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【スプリングS2022】走法から見る!スプリングSの過去傾向と出走馬有力馬診断

この記事では2022年スプリングSにあたって、
(1) スプリングSの特徴(コース形態、
     好走馬の位置取り、ラップタイム)解説
(2) スプリングSで好走する走法の解説
(3) 22年スプリングS出走予定馬の診断

を行っております。
この記事を読んでいただくことによって、
“出走有力馬の特徴(特に走法面)”
が理解していただけるように、
心がけて作成致しました。
またYouTubeでも情報発信しております故、
そちらも是非ご覧ください!


(1) スプリングSの特徴
【ポイント】
・位置取りは差し有利
・器用さが必要
・マイル寄りに適性がある馬に注目

以下の図は、過去5年のスプリングSにおける3着以内馬の
位置取りと上がり3Fタイムをプロットしたものです。

位置取りと上がりタイム

これを見ると、
基本は差し馬が好走しておりました。

次にこちらは、該当レースのラップ傾向(前後傾のどちらか)と、
ラップタイムを示したものです。

ラップ傾向
ラップタイム

こちらを見ると、
スプリングSは前半からペースが緩みにくいため、
コーナーでも減速せずに上手く立ち回れる
器用さが必要であると考えました。

最後にこちらは過去5年のスプリングSにおいて、
3着以内に好走した馬の前走です。

前走

これを見ると、
特に近2年はマイル等からの距離延長組が
台頭しており、距離延長組に注目のレースです。

まとめると、スプリングSの傾向としては、
・位置取りは差し有利
・器用さが必要
・マイル寄りに適性がある馬に注目

といったことが挙げられます。

(2) スプリングSで好走する走法の解説
【ポイント】
・ストライドが小さいピッチ走法馬が有利
・パワータイプに注目

まず以下の図は上記で挙げたレースでの3着以内馬を、横軸に位置取り、縦軸にストライドの大きさ(≒ピッチの速さ)を示したものです。

走法マトリックス

これを見ると、ストライドが小さい馬(縦軸が下の方)が好走傾向です。
小回りコースではあることと、
そしてペースが流れるためコーナーも上手く走る必要があること、
そして差し馬優勢のレースであることから、
短い直線で瞬時に加速する力が必要なのだと思います。
(ストライド走法で後のダービー馬、ロジャーバローズも
ここは負けていますしね。)

また以下の表は、好走馬の走法をストライドの大きさ(ストライド or ピッチ)と前脚の裁き方(伸び伸び・掻き込み・叩き付け)で合計6種類にタイプ分けしたものです。

走法タイプ表

これを見ると、圧倒的に前脚を搔き込む「搔き込み型」や
叩き付ける「叩き付け型」といった
スピードよりもパワーに秀でた馬が好走傾向です。

【過去傾向より狙いたい走法】
・ストライドが小さいピッチ走法馬
・パワータイプ


(3) 22年スプリングS出走予定馬の有力馬診断
【特注馬(50音順)】

・アサヒ
・アルナシーム
・サトノヘリオス
・ソリタリオ
・デュガ

ここからは22年スプリングS出走予定馬の有力馬診断を行っていきます。
走法分析をメインとして、有力馬を「S・A・B・C」の4段階で評価していきます。

走法マトリックス
走法タイプ表


アサヒ(牡3 田辺裕信騎手)
評価:A

【能力面】
2戦目の未勝利戦(中山芝1800m)では、弥生賞勝ち馬であり抜群の中山適性を見せるアスクビクターモア相手に、出遅れ→道中最後方待機→4角から大外ぶん回しマクリ、
という競馬で差のない2着ですから、高い能力があると見ています。

前走共同通信杯は+12kgでの出走で、また出遅れながら手応え抜群に直線を向いた後、
鞍上田辺騎手はそこまでガチガチに追っていませんでした。このことから、前走は出遅れもあったとは思いますが、次走に向けての余力残しの競馬であったと考えています。

ただ今年の共同通信杯の前半3F通過は36.1秒と、ここ5年では2番目に早い
タイムを刻みながら、21年(前半3F37.4秒)、19年(同37.1秒)と走破タイムを
比較すると、それぞれ0.3秒、1.1秒遅く、世代トップレベルのレースであったかは
やや疑問がつくことから、能力に過信は禁物だと思います。
(それら2年は良馬場なのに対し、今年は稍重でしたが…)

【適性面】
この馬はキャリア5戦(内重賞2戦)で全て上がり2位以内の末脚を使ってきており、
その中には中山コース、また前走の様な稍重馬場も含まれており、
競馬場はもちろん、馬場も稍重までなら問わずに堅実に末脚を使えるタイプだと思います。

