることにはメリットもあった。一番大きかったのは、親会社の「信用」を借りられたことだ。

実際に自分で会社を作ってみるとわかるが、社歴のまったくない零細企業と上場企業の子会社とでは、都市銀行に法人口座を開く、オフィスを借りるといったような契約を要する場面で、手続きの進み方がまったく違う。

本当に大げさでもなんでもなく、水戸黄門の印籠くらいの効果があった

また、そういった手続き関係も以前の起業のときは全部自分たちで勉強しながらやらなければならなかったが、今回は経理や法務、総務といったバックオフィスの業務をすべて親会社で肩代わりしてもらっている。

私たちはただビジネスをグロースさせることだけに注力できるので、これは本当にめちゃくちゃ助かっている。

最大のメリットは本当に「やりたいこと」ができること

ただ、個人的に思う子会社の最大のメリットは、最初にデメリットとして述べたことの裏返しになるが、無理な資金調達をしなくてよくなったことじゃないかと思う。

昨今のスタートアップの王道は、自己資金またはエンジェル投資で事業を立ち上げて、VCや事業会社に投資をしてもらい、上場や売却を目指すことだろう。ただ、私はどうもこういうイグジットありきのスタートアップに違和感があった

少なくとも私のやりたいことは「資金調達」でも「上場」でも「売却」でもなく、ただ自分が「こういうものがあったらいいな」と思うものを作り、それをできるだけ多くの人に知ってもらい、誰かの生活や人生をちょっとでも良くしたいということだった。

それなのに、VCや投資家に会うとふた言目には「市場規模が小さい」とか「グロースに時間がかかる」というようなことを言われ、調達のためにビジネスプランを大幅に変えるよう勧められたりした。

確かに、ビジネスプランを変えて人工知能やフィンテックみたいなバズワードに乗っかっておけば、比較的容易に資金は集められるかもしれない。だけど、それは私のやりたいことではないし、第一に私はその道に詳しいわけでもなんでもないので、自分がやる必然性をまったく感じない。

仮に無理やりバズワードに乗っかって調達がうまくいったとしても、その先が続かないだろう。事業は良いときばかりではない。雨の日や嵐の日に這いつくばってでも踏ん張れるかどうかは、自分がどれほどそのビジネスの可能性を信じられるかにかかっている。

いろんな考えの人がいるのでイグジット狙いの起業を否定するわけではないし、レバレッジの重要性も分かっているつもりだけれども、私は「調達のためのビジネス」ではなく、自分が良いと思うものや人のお役に立つことで対価を得る「当たり前の商売」がしたかった。

よく言われる「スケール」というのは、そういう当たり前の商売が個々のユーザーに受け入れられた結果に過ぎないのではないだろうか。

ともあれ、そういう「ない市場」についての市場規模の算出を求められたり、前例のないことを証明したりといった「数字あそび」をしなくてよくなったことは、私にとっての大きなメリットだったと思う。

この一点だけ見ても、子会社になって良かったと言えるだろう。

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えとみほ(江藤美帆)

サッカークラブではたらいています。Snapmartのというアプリの開発者です。

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コメント2件

本当にそうだと思います。僕がライターとして仕事をもらっている某社も、ビジネスモデルを修正して事業が回るようにはなったみたいですが、それは社長が本当にやりたかったことなんだろうかと、そこが一番心配で。個人的にはどこかに事業を買い取ってもらって(要は子会社化ですよね)、あまり口出しをされずに済めばそれがベストだと思っていたのですが、今のところそのつもりはないようで・・・ま、自分は外部からのサポートしかできないのですが。
そうですね、子会社がみんなハッピーかというとそうでもないみたいなので、私の話は「良い買い手がつけば」という条件付きの話なのだと思います。買収されてすぐクビにされたり事業潰されたりするケースもあるので、あくまでも独立自主にこだわるというのも1つのあり方ではないかと。
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