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船通勤はお得か否か。

 下記記事は非常に興味深い。興味深い点は、順次記述していくこととして、まず、思い出したことは、映画「釣りバカ日誌」の西田敏行演じるハマちゃんの通勤風景である。

ただ東京の実証実験に参加された方も指摘していましたが、ロンドンの船についても相対的に長い乗船時間、高コストに加えて、もう一つ懸念点があります。船は川の上を移動しますので、夏は汚い川からの異臭が気になり、冬はとても寒く暖房を強めにしないといけません。

 ここからは、指摘されている相対的に長い乗船時間について言及する。

 まず、実証実験での実際の乗船時間は、引用されている日本経済新聞電子版(2019/7/23 12:03)『船で通勤スイスイ 都が日本橋―晴海で24日から実験』 によれば、次のような記述がある。

 所要時間は30~40分で、陸路より10~20分多くかかるとしている。

 また経済学には、機会費用や時間費用という考え方がある。

機会費用(opportunity cost)ある生産要素をある特定の用途に利用するについて、それを別の用途に利用したなら得られたであろう最大の貨幣額のこと。経済学における費用の計算は、機会費用の概念に基づいて行われ、選択理論における無差別曲線の考え方など広く利用される。代替費用ともいう。インプリシット・コストも同意。有斐閣経済辞典第4版より。
時間費用(time cost)費用は犠牲量であるので、輸送費用は輸送プロセスで失われたものを意味する。それを時間で表したものが時間費用である。有斐閣経済辞典第4版より。

そこで厚生労働省東京労働局のサイトを参考に、その費用を以下でざっくりと計算してみることとする。

 東京都の最低賃金は、985円(平成30年10月1日から)なので、概ね493円〜657円(小数点一桁は繰り上げ)になり、この金額が一回乗船するごとにかかると考える。この金額を支払う(直接負担する他にも税金として負担することや、通勤手当に入れる、もしくは負担してもらう、環境汚染への代償と考える人もいるかもしれない)ことと、座って通勤できるという個人的メリットや、鉄道など従来の交通機関の混雑緩和につながるという社会的メリットを比較したとき、読者のみなさんであれば、どちらを選択するであろうか。

 また、引用した記事には、ロンドンが船通勤先進都市として、次のように費用換算した例が記述されている。

同社(MBNA Thames Clipper社)は1999年に1隻の船から事業を開始し、現在は年間400万人を乗せています。運行間隔は約20分、運賃は中心部を通るものであれば片道700円台後半から1,000円弱です。地下鉄やバスなど他の公共交通機関よりも時間がかかるうえ、運賃も高いのですが、座れる可能性が高く、快適と言えるかもしれません。

 さらには、企業にお勤めの方が乗船するケースにおいては、始業時間、クライアントとの約束時間などあらゆる決められた時間に間にあうか否かという点も懸念材料のひとつとして考えるかもしれない。すなわち、安定した運行が期待できるか否かを考えることも必要であろう。

 冒頭にあげたハマちゃんのように生きるか、もしくは生きられるか、はたまた写真のように激流にもまれるか。わたしたちは、東京オリンピックをひかえ、都市圏の通勤ラッシュや高温注意情報が出されている最中、新しい価値観を考える、ライフスタイルの見直しなど、さまざまなことを考える上でも、引用した記事は非常に興味深いものと捉えることができるのではないだろうか。

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 経済学って難しいと思っている方へは、まず、これなんかは、読みやすく面白いです。大竹文雄先生は、もともと「労働経済学」をご専門にされています。

  経営学と経済学がなんで結びつくの?というかたには、

著者の伊藤秀史先生は、スタンフォード大学のビジネス・スクール博士課程修了 (Ph. D.)ですので、社会人のみなさんにとっても有意義な内容ではないかと思います。

なお、いずれも数式などはありません。

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 また、このような調査結果もあります。

 さらには、こんな本もあります。



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