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Les・Miserables

恥ずかしながら「レ・ミゼラブル」は初見である。ジャン・バルジャンの話は小学生の頃に読んでなんて理不尽だと思った虚ろな記憶だが、それ以来苦手。最後までストーリーを覚えてないにもかかわらずだ。映画も途中でリタイアしてしまった。
今回は日本人キャストだからきっと大丈夫とこれだけの人気ミュージカルだから絶対面白いと自分に言いきかせての観劇。

一最初はやはり逃げ出したくなるジャン・バルジャンの理不尽な人生からのスタート。あぁ、苦手だと思ったが、あり難い事に台詞も全て歌!オケボックスから聞こえる生音楽の豪華さ。コンサートだと思えばそれなりに愉しめる。と思い腰を落ち着けた。
語るように歌う。歌はドラマだ。歌うように語る台詞と言われるのは歌舞伎。等とつらつら考えていたが、実際に台詞のほとんどをを歌いあげながら芝居をするのは困難な事だと今更ながら気づく。メロディに乗せて役に入り込むのは至難の技だ。

ジャンバルジャン佐藤隆紀、ジャベール上原理央、ファンデーヌ知念里奈、エポニーヌ屋比久知奈、以下写真の通りのキャスト。

一部の最初で感じた多少の苦痛を我慢。にっくきジャベール役の理央さんの圧倒的な声量と色悪的魅力が爆発する。二部は怒濤の展開で目を見張る。双眼鏡でキャッチした眼福は相葉裕樹君。これからのお楽しみかな。
理央ジャベールはバルジャンに命を救われる。ジャベールは悩み苦悩する。バルジャンを捕まえるのは役目。人としてどう生きれば良いのか。悩むジャベールの歌声は圧巻。心に響く。隆紀バルジャンの苦しみは高音域で天に苦悩を訴えるが如くだ。他のキャストでも観たくなる。

キャストがダブル、トリプル、もっと多かったりする俳優陣。席が後方のせいでテナルディエの表現力にだれ?って疑問符がついた。マダムテナルディエは森久美さんなのですぐに分かったけど。二人の居酒屋?宿屋のシーンが長く異質でちょっと退屈を感じた。後でテナルディエを確認すると斉藤さん。声も良いしお上手なのだが表現力が他の俳優陣と違うのが歴然。それもご愛嬌なのだろう。

主役と仇役の感情の変化、主の前には人は心を入れ替える。日本人にはない苦悩と喜びと善と悪。絶対的な善もなければ絶対的な悪もない。人間愛に目覚め喜びよりも苦しみを感じる。
貧富の差に苦しむフランス革命の数年前から始まるこの物語は常に弱者が登場する。
庶民の側から描かれたミュージカルだ。学生達が戦いに敗れて死んで行くシーンは印象深い。一人ずつ撃たれて死んで行く。さっと刺すような白く細い光。その白い照明が哀しみを増幅させる場面。歌い上げる俳優達。それぞれに無念と哀しみを纏いながら死んで行く。俳優のファンやレミゼファンが何度も足を運ぶのが理解出来る確固たる音楽性と最後に押し寄せる感動。
私には歌舞伎があるのでミュージカルに落ちる訳には行かないが、機会あればまた行ってみたい。
#レミゼラブル #ミュージカル #相葉裕樹

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