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雑記 2024年3月8日

 ゴールドの価格は2,100ドル/オンスを超え、シルバーも24ドル/オンスを超えるようになってきている。日本国内では銀価格が前日比プラマイゼロでまったく動かないという日が増えてきていて、シルバーの市場も何かが起こりつつある。何かはよくわからないが。上海ではゴールドもシルバーもアメリカ市場よりも数パーセント高い。

 こうした観測される事実から背後にある勢力の意図と動向を推察するのが本来のインテリジェンスの仕事なのだが、近代以降延々と続けられてきた愚民化の成果によって、公式発表を鵜呑みにする以外の思考はすべて陰謀論と呼称されるようになった。最近は陰謀論者を揶揄するコンテンツも増えてきて、それは同時に公式のナラティブの神通力が衰えてきていることの証左でもあるのだが、単純に見て不快になる愚民化そのものの馬鹿げた内容に辟易して、ツイッターもフォローしているアカウント以外はあまり見ないように心がけている。

 同時に株高も演出されているわけだが、株式や債券などカウンターパーティリスクの塊でしかなく、有事には一切アテにならないと心得ておくべきだろう。手元にある現物しかいざというときには役に立たない。私は電話もロクにつながらない証券会社など信用しないことにした。

 株で1億円以上の資産を築いたというような話はそこらじゅうに転がっているが、株式にしておけば時価評価など吹けば飛ぶようなものだし、不動産に換えるといってもいまのバブルでは素人はゴミ物件を高く売りつけられるのが関の山で、自分が本当に持ちつけないカネはいろいろな名目で自分の手を離れていってしまうというのが実際のところだろう。

 このごろはどの店でもセルフレジが導入されたり、店員がいるレジでも買い物袋を2円だの3円だのとちまちました額で買うかどうか尋ねられたりする。貨幣の購買力もかなり落ちているので、モノも高いしカネを出してもちゃんとしたものが買える確率が低い上に、ロクなサービスも受けられないようになっているということだ。物価水準の統計などよりもこちらがよほど貨幣価値の下落というインフレーションの現実を表している。庶民が1億だ2億だというカネを割り当てられて歓喜する一方で、以前のようにスムーズな買い物や客として扱ってもらえるという体験はもはやカネを出したところで購入できない。これが貨幣の死でなくてなんであろうか。

 ネット上ではいい労働者になるには・いい消費者になるにはという議論だけが、教養や知性の皮をかぶせられてはびこっている。昔からそういう議論の底の浅さが気になっていたのだが、その底の浅さの正体は結局のところ近代以降に作られた価値観同士を戦わせているからに過ぎないからだろうと思う。大手メディアで出てくる議論には、たとえば結婚の本質は人質交換だとかいったような人類学の知見からすれば当然の見解は、前近代的で封建主義的ということになってハナから棄却されてしまう。実際の世界の支配層たちは、古の神々の物語や文字による記録がようやく始まったころ、いやそれ以前からの血脈やコンテキストで生きているわけで、現代が人類の最高到達点でありそれ以前のことは忘却の彼方、いまをどう生きるかだけが重要だというのは、まさに祖国も歴史も文化も持たないプロレタリアに投げ与えられるナラティブに過ぎない。生きる意味を根本的に喪失しているから、数値化可能な尺度に寄りすがって、その数値を大きくすることに邁進するほかなくなるのであろう。人間は神話なくしては生きられないが、新しくでっちあげられた神話はやはり質が悪いのである。


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