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外国語はきれいな言葉をまず習得すること

 外国語を習得することは大変です。特に言葉一つ一つにはニュアンスがあるので、外国人にとってはなかなか習得が難しいのです。それは日本語だけではありません。
 一つの言語を習得しようと思ったら、その国の言葉の標準とみなされている言葉を身につけましょう。例えば、英語だったら、アメリカ英語かイギリス英語がありますが、イギリス英語だったら、ロンドンで話されている、できる限り上流界の人たちが話す英語を習得しましょう。アメリカ英語は少し難しい気がしますが、できるだけ政治家や企業の幹部らが話すような英語を勉強しましょう。
 これには訳があります。
 言葉のニュアンスや相手の受け止め方がなかなか分からない状況で、その言葉を発してしまうと自分が予期しない受け止め方をされて不愉快な気持ちにさせることが多々あります。
 例えば、私の古くからの友人で、日本語がそこそこ話せるのですが、どこから習ったのか、「あなた」のことを「テメー」や「おまえ」といつも言うのです。「テメーはどこに行ったのか」、「おまえは食べたのか」・・・。最初に聞いた時は非常に不愉快になりました。私はこういう言葉を使う環境で育っていないため、こういう言葉を使われるとがさつで下品な人と思ってしまいます。しかし、彼は「方言だから」といいつつも、こんな方言があるのかと疑問に思いました。これについて彼に説明しましたが、本当にわかったのかどうか。
 こういったことが本当に外国語を知らないと受け手に起こります。習う側は外国語の細部にまで最初から分かるわけがないので、こういった不愉快な気持ちを起こさせないためにも、きれいな上品な言葉使いを心がけましょう。そうすることで受けて側の対応も変わってくるはずです。どういったニュアンスで聞き取られるかわからないので、上品な言葉を多用することで、誤解を生じないようにしましょう。

英語では敬語を使うこと
 もう一つ、日本人の多くの方々は「英語はPleaseをつければ丁寧な言葉になる」と思っています。しかし、これは誤りです。Pleaseをつけると命令になります。また、「英語はストレートな言語」であると誤解している人も多く、何でもかんでもストレートに言う人もいます。これも間違えと言っておきましょう。
 英語の歴史を紐解けば、もともとイギリスで話されていた言葉で、イギリスの人たちがアメリカに渡って、アメリカ英語は独自に発展していったといいでしょう。イギリスは階級社会ですから、当然慇懃無礼な敬語があります。アメリカは階級社会ではないですが、やはり人に物を頼む時などは丁寧な言い方をするものです。英語には敬語がないと思っていた方はすぐに態度を改め、勉強することをおすすめします。日本語ほど複雑な敬語ではないですが、一定の表現があるので、それをまんべんなく使うようにしましょう。そうすることで相手側に誤解を生まなくてすみます。
 英語に関しては以前、こういうことがありました。ある日本の中小企業の方がこちらに投資をしようと、さる王室関係者とメールでのやり取りをされていました。その日本人はマレーシアにいらっしゃったのですが、あまり英語ができない。「メールでやり取りすることはできる」とおっしゃっていたのですが、日本の学校では習わない敬語を使わず、つっけんどでストレートな物言いだったため、王室の方は不愉快に思っていたそうです。結局、会ったところでその不愉快な気持ちは晴れず、そのままビジネスとしては流れてしまいました。こちらの王室は基本、イギリスで教育を受けている方が多く、階級社会の上にいる人たちなので、それ相応の言い方で対応しなければなりません。敬語ができなかったために先に進められなかったいい例ですが、英語でも敬語を使うことは肝に命じましょう。
 丁寧な言い方というのは、日本語や英語に限らず、どの言葉にも存在すると思います。そういった丁寧な言い方を最初から身につけるようにしましょう。語学の勉強は最初が肝心です。せっかく身につけたのにスラングばかりでは、聞く側は人間性をも疑ってしまうかもしれません。

注意すべき発音の習得
 上記は表現の問題ですが、ここでは発音について。
 その言語を勉強する前にその国で標準語があるかどうかを調べましょう。例えば、中国語だと北京の標準語、ベトナム語やインドネシア語だとその首都で話されている言葉がたいがい標準語とされます。
 標準語には標準語の意義があります。特に国民国家がしっかりとしている国では標準語があることが多く、その標準語がテレビのニュースなどを通じて全国に広がります。特に政府が発する情報はガチガチの標準語(文法も発音も)になるので、それを理解しないと国民は困ったことになるのです。発音も含めた標準語をまずは勉強しましょう。
 もちろん各国の各地方には方言が多々あります。しかし、方言を身につけて話してしまうと、最悪の場合、別の地方で通じないということが発生します。
 例えば、マレーシアで話されているマレー語ですが、首都圏で話されているマレー語が一応標準とされています。これが東海岸、特にクランタン州とトレンガヌ州に行くと、aの発音がuになり、話していることが全然分からなくなります。地方の人たちはいつも話しているとおりに話すので、それが普通なのですが、首都圏から行くと発音が違うので閉口します。方言を身につけてしまうと、発音をあとで修正していくことは難しくなります。このため、はじめからきれいな標準語で話すことを心がけて勉強を進めましょう。ある程度のレベルになり、丁寧か丁寧でないかもわかりはじめたら、使い分けることも可能ですが、それでも外国語なので、いつでも丁寧な言い方を使っていて損はありません。

 外国語を勉強するのは楽しいですが、一歩言い方や発音を間違えると取り返しのつかないことになりかねません。こういったことにも注意して楽しく勉強しましょう。

 

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