見出し画像

小説「龍翔伝」

「朝から飲むレモンミルクは最高だぜ!!」

俺はバイクで山の丘まで走り好物の甘くて酸っぱいジュースで一息ついていた。

朝早く起きて家からお気に入りの場所で飲むレモンミルクは格別だ……うん? 近くでバイクの音がするな? 俺以外でここに来るとしたら……なるほどこのエンジン音は蓮だな。

「おーい!! 鬼龍の兄貴」

急ぎ慌てた声が響く。まったく……俺に用事か、ジュースを飲んでゆっくりしたいのに。

「いや、ゆっくりしている場合じゃない!!」

うん? なんだろう? 蓮はバイクを思い切り飛ばして俺のバイクの隣においてなんで来たのかを喋った。

「オッス!! 鬼龍の兄貴、おはようございます」

勢いよく頭を下げた。

「おう、おはよう!! 蓮、なんでここまで飛ばして来たん?」

蓮は大きな声で挨拶して息を切らしていた。

俺はレモンミルクを飲みながら今日は確かに何かあったかなと考える、なんだっけ?

「今日は確か……」 

「まさか忘れているんですか!! 今日は神戦校の入学式ですよ」

俺は汗をダラダラと流しながら蓮に聞き返した。

「じゃあ、他の奴らは?」

「入学式に集まっていますよ」

蓮は呆れ涙を流している。しまった。約束を忘れていた。

「たく……総長、物忘れが酷いですよ?」

涙を拭き困った顔で蓮は呟いた。

俺は急いで左腕に着けている腕時計を見て時間を確認した!!

「今は……七時三十分、入学式は何時からだっけ?」

「八時三十分からですよ」

蓮は呆れた顔である。後一時間しかない…………俺は急いでバイクに乗りエンジンをかけた!! 隣にいる蓮も一緒にバイクを走らせる。


その頃、神戦校には東京で最強の族・元龍王族の幹部が集結していた。

一人は赤髪にサングラス、一人は左頬に一騎当千の刺青をしている。制服に刻まれた龍が可愛く見えるほどの風貌に、周囲に新入生達は恐れをなして離れていく。

「鬼龍の奴は何をしている? 後一時間で始まるぞ」

「まあまあ、いいじゃないか!! 蓮が探しに行ったから」

「だがな、平ちゃん……あまり鬼龍を甘やかすな」

「うん? いいじゃないか、聖地」

「おい、直人起きているだろ!?」

その怒号に、石上に寝ている黒い長髪の男が気怠けに口を開く。

「まあな、だがあいつはなにやっている」

三人はため息をついて呆れていた。本当になにをしている鬼龍は…………その時、二台のバイクが校門に突っ込んだ!! 

「ごほごほ、待たせたな」

校門に突っ込んだ鬼龍はバイクの飛ばし過ぎで咳込んだ。

「…………え?」

三人は呆然としていた。

「いや……問題がありますよ、皆が怯えています」

恐る恐る周りを見渡すと新入生達が震えながら怯えていた。

「こら、龍翔!! 新入生を怖がらすな」

「痛いよ!! 兄さん」

俺の頭を叩いたのは実の兄さんだ、 神戦校の生徒会長である。

兄さんは俺を叱ると、忙しなく立ち去った。

「どうやら、うちのバカ総長が目立つ行動したから周りの奴らに警戒されたな」

「流石は戦士を育てる学校だな……うちのバカのせいでな」

聖地と直人はなにやらひそひそ話をしているが絶対に俺のことバカにしているな!?

まあいいけどな、警戒ぐらいはしてもらわないと入学したかいがないわ。

そして校内放送がなった。

「入学式に来られた皆様にお伝えします」

落ち着いた声の放送だな……どうやら場所の案内みたいだ。場所はグラウンドに集合みたいだな!!

気合が入った俺たちはグラウンドに走り向かうが周りの新入生達は何やら元気がない。

「今年は入学できるかな?」

暗い声が聞こえる。入学ができるかな? どう意味だ…………? その時だ。

前方から大砲が飛んできた!!

「鬼龍気をつけろ!! 大砲だ」

聖地は慌てて俺に言うが…………だが大丈夫みたいだな。なにせ俺らだからな!!

「ふん、大砲の弾なんて俺が斬る!!」

鞘から刀を抜いて左手に持った直人は弾に反応して霞の構えに入る。

「じゃあ!! 俺は邪魔な奴らをどかすわ」

「大砲は僕にまかせて!!」

真剣な顔で言い、平ちゃんは細い腕の関節を鳴らして静かに言う。

「たく……頼りになるな、お前たちは」

光の速さがある太刀の【閃光ノ剣】神道直人が愛刀の「無残」で大砲の弾を切り刻み、どんな数でも相手にできる【一騎当千】霧島平治が周りの新入生達を一気にまとめて薙ぎ払い。小さい体でまるで鬼のような怪力の【阿修羅】白蘭蓮が大砲を腕の力で粉々にした。流石は戦闘員の三人だ、戦闘になると対応が凄いな。

「気をつけろ!! まあいい……もう終わった」

聖地はやれやれとした顔で言い一息ついていた。

大砲を駆除した銃を持った兵隊達がいたが、二つ名の【万千軍師】と【韋駄天】を持つ赤髪聖地は神の足で冷静に対応した。

他にも隊長らしき兵隊がいたが、問題なく倒している。

「鬼龍(キドラ)!!」

右手の黒い炎が隊長らしき者の腹に拳をめり込ませた。

「さすがだな!! 鬼の龍が如くな強さの【鬼龍】桜鬼龍翔だな」

右の拳を握りある場所の方向に向けた……

そう俺たちは最強の族「龍王族」だ!!

総長「桜鬼龍翔」

副総長「赤髪聖地」

総長補佐「霧島平治」

親衛隊長「神道直人」

特攻隊長「白蘭蓮」

さて、俺たちが入学をしてやるぜ!!

「どうやら、とんでもない新入生達が来ましたね……桜鬼龍絶会長」

「面白だろ? まさかここに気づくとはね、弟と他の仲間達も教育お願いしますよ マリア教官」

二人は何かを企んで微笑んでいた。

入学式をクリアしたのは龍王族だけではない。白いフードを着た五人のメンバーも違う場所で戦い兵隊達を全滅させていた。



「龍……すぐに会いにいくからね」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?