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語学勉強でのネットの利用の仕方

 さて、インターネットを語学の勉強に使わない手はありません。世界には6,000もの言語があると言われていますが、おそらく結構なマイナー言語もネットを通じて勉強することができるでしょう。今回は語学の勉強でネットをどう利用するかについてです。

 私がインドネシア語を勉強をはじめたときはネットが普及しつつあるときでした。インドネシアにはネットカフェがあちこちに出現し、毎日利用していました。ここでまず語学のために利用したのはチャットです。
 現在はあるかどうかわかりませんが、当時は「チャットルーム」なるものがあり、そのサーバーにつなぐと不特定多数の人と話ができました。このチャットこそが語学のレベルを上げる強力な道具でした。
 チャットはメールと違い、その場ですぐに返事をしないとなりません。さらに、書き言葉ではなく、みな話し言葉を使います。インドネシア語の場合、ジャカルタで使われる独特の言い方があるのですが、こういった表現も覚えていかないとチャットでは対応できません。つまり、実際の会話の文字バージョンなので、即効性と機敏性が求められるのです。でないと、会話は続きませんから下手をすると相手はいなくなってしまいます。
 インドネシア語のようにローマ字表記であればいいですが、クメール語やタイ語、中国語だと文字が異なると、その言葉のタイプ方法も知っておかないと会話ができないのです。これはとても緊張するのですが、非常に勉強になります。チャットの返信を1分以内にすると決め、次から次へとチャットを繰り返し、毎日やって一ヶ月もやれば、相当のレベルに達します。
 ただ、注意点として、もしこういった不特定多数とのチャットを楽しむのであれば、以前にも書いたように下品な言葉はあまり身に着けないようにしたほうがいいかと思います。不特定多数ですと、スラングばかりを使う人も結構多いので。勉強にはなりますが、あまりこういった言葉ばかりを身につけるのは感心しません。

 最近は通信アプリLINEやWhatsapp、Wechat、メッセンジャーなどがありますが、もしその言葉を使う友人がいれば、これを使わない手はないでしょう。これらはチャットのようにタイプできるだけでなく、音声を録音して送ることもできます。実際に自分の発音が正しく相手に伝わるかどうかを試したいときは録音して送り、相手に理解してもらえると自信にもつながります。特に中国語やベトナム語のように発音が結構難しい言語についてはこういった勉強の仕方は効率もいいでしょう。最近ではネットでの語学クラスも多くなっているので、本場の発音や表現をリアルに学べることができます。

 中国語のように発音に特化したスマホ向けのアプリもあります。発音を矯正するアプリで、自分の発音を吹き込むと点数が出たり、あっているかあっていないかと評価したりするものです。これはなかなか面白い。マレーシアの中国語を話す人にやってもらったところ、意外に間違っていたり、しっかり認識しなかったりしていたので、本場の中国語とはかなり違う発音なのだなと感心したほどです。

 英語やフランス語などヨーロッパ言語を主に勉強している方はグーグルの音声入力がとてもいいと思います。最近はタイプするのが嫌で、音声入力する人も増えているようで、この人たち向けに作ったのでしょうか。この音声入力はしっかりとした発音でないと認識しないところに味噌があります。つまり、自分の発音が正しければ、自分の伝えたい文章が入力されますが、そうではないと正しく綴られないのです。これは発音の矯正にもなります。これは中国語でもでき、また最近では音声入力するとピンインも表示されたりするので、発音の勉強にはもってこいのツールになります。

 さて、グーグルついでにもう一つ。例えば、英語でも何でもまとまった文章を書いたとしましょう。しかし、ネイティブが使うような表現を実際に使えているか不安になります。こういったときはグーグルの検索を使うのが最も効率的です。例えば、グーグルに"It is difficult for me to study"と引用符をつけて検索をかけると279万件もの文章がヒットしているため、ネイティブもこういった表現を使っていると判断できます。しかし、これを"It is difficult to me to study"とすると「検索結果が出ませんでした」と表示され、ネイティブの表現でないことがわかります。この引用符は中に入っているフレーズそのものを単体として判断して検索するので、これがないとさまざまな用例をすべて集めてきてしまいので、必ず引用符を入れて検索しましょう。
 また、使われている言葉を探したいとき、その箇所にアステリスク(*)を入れるといろんな用例ができてます。toの後にどういった言葉が入るケースが多いのかを調べる場合は"It is difficult for me to *"と検索するといろいろと出てきます。
 さらに、アメリカのサイトやCNNのサイトなどだけに限定したいときの検索もグーグルではできます。引用符をつけたフレーズの後や前にsite:usやsite:cnn.com と打ち込んで検索すると限定サイトだけを検索してくれるのです。ちなみに、日本語のサイトでも同様のことができます。
 こういった検索方法も語学の勉強にとても役に立ちます。上記は英語の例を出しましたが、もちろんいろんな言語ですることができるので、ぜひとも試してみましょう。英語などでメールを出す場合、必ずこういった作業をするようにすると、間違った言い方で送ってしまうと恥ずかしい思いをしなくてすみます。

辞書だけは。。。
 これだけネットで語学を勉強することができるので、辞書もサイトで利用する方も多い方と思います。しかし、です。辞書はあえてサイトではなく、紙の実物を使うようにしましょう。
 私が英語の勉強を本格的にやったときの先生はこうおっしゃいました。

 語学の上達は辞書の汚れに比例する。

 辞書を使っていくと垢がたまり、黒くなっていきます。先生はこのことについておっしゃったのですが、確かに黒くなればなるほど語学が上達していくと感じます。私がインドネシア語をやったとき、「インドネシア語―英語辞書」を3冊潰しました。引いていくと垢も溜まっていきますが、表紙がボロボロになり、さらにページも剥がれていくのです。毎日何度も調べ、開いていくと辞書は自然に解体していきます。これを続けていくと語学のレベルは比例して高くなっていくのを実感します。辞書はきれいに使いたい方もいると思いますが、きれいに使っていると上達はできないでしょう。こういった目に見える形で上達することを実感するのはサイトの辞書では不可能なのです。サイトでは引いた単語の登録は可能ですが、実物の辞書のように目に見える形で潰れていくことはありません。
 「辞書を潰す」ということは、それだけ引いてやってきたのですから、上達した象徴にもあります。サイトではその実感はなかなか味わえないでしょう。本気で語学の上達を目指すのであれば、辞書は紙に限ります。

写真:自宅にあるさまざまな言語の辞書たち

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