マスに愛される

2023年は、マスに愛されることの威力を考えた1年だったといっても過言ではない。

マスに愛されるということが持つ威力の凄まじさよ。

トップYouTuberが稼ぎ出す金額が分かりやすい例だし、逆に”マスに愛され得るトピック”しか、音楽・文学・映画などのヒットランキングには入ってこない。

例えば流行りの曲が取り上げるテーマの9割9分は「恋」や「愛」。
なぜならそれらが一番マスに共感され得るトピックだからだ。

余談ながら、今私が聞いている宇多田ヒカルの"Somewhere Near Marseilles"という曲が凄いなと思うのは、
「僕はロンドン、君はパリ この夏のバカンスは マルセイユとか二人とも近いしどう」
みたいな歌詞(原文とは若干違う意訳です)が日本人のほとんどに刺さらないお洒落すぎる設定なところで、そこが好きなのだが、やはりこの曲はヒットランキングには入らなかった。
彼女の最大のヒット曲は"First Love"なのだ。

ほとんどの人類が恋や愛をやっているんだろうと思う。
最近の私はそれらととんと無縁で、恋や愛より面白いと思ってしまう諸々に埋もれている。

読書の面白さやモノ作りの興奮、猫の腹の下にそっと足を差し込む快感を歌う曲なんぞ聞いたことがない。
そもそもトピックとして歌にしづらいというのもあるだろうが、やはりこれらのトピックは人口の大半からの共感を得ることが難しいからだと思う。

ちょっと冷めた私は、「所詮人間も動物だよなあ」などと思ってしまうわけだけれど、ふと思った。

3大欲求の一つである「性欲」(≒恋、愛 と言ったら怒られるだろうか)がマスに愛されるテーマなのであれば、同じく3大欲求である「食欲」と「睡眠欲」も、例えばヒット曲のテーマになりうるポテンシャルを秘めているのでは・・・?

実際に「食欲」については、音楽ジャンルではなかなか聞かないものの、ドラマや漫画ではいくつかヒット作がある。
きっと、テーマとしては適しているものの、音楽として「食のたのしさ、興奮」みたいなのを描くのが難しいから音楽ジャンルではまだ未踏の地なのかもしれない。
とはいえ、ASMRとか結構ポテンシャルはある気がする。

「睡眠欲」は、難しいか・・・?
よく考えれば、3大欲求に数えられているのがむしろ不思議なくらいで、寝てしまえば大半の時間が無意識に過ぎてしまうし、意識がある夢の中で「これこれ!やっぱりこれが3大欲求だよなあ!」というほどその体験を楽しんでいる気もしない。

なんだかいつも以上にまとまらない文章になってしまったけれど、私が言いたいのは、

誰か「猫の腹の下にそっと足を差し込む快感」をヒット曲にしてください。






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