岡部えつ

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    岡部えつの最新の情報です。

  • GIベビー関連

    GIベビーであるベルさんと、拙著『母をさがす ― GIベビー、ベルさんの戦後』(亜紀書房)に関する記事です。

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    岡部えつ(小説家)のエッセイです。不定期に更新中。

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    過去に雑誌や作品集などに掲載された短編を、加筆修正して掲載しています。 既刊の単行本一覧はこちら→ https://e-okb.com/

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【質問を募集します】『母をさがす』出版記念イベントに向けて

『母をさがす——GIベビー、ベルさんの戦後』の、出版イベントを準備中です。 これは、2023年に立ち上げたクラウドファンディング・プロジェクト『戦争の落とし子【GIベビー】のベルさんを、アメリカで見つかった肉親に会わせたい』の返礼品のひとつ【出版記念イベント(オンライン)ご招待】のためのイベントですが、対象者以外の方にも有料で閲覧していただけるようにする予定です。 イベントでは、わたくし岡部えつが、ベルさん(堤麗子さん)と、『母をさがず』に何度も登場する水島文夫さん、それ

    • GIベビーのベルさん、まだ見ぬ兄に手紙を送る

      2022年夏にお母さんさがしを始めてからおよそ一年半、先月『母をさがす ー GIベビー、ベルさんの戦後』が亜紀書房より刊行され、充足感に包まれて久方振りにまったりしたのも束の間、さっそくベルさんから「お兄さんに連絡してみたい」と電話がありました。 本を読んでくださった方はご承知と思いますが、「お兄さん」とは、一昨年まで名前も知らなかったお父さんが、第二次世界大戦出征前に結婚していたときの息子、ベルさんの母違いの兄のことです。 「えっちゃん忙しいんでしょ? 時間があるときで

      • GIファザー探しのお手伝いをスタート

        第二次世界大戦後の占領期、日本では多くの“混血児”が生まれた。俗に"GIベビー"と呼ばれた、日本人女性と進駐軍の米兵との間に生まれた子供たちである。 先月、彼らやその子孫たちがGIである父親、祖父、またその家族たちを探す手伝いをするための、窓口サイトを開設した。 GIベビーである友人の肉親探しをした際に出会った、ボランティアグループの活動に感化されて立ち上げたものだ。 わたし自身にそのスキルはないが、窓口を紹介したり、そこと繋がるお手伝いをすることはできる。必要な方には

        • 『怖いトモダチ』に出会ってしまったら

          社会生活に支障をきたす"性格"刊行早々にTBS『王様のブランチ』に取り上げてもらったこともあり(→そのときの様子はこちら)、重版も決まって嬉しいスタートとなった新刊『怖いトモダチ』(KADOKAWA)。この作品のモチーフである「自己愛性パーソナリティ障害」にまつわることを、小説から引用しながら書いてみようと思う。 自己愛性パーソナリティ障害は、いくつかあるパーソナリティ障害のうちのひとつだ。ではそもそも「パーソナリティ障害」とはなんぞや? 人の性格は、ひと言では表せない複

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          新刊『母をさがす ー GIベビー、ベルさんの戦後』

          2月24日(土)、いよいよベルさんの本『母をさがす ー GIベビー、ベルさんの戦後』が世に出た。 その一週間前、わたしはベルさんの家にいた。クラウドファンディングのプロジェクト『戦争の落とし子【GIベビー】のベルさんを、アメリカで見つかった肉親に会わせたい。』で支援してくださった方への返礼品「サイン本」を作るためである。 できたてほやほやの15冊を持って、亜紀書房の担当編集者もやって来た。重たい本と一緒に、ケーキまで用意して。ベルさんはビールとワイン赤白を一本ずつ、冷蔵庫

          新刊『母をさがす ー GIベビー、ベルさんの戦後』

          新刊『怖いトモダチ』:TBSの王様のブランチに出演しました

          昨日(2月24日土曜日)テレビに出た。TBSテレビの情報バラエティ番組、王様のブランチである。 テレビを捨ててしまって20年以上経つわたしでも知っているこの大長寿番組に、著作が取り上げられるのは3度目(1度目はTBSでドラマ化された『残花繚乱』、2度目はよく売れたのでランキングコーナーでも何度か取り上げてもらった『嘘を愛する女』。)だが、本人が出るのははじめてのことだった。てっきり今回も本だけが出るものと思い込んでいたわたしは、担当編集者とのやりとりの中どうやら自分も出るら

          新刊『怖いトモダチ』:TBSの王様のブランチに出演しました

          映画『Yokosuka 1953』のトークイベントに出演します

          現在、横浜シネマリンで上映中のドキュメンタリー映画『Yokosuka 1953』。ベルさんと同じ、進駐軍のアメリカ兵と日本人女性の間に生まれたGIベビーであるバーバラさんの、お母さん探しを追ったドキュメンタリーです。 上映期間中の11月25日(土)、トークイベントに出演することになりました。 木川監督と、ベルさんの"最初の記憶"である「聖母愛児園」の工藤さんとともに、お話しさせていただきます。 11/25(土)横浜シネマリン 10:00から上映 上映後トークイベント 木川

          映画『Yokosuka 1953』のトークイベントに出演します

          ハロウィーンと銃事件

          ハロウィーン・ヒステリー 渋谷のハロウィーンは、今や日本だけでなく世界的にも有名で、外国からも多くの人がやって来るらしい。 わたしは一度も参加したことはないし、その日に渋谷に行きたいと思ったこともないが、毎年報道されるニュースを通して、その暴力的とも言えるカオスの状況は知っている。主に地方からの若者や外国人観光客らが仮装して群れ歩き、路上で飲酒し、明確な目的もなく馬鹿騒ぎをする。あとには大量のゴミが散乱して残され、翌日の早朝に渋谷区民のボランティアが掃除するニュースも風物

