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オグリへの思い

オグリの記者会見があってSNSにビジュアルと様々なインタビューが掲載されている。

猿之助さんと隼人君のオグリはビジュアルからして全く違う。ワンピースの時は衣装は同じだったから、オグリ自体の性格付けも異なるのだろう。EXILEみたいとかテーマは歓喜、最後はみんなで踊りたいくらい。と猿之助さんは答えている。

三代目のオグリは全く観たことが無い。
梅原猛先生には生前に大幅に内容を変える事もお許しを頂いていたそう。
図らずも梅原猛先生の追善興行になってしまった。梅原猛さんが三代目の為に会談戯曲は「ヤマトタケル」「オオクニヌシ」そして「オグリ」の3作。
當世流小栗判官と登場人物は似ているが物語は壮大な人生のロマン。
今回の演出は亀治郎の会から猿之助さんを支える新進気鋭の演出家、杉原邦生さんだ。
弥次喜多の演出助手や自身の舞台もこなしながら「オグリ」の演出もするとか。
演出家も育て鍛える。

隼人君のオグリのビジュアルは格好良くて若々しい。オグリ自身と年代も近くオグリの演じ方も猿之助さんとは異なる世界観を持ったオグリになるんだろうな。

歌舞伎以外からの出演者も興味深い。配役が発表されるのが待ち遠しい。

三代目が叶わなかった演出も時を経て可能になったと言う。

スーパー歌舞伎Ⅱはいつも新しい感動がある。
「空ヲ刻ム者」で前川知大さんの脚本演出で仏を彫っても人の心が救われないと悩む十和と権力を得て人を救いたいと願いながら悪の道へ迷い込む一馬の友情物語。そして初めてのワイヤー2本で挑む二人宙乗り。空中で手を繋ぐ二人の姿に胸が熱くなった。

「ワンピース」は新たな若手スターを生み育てた作品。猿之助さんが若手を育てると言うはっきりとした方向性を打ち出した作品。
大怪我をするというアクシデントがあったものの若手を育てると言う猿之助さんの考えが危機管理にも繋がった形となった。

「オグリ」と言う物語は、武術や馬術にも長けた美貌の若者・小栗判官が、相模の国の照手姫(てるてひめ)と恋に落ちるけれど、掟を破って契りを交わしたことから姫の父に殺されてしまう。閻魔大王によって餓鬼病(がきやみ)の姿として娑婆へ送り返された小栗判官は、歩くこともままならず、善意の人が曳く土車に乗り、治療のために熊野を目指す事となるのだがその人生やいかに!

猿之助さんはオグリと照手の恋物語だけではなく現代に通じる群像劇にするらしい。
若いオグリの時は猿之助遊行上人が導き、猿之助オグリの時は若き遊行上人が共に悩み共に歩く。ストーリーの解釈も変えると言うから演じているうちにどんどん進化しそう。

出演者の皆さん一人一人の役柄もとても気になる。きっと強く心揺さぶられる舞台になるだろう。今までに観たことが無い歌舞伎。
三代目が果たせなかった演出も時を経て可能になる。
インタビューアーからスーパー歌舞伎の説明を言われて、スーパー歌舞伎と歌舞伎を区別する必要は無いと答えている。
なるほど、スーパー歌舞伎が誕生して33年。スーパー歌舞伎の中でも「オグリ」は古典の位置づけ。そして今や花形歌舞伎はケレンが大流行。幹部俳優が見せる至芸が新しいと観じるかも知れないと笑って話す猿之助さんの言葉は案外当たってるかも。

猿之助さんの舞台を見る度に今回が最高だと思うのだが、また新しい最高を観られる!歓喜の一期を夢見て過ごそう。

さあ、その前に納涼歌舞伎、ラスト弥次喜多が待っている

#オグリ #市川猿之助 #中村隼人 #杉原邦生

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