走法としてはストライドの大きさが武器ですが、
首を大きく使いながら中々の加速力を見せる馬でもあるため、
小回りが向かない馬ではないと思います。

ただその分エネルギー消費は大きそうな走りで、
距離はマイル~1800mがベストな気はしています。

ということで今回の舞台は、課題のスタート次第かなと思います。


アップストローク(セ3 丹内祐次騎手?)
評価:B

【能力面】
前走未勝利戦(小倉芝1800m)は他馬が追い出す中、持ったまま直線を向いての
3馬身差圧勝でした。また2着スウィートスカー、3着デュアルレインボーは
次走未勝利をそれぞれ2着、3着でしたから、未勝利戦のレベルは高いとは言えないまでも
間違いなく低くはないと思います。

また首の使い方こそ硬くて小さいのですが、脚の使い方が非常にディープインパクトに
似ているスナップの効いた軽い跳びで走る馬で、府中の時計勝負なんかピッタリな馬だと
感じました。セン馬なため、クラシックに出れないのは残念ですね。

ということで、ここでも3着なら全然あると思いますし、
全く勝負にならない馬ではないと思います。

【適性面】
パワー勝負は向かないと思います。前述したようにこの馬は
非常に軽い跳びで走る馬で、またディープのように地面を払って進んでいく
タイプで、道悪だと地面に足を取られがちな走法だからです。

とは言えキャリア2戦ですし、また唯一の中山での走りは
適性面というよりは、馬が全くやる気にならなかったというメンタル面故の
敗戦でしたから、未知の魅力がある馬です。

適性とはずれるかもですが、気持ち次第だと思います。


アライバル(牡3 C・ルメール騎手)
評価:B

【能力面】
世代トップレベルだと考えています。

走りは同じハービンジャー産駒のナミュールと似ており、
ストライドが大きいながらも脚の回転力もあり、また首も大きく使えることから、
爆発力のある末脚を使える馬です。

またこの馬は気性面の問題でデビューから2戦マイルを使われたわけですが、
脚が長いことと、エンジンのかかりが遅いことから、
本質的には2000mくらいが適距離だと考えています。
そんな中での新潟2歳Sは、若干脚を余し気味で
セリフォスと差のない2着で、走破タイムは過去5年の新潟2歳Sでは1位です。
能力はあると信じています。

【適性面】
京成杯を見ると、合わないと思います。
というのもコーナーでの加速が遅いからです。

前走京成杯は1角でオニャンコポンに前に入られて手綱を引く不利はありましたが、
そこでエキサイトしたり、ポジションが極端に下がるような不利はありませんでした。

問題は4角で、周りが動くと同じタイミングで追い出したのですが、
ポジションを下げていました。内寄りのポジショニングでしたが、
動ける馬ならスッと外に持ち出して進路を確保できたシチュエーションでした。

事実としてはそこで動けずポジションを下げたわけですが、ここで考えられるのは
①+16kgが響いた②コーナーでの加速が苦手
の2パターンで、①だった場合は今回馬体重を減らして出走してきそうなため、
問題なさそうですが、②パターンなら今回も致命的な欠点かなと思います。
人気しそうですし、ここは一抹の不安要素として頭に入れておきたいです。


アルナシーム(牡3 福永祐一騎手)
評価:S

【能力面】
朝日杯4着は高評価で間違いないです。
チューリップ賞のナミュールを見ても、昨年12月の阪神で内を伸びた馬は
強いと言い切っていいと思います。

また前走つばき賞は馬場が良く前残り傾向があり、
かつ先行したテンダンスが上がり3F32.9秒を使うどう見ても後方待機組が
届かない展開を1頭だけ差し込んで差のない2着ですから、
やはりこのことからも能力は高いと見ています。

【適性面】
輸送だけだと思います。
前走はゲートを攻略していましたし、引き続きゲートが上手い福永騎手騎乗ですから、
ゲートは割と信頼していいと考えています。

また走法は超ピッチ走法馬で、かつ前脚を掻き込むパワータイプの走りですから、
小回り&中山という舞台はぴったりだと考えています。

あとは折り合いを壊滅的に欠いた東スポ杯以来の輸送がどうでるかでしょう。


エンギダルマ(牡3 丸山元気騎手)
評価:C

【能力面】
3戦目での初勝利となりましたが、新馬戦はオニャンコポン、2戦目の未勝利戦はスターズオンアースがそれぞれの勝ち馬ですから、勝ち上がりに3戦を要したのは不運な面もあったと思います。ただそれぞれ0.3、0.5秒差をつけられていますから、重賞だとやや足りない馬だと考えています。

