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暇つぶしの妄想で生きていく

 アメリカではクレジットカードの滞納率が2008年以来最高の水準となり、自動車ローンの延滞率も上がってきている。2008年のリーマンショックは住宅ローンの延滞率が先行指標となっていた。いまから5年くらい前には「アメリカは好景気!みんなカードで買い物して自動車がバカ売れ!」みたいな話が出ていて、次のリーマンは自動車ローンが起点だろうというような議論があった。まあそれが実現しつつありそうな状況になっているということで、日本ではNISAで日銀のエグジットも終わり、あとはカモを丸焼きにするフェーズに入ってきているのだろう。SBI証券は電話も繋がらないし、たぶんマージンコールも誰も応答しない。まあ何が火種であれ燃え上がる準備は整っている。クレジットカードどころがフィンテックだのなんだのと新たな空騒ぎを用意して、BNPL(バイナウ・ペイレイター)という短期債務も相当積み上がっているようで、企業業績もキャッシュフローから見ると非常に怪しい。

 そんな感じで2008年よろしく大規模な信用収縮が起きて、これに米ドル覇権の崩壊が加われば圧倒的なインフレ、実物資産の側から見れば実体資産の急騰が起こってくるはずだろう。シルバーの価格が抑圧されているのはFRBのせいではなくて、中国が安く現物を買い占めるためで、必要なだけ仕入れたら価格上昇が始まる、というような投稿を見た。おそらくそうであろう。中国でEVや太陽光パネルが大量に作られたままうち捨てられているという話も、シルバーを別の形にして保持しているだけではないか。そう考えてくるとゴーストタウンとかゴーストシティも、建築資材の現物さえそこにあれば解体して転用できるわけで、NFTとかメタバースとか言って電子だけかき集めてきて、電気がなくなったらすべて消失する西側の経済とはだいぶ異なることになる。まあどうなるかわからないので、ネットやデジタルにあまり依存せずに図書館で借りた本を読んだり紙のノートに思索を書き付けたりしている。 

 かつては金よりも銀のほうが価値が高く、キケロの「沈黙は金、されど雄弁は銀」という格言も現代とは逆の意味で、「もっと雄弁にいろいろしゃべれ」というのが本来の意図だったらしい。明智光秀が信長を討ったあと、安土城に侵入したがゴールドには目もくれず、銀製の小判・大判だけを回収したということもあったようだ。秀吉の時代になると天正大判を純金で鋳造して、諸侯に対する褒賞として用いられるようになるが、金・銀・銭をベースとした三貨制度になるには江戸時代を待たなければならない。家康は三貨制度を甲州金を作った武田信玄に学んだが、上杉謙信は佐渡金山を持っており、川中島の戦いは佐渡と甲州のゴールド覇権を巡る争いとして解釈したほうがいいのかもしれない。奥州藤原氏も金色堂を建てて、いまでこそ高価なもので貴重とされているが当時はいまでいう銅製と大差なかったろう。 

 日本において貨幣経済を普及させはじめたのは藤原不比等と言われている。不比等は乙巳の変で蘇我氏を討った中臣鎌足の子で、大宝律令の制定や元号の使用の恒久化、そして和同開珎の鋳造などに功績がある。乙巳の変ののちの大化の改新で初の元号「大化」が用いられ、続いて白雉に改元されたが、その後しばらく元号が用いられない時期が続いた。西暦701年に至って、大宝律令の制定とともに元号を大宝とし、恒久的に使うことにしたのが不比等である。大宝律令の次に日本のシステムが大規模に変わるのは実に明治の大日本帝国憲法の発布のときであるから、いかに明治維新がドラスティックな出来事だったのかということでもあるし、ウィーン会議で日本を開国させることが決まったという話も本当に思えてくる。 

 陰謀論を信じるのであれ体制側のナラティブを信じるのであれ、ただの庶民に世界の行く末を左右する力も権利もない。それは近代の茶番に過ぎない。それはそれとして、ただの暇つぶしとして好き勝手に妄想を巡らせて楽しむほかないのだろうと思う。


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