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          ベルさんが、NHKのドキュメンタリー番組に

          ベルさんのお母さん探しの活動が、NHKのドキュメンタリー番組で取り上げられます。 9月17日(日)BS1/ 夜21:50〜夜22:39 BS1スペシャル「FIND MY LIFE〜戦後78年目のGIベビーたち〜」 これまでnoteに2本、関連記事を書いてきたので、詳しくはそれをぜひ読んでいただきたいのですが、わたしは今、GIベビーに関する本を書いています。 昨年の夏、十年来の友人であるベルさんから「お母さんを探してほしい」と頼まれました。 無理だろうと思いながら始めた、

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          日本随一の歓楽街、新宿と女たちの歴史

          言わずと知れた日本随一の歓楽街、新宿。 ここを舞台にした日本の小説や映画が数知れないのは、この街に、作り手を魅了する何かがあるからでしょう。 かく言うわたしも、かつて『新宿遊女奇譚』という、短編連作を出版しました。 これを世に出してくれた当時の出版社が、のちに大手のKADOKAWAに吸収されたこともあるのか、紙の本は売り切れても増刷なし、デジタル化もされていません。 (ああ、わたしがもっと人気のある小説家であったならば!) 第一話は、江戸時代の宿場町「内藤新宿」を舞台にし

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          戦争と女性

          2つのニュース9月に入ってすぐ、二日続けて米兵が起こした事件がニュースサイトに掲載された。 1件目は『「友達の家だと思って入った」 民家侵入の疑いで米兵逮捕 沖縄』 2件目は『「酔っぱらい」米兵、現行犯逮捕 ビルの屋上に侵入容疑 那覇』。 同じ事件の後追い記事かと思って開いて読んでみると、まったく別の事件だった。 どちらも女性や子供のレイプ被害事件ではないとわかり、ほっとする。 悲しいことだが、日本に長らく暮らしていれば、ニュースに「沖縄」と「米兵」の文字が並ぶと、レ

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          GIベビー、ベルさんの物語(仮)

          序章  アネッタ、麗子、ベル。その人には、三つの名前がある。  彼女が最初に認識した自分の名は、アネッタだった。物心ついてから18歳まで育ったカトリック教会系の児童養護施設で、シスターたちから呼ばれていた洗礼名だ。 「小学校に上がるまで、自分はアネッタだと思ってて、他に名前があるなんて知らなかった」  小学校に入学すると、ランドセルや学用品には「堤麗子」と書かれた。「麗子」は、おそらく彼女の母親がつけた名だ。どんな思いをこめて、どんな状況下で名づけたのか、彼女は誰から

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          『沈黙は共犯 闘う医師』を観た - ムクウェゲ医師の言葉とフェミニズム

           NHKのドキュメンタリー番組『こころの時代〜宗教・人生〜』の『アフリカの思想にふれる (1)「沈黙は共犯 闘う医師」』を観た。  アフリカのコンゴ共和国の紛争地域で、性暴力の被害に遭った女性たちの治療を続けている医師、デニ・ムクウェゲさんを扱った番組である。彼は、コンゴでは人、家族、コミュニティーを一気に破壊する"兵器"として、レイプが組織的に行われていると、世界に訴え続けてもいる。 性欲の捌け口ではなく、兵器として。  ぞっとする言葉だが、まさかとも思わない。レイプは暴力

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          掌編小説 『嫁入り人形』 (アンソロジー収録作品)

           仲のよい姉妹がおりました。二人には、末子の妹のように可愛がっている、市松人形がありました。  家は貧しく、姉妹は着物もお菓子もおもちゃも、分けあって使います。人形も、姉が髪を梳いてやれば、妹がおべべを着替えさす。妹が歌を歌ってやれば、姉が絵本を読んでやる。そうやって、仲良く世話をしておりました。二人には、人形が笑ったり泣いたりする声が、ちゃんと聞こえていたのです。  あるとき、母親が二人を呼んで、市松人形を売らねばならなくなったと告げました。古いものですが、たいそう値打ち

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          GIベビー、ベルさんの戦争が終わるときー天涯孤独に生きてきた“混血孤児”が、73歳にして最後の肉親探しの旅に出る……

          2023年12月に出版が決まったノンフィクション 『GIベビー、ベルさんの物語(仮題)』の 序章と第一章を、特別無料公開中です! ⇣⇣⇣⇣⇣ 孤児院での約束ベルさんは、物心ついたときには横浜の児童養護施設にいた。 1949年生まれの彼女は、連合国軍占領下の日本でアメリカ軍兵士と日本人女性の間に生まれた、いわゆるGIベビーだ。中でも、こうして施設に預けられた子供たちは「混血孤児」とも呼ばれた。 彼女の最初の強い記憶は、横浜から北海道へ移動する、列車での長旅だ。 施設のシスタ

          GIベビー、ベルさんの戦争が終わるときー天涯孤独に生きてきた“混血孤児”が、73歳にして最後の肉親探しの旅に出る……

          短編小説・怪談 『奇木の森』 (アンソロジー収録作品)

           呆れ返る部屋だった。天井近くにお札や御幣が乱雑に乗った神棚があるかと思えば、その下の白壁には風呂敷大の曼荼羅図が掛かり、部屋に置かれた唯一の家具である飴色の水屋の上には、瀬戸物のマリア像とサイババのフォトフレームが仲良く並んでいるのだ。そのひきだしを開ければ、コーランが出てくるに違いない。  そしてそれらすべてを凌駕するのが、目の前にいるここの主だった。  霊媒師だというから、白い着物に緋色の長袴、首から大きな数珠でも下げて呪いのひとつも唱えるのかと思ったら、破れ襖から足踏

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