【適性面】
この馬はゆったりとしたリズムで、ストライドを大きく伸ばす走りをしますから、
先行して持続力を活かす競馬が得意であると感じています。

ただその分直線で追い出した時の切れ味はやや物足りない部分があり、
負けた2戦ではそれぞれ勝ち馬以外の後ろから来た馬にも差されており、
決め手勝負になりやすいスプリングSは分が悪いと考えています。
(実際3戦でのこの馬の上がり3Fタイムはそれぞれ34.5、34.7、36.2秒です。)

折り合いが万全でないことは気がかりですが、個人的にはもっと長い距離で
期待したいなと思っています。


オウケンボルト(牡3 M・デムーロ騎手)
評価:B

【能力面】
エンギダルマと同じく、先行してのしぶとさが武器の馬だと思います。
前走水仙賞は道中勝ち馬の外につけてから、早めに先頭に進出して粘り込む競馬でした。
2200mであの競馬をして残せるのは、前残りの馬場だったとはいえ、能力を評価してあげてよいと思います。

ただこちらもエンギダルマと同様、決め手には欠ける部分があることと、
距離を伸ばしつつ好走してきた馬がGⅡの1800mで足りる能力があるかというと微妙かなと思います。

実際3走前は今回と同条件で、共同通信杯6着のレッドモンレーヴに
0.6秒差をつけられています。

【適性面】
走法はストライドがそこそこ大きいのですが、首を高い位置から小さく動かしながら、
前脚を叩き付けるパワータイプの走法ですから、中山はぴったりだと思います。
手前替えも上手いです。

繰り返しにはなりますが、あとは末脚がどこまで使えるかだと思います。

今回は前残りの展開になってどれほど、という感じで見ています。


サトノヘリオス(牡3 岩田望来騎手)
評価:A

【能力面】
エリカ賞のレベルはやや疑問視され始めていますが、この馬は勝ち馬であり、
また内容も完勝でありましたから、エリカ賞組の次走を見てこの馬の評価を下げる必要はないかなと感じています。

またホープフルSは間隔が詰まっていたこと、そしてこの馬は気性が燃えやすい馬なのですが、出遅れて序盤から出していくことで消耗が生じた部分もあると考えており、
度外視してあげてもいいと考えています。

新馬戦(新潟芝1800m)ではまだ幼さの残るイクイノックスに1.5秒差の完敗ですから、
そこまでの怪物ではないのは確かなのですが、あちらの方が直線の長いコースに適性があることと、この馬自身がかなりイレ込んだロスがあったことを鑑みると、着差ほどの力量差はないと思いました。

今回は間隔を空けた臨戦過程で臨めるのは良いと思うため、あとは輸送でイレ込まないかがポイントになると思います。


【適性面】
エリカ賞、ホープフルSではどちらも持ったまま直線を向けており、
小回りでのコーナリングは上手い馬だと思います。

また首を小さく振りながら脚を細かく回転させてくるピッチ走法であることからも、
コーナリング含め、小回りにはしっかり適性がある馬だと思います。

折り合いさえつけば距離は持つ馬だと思うのですが、現状の気性面だと重賞では1800mがギリギリかなと感じており、距離をこなせるかに若干不安はありそうです。

あとは能力のところでも書いた輸送を克服できるか、でしょうか。


ソリタリオ(牡3 横山武史騎手)
評価:S

【能力面】
折り合いもかなりつきますし、スタートも安定して出ます。また仕掛けられてから脚の回転をスッと上げつつ、力強く地面を叩き付けながらストライドを伸ばせる馬で、どちらかというとワンペースで走る馬かなと思いますが、瞬発力もそこそこあると思います。
ということで総合力が高く、崩れにくい馬だと感じています。

また前走シンザン記念は3着レッドベルアーム(東スポ杯5着)、4着ビーアストニッジド(共同通信杯3着)、7着ラスール(次走1勝クラス0.3秒差勝ち)と、メンバーレベルは高かったと見ています。そんな中、中京では不利と言われる外を回す競馬での2着は高い能力の裏付けであると感じました。

ただビーアストニッジドとラスールがやや自滅気味だったこと、また5戦で2-3-0-0と、
やや勝ち切れない部分があるのかなとも感じるため、個人的に頭で狙いたいタイプではないです。


【適性面】
折り合いがつきますから距離は大丈夫そうですし、輸送も経験済みです。
またマイル重賞からの距離延長ローテですから、ペースに戸惑う可能性も低いと見ています。

