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らむね。紙芝居シアター「リス君の不思議な冒険」

5月16日に配信した紙芝居です。この作品は、私が小学校5年生の時に、学校の授業で作った「物語絵本」を元に、配信用に内容を短くしたものです。あまり長いと間延びしちゃうので、だいたいいつも、画用紙10枚前後にしています。

「物語絵本」を作った時、手書きではありましたが、表紙や裏表紙を付けて、製本テープを貼って、それなりに「本」の形にしてもらえました。作ったら、全員の作品を学級図書に並べて、自由に読むことができました。自分で作った「本」が並べられて、誰かが読む・・・なんて、なかなかできない体験だったので、ちょっと恥ずかしいような、でも嬉しいような気持ちで、とても印象に残っています。そういえば、このときの先生は、「創る」ことを大切にしていて、小さな紙に各自が絵を描いて、好きな色の紙を選んで、たくさん印刷してくれて、「自分だけのメモ帳」を作ってくれました。自分の絵が入ったメモ帳を使うっていう感覚がすごく嬉しかったのを思い出します♪

それでは、はじまりはじまり~

「リス君の不思議な冒険」

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ある日のこと。いたずらが大好きで、いつも元気いっぱいのリス君は、公園にある大きな池でボートに乗って「冒険ごっこ」をしていました。

「さぁ、幻の宝を見つけるぞー!あ、でも、そろそろおやつの時間だから、おやとを食べてから冒険に出かけよっと」

公園の時計は、午後3時をさしていました。リス君がボートを動かそうとした時、急に強い風が吹いて、リス君を乗せたボートはすごい速さで進んでいきました。

「ひゃーーーーーーー!!!!!」

リス君はボートのかどっこに頭をぶつけて、気を失ってしまいました。

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「う・・・ん・・・。ん?ここは、・・・どこ?」

リス君が目を覚ますと、周りが砂ばかりの島にいました。

リス君はボートから降りて、少し歩いてみました。遠くに人影が見えたので、寄っていって話しかけてみました。

「あの、ここはどこなの?あなたはだあれ?」

その人は、澄んだ声で答えました。

「私は、くじら姫。ここは私の島、くじら島です」

「え?く、く、く、くじら島????!!!!」

くじら島というのは、昔話に出てくる伝説の島。リス君も昔、おばあちゃんから効いたことがあったんですが、まさか、その伝説の島に自分がいるなんて、びっくりしました。

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「あの、くじら姫さま。ぼく、いつのまにか、ここに来ちゃったみたい。ぼく、ウサギちゃんやタヌキ君がいる森に帰りたいの」

「あら。風のいたずらで、ここに来てしまったのね。それでは、この地図をあげましょう。星のマークがある場所、『宝石の泉』にたどり着くことができたら、願いが叶うでしょう」

リス君は、くじら姫から地図を受け取ると、だんだんワクワクしてきて、目がキラキラしてきました。

「わぁー!本物の冒険だぁー!」

リス君は早速、冒険に出発しました。

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大きな川があったり、湖があったり、いくつか難所がありましたが、リス君はどんどん進み、大きな木の前に出てきました。すると、大きな木から女の人が舞い降りてきました。

「私はハト姫。ご用件は?」

「ぼく、森へ帰るために冒険をしているの!さっき、くじら姫さまに教えてもらった『宝石の泉』に行きたいの」

「宝石の泉。そこへは、秘密の道を通らなくてはいけません。くじら姫の地図を持っているあなたには、特別にこの剣を授けましょう。これをライオン山の頂上にある建物に刺しなさい。そうすれば、秘密の道が現われるでしょう。刺す場所は、すぐにわかりますよ」

「ハト姫さま、ありがとう!!!」

リス君は剣を持って歩き出しました。

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少し進むと、真っ黒は湖に出ました。湖の中から、女の人が現われました。

「われはカラス姫。その剣は秘密の道に導く剣じゃな。その剣をわれに寄こせば、そなたにこの美味しい木の実をあげましょう」

それは、虹色に輝く、不思議な、美味しそうな木の実でした。

「わぁ、見たことのない不思議な木の実だなぁ。でもね、ぼく、ウサギちゃんやタヌキ君がいる森に、早く帰りたいんだ-」

「その剣を寄こせーーーーー!!!」

リス君は、カラス姫に剣を奪われそうになりましたが、一生懸命走って、逃げることができました。

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どんどん進んでいくと、ライオンの形をした山が見えてきました。

「あ、あれがライオン山だな!もう少しだー」

ライオン山に向かって歩いていると、途中、木や草でうっそうをした湖に出ました。

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リス君が湖をのぞき込むと、それはそれは大きな女の人が現われました。

「わたしくしは、恐竜姫。そなた、秘密の道へと導く剣を持っておるな。わたしくしに差し出せ。そうすれば、そなたに立派な城をあげましょう」

「お城?お城に住むなんて、すごいことだなぁ!でも、ダメだよ。これは、ハト姫さまが貸してくれたものだし、ぼく、ウサギちゃんやタヌキ君がいる森に、早く帰りたいんだ」

「むむ。なんと生意気な!!」

恐竜姫は、口から火を吹きながら、リス君を追いかけてきました。リス君は逃げる途中、ころんで膝がすりむけました。それでもリス君はすぐに起き上がって、素早く木や草の陰に隠れながら一生懸命走り、なんとか逃げ切りました。

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ついにリス君は、ライオン山に到着しました。頂上に行くと、星のマークが書いてある建物がありました。

「やっと見つけたぞ!ここに剣を刺せばいいんだな!」

剣を刺すと、まばゆい光がリス君を包み、光の妖精が現われました。

「あ、道だ!これが秘密の道なのかな?」

リス君が光の妖精に導かれてついて行くと、キラキラ輝く泉に到着しました。

「宝石をあげましょう。どんな宝石が欲しいのかしら?」

「あのね、ぼく、宝石はいらないんだぁ。ぼく、ウサギちゃんやタヌキ君がいる森に帰りたいの。ぼくを森に帰してください」

「わかりました」

光の妖精は持っていたステッキを振りました。するとリス君は宙に浮き上がりました。

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「う・・・ん・・・。あれ?」

リス君は、いつもの公園にある池に浮かべたボートに乗っていました。

「あれ?夢・・だった・・・?」

遠くから声が聞こえました。

「リスくぅーーーん!クッキーが焼けたわよーー!」

「あ!ウサギちゃんの声だ!」

リス君は、おやつの準備をしているウサギちゃんとタヌキ君のところへ行こうとしました。

「いたたた・・」

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リス君の膝には、すりむいた傷がありました。

「あれ?この傷・・」

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「今日はね、ニンジンクッキーと、かぼちゃクッキーよ」

「わぁ、美味しそうだねぇ」

リス君は、いつもの変わらない、ウサギちゃんとタヌキ君を見て、とても安心して、嬉しくなって。なんだか、涙があふれてきました。

「あら?リス君、どうしたの?」

「あのね、あのね!」

美味しいクッキーを食べながら、リス君はさっき冒険したことを話しました。ウサギちゃんとタヌキ君は、楽しそうに聞きました。

公園の時計は、午後3時を少し過ぎたところでした。

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おしまい

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