あとは初の右回りがどうかです。追い切りでは右回りでも綺麗に手前を替えていますし、
レースでもたまに左手前に替えたがるところも見るため、こなしてくる可能性が高いと見てはいます。

ただシンザン記念の直線入口で左→右の手前替えの際に内に寄れたのは気になります。
左→右の手前替えだけが苦手なら良いのですが、手前替え自体が苦手な場合は致命傷になりかねません。

また単純に、ここまで左回りにこだわって使っているのも気になります。
最終追い切りの週に鞍上横山武史騎手が栗東に来るのですが(メインはレシステンシアの1週前追い切りでしょうが)、ここでソリタリオに騎乗することがあれば武史騎手のコメントに要注目です。


ディオ(牡3 戸崎圭太騎手)
評価:B

【能力面】
ポテンシャルはかなりありそうだなと考えています。
前走未勝利戦(阪神芝1800m)は前半3F36.9秒の超スローペースで、
先行した馬での決着の中を4番手につけての勝利ですし、上がり3F32.9秒も13頭中10頭が上がり3F33秒台を使う中でのものですから、そこまで価値が高いとは考えていません。

ただポテンシャルを感じたのは追い出してからの脚力です。回転を一気に上げながら前脚を高く上げてから掻き込むように地面に着地する走りは、爆発力を感じましたし、凄い脚力だなと思いました。

ただ最後に右手前に替えていることや、2戦目では直線でふらついていたりなど、
まだまだ完成途上の馬だと思います。


【適性面】
前述したようにまだまだ若さのある馬で、末脚を長く使うことはできない馬なため、
(例えると昨年の秋華賞でのアンドヴァラナウトのイメージです。)パワーが必要で、
かつ長く脚を使うラップになりやすいスプリングSは、現状では厳しい条件であると見ています。

ただピッチの細かい馬で小回りは合うと思います。


ドーブネ(牡3 武豊騎手)
評価:B

【能力面】
ポテンシャルは高そうです。前走朝日杯はそれまでと一転しての序盤からやや追いながらの追走で、
それまでかかっていたのは気性面の問題もあるとは思いますが、下級条件ではスピードの絶対値が違っていたせいもあると思いました。

また非常に跳びの大きい&軽いストライド走法でもあり、このことからもスピードの絶対値が高そうだなと感じています。

ただその跳びが若干上に飛ぶ感じで、朝日杯当時はせっかくの跳びの大きさを上手く推進力に変換できていない印象でした。また首の位置・振り幅も不規則で、まだまだこれからの馬なのかなと感じました。

今回はまずは追い切りでの走りに注目です。


【適性面】
繰り返すようですがこの馬は非常にストライドが大きいため、
広いコース向きだと思います。小回りは合わないと思います。
(逃げてしまえば別ですが、豊さんがトライアルで逃がすとは考えにくいですよね…)
実際新馬戦(札幌芝1500m)では4角で大きく外に膨れていました。

また新馬戦でスプリントを使うか迷っていたくらいの気性面ですから、
1800mへの距離延長もかなり難易度が高い挑戦です。

しかしここで勝つようなことがあれば、その勝因は能力以外の何者でもないと思います。
個人的には一気にダービー馬の称号が見えてくると考えており、
このレースでどんなパフォーマンスを見せるかを非常に楽しみにしています。


ビーアストニッジド(牡3 岩田康誠騎手)
評価:B

【能力面】
京都2歳S2着、共同通信杯3着と、逃げれば強い馬です。
ただどちらも楽逃げができったレースであり、今回はそういった実績から
有力馬たちもこの馬を意識してレースを運んでくるでしょうし、
そういったマークを受けてどこまでやれるかは未知数です。

あと新馬戦を使ってから5戦、ほぼ1ヶ月間隔で休みなく使われているのは
気になります。仮にここで権利を取ったとして、皐月賞→ダービーまで持つかは
非常に不安です。(そういった使い方を見ると、早熟と見ているのかもしれないですね。)


【適性面】
走りはピッチ走法でかつ跳びが軽いため、良馬場でのスピード勝負がベストの馬で、
パワーも必要な中山に替わるのは微妙かなと思います。
ただピッチの細かい走りですから、小回りに舞台が変わるのは良いと思います。

あとスプリングSで逃げ切りを決めるケースは稀なのは気になります。


評価一覧


いかがでしたでしょうか?
22年スプリングSの、走法分析をメインとした過去傾向分析&有力馬診断
は以上です。

今後はもっとより良い、読者様にとって有益な情報を発信していきたい
ため、是非疑問点や感想をコメントいただきたく存じます。

それでは!!

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