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イベントレポート「これからの柏の葉のまちづくりと市民活動」

こちらは2024年2月24日(土)に行われた「これからの柏の葉のまちづくりと市民活動」のイベントレポートになります。


自己紹介

私は2009年から柏の葉に住み始めました。
2010年に出産して育休をとり、2011年に元の職場に仕事復帰し、その間に東日本大震災も経験しています。
その時、もし街で大きな災害が起きたら、日中の街には、赤ちゃんを抱えたママたちとシニア世代しかいないという事実に気づきました。それが、今の活動にも大きな影響を与えました。
2012年に会社を退職し、クロスアジアという会社を立ち上げ、2013年に「ままてぃ」というTX沿線に根付いたコミュニティを立ち上げました。その後コロナ渦を経て、お茶の小売販売も始めました。

事業紹介

「ままてぃ」はTX沿線に特化した唯一のママコミュニティです。今、会員が1300名ほどおり、「ママに輝く笑顔を」をスローガンに、ママになっても、やりたいことをやってほしい、活き活き毎日を過ごしてほしいと思って活動しています。
コミュニティを活かして事業の課題を解決する「コミュニティマーケティング」を主軸の事業としており、主に住宅メーカーや商業施設、商品メーカーから、女性向けの集客、認知拡大などの課題解決で利用してもらっています。

柏の葉の住民とは

まず、本題に入る前に、柏の葉の住人構成がこの10年〜15年でどのように変化したのかに着目したいと思います。

私が柏の葉に引っ越してきた約15年前はシニア層、子育て層、赤ちゃんという主に3つの世代で街が構成されていたように思います。規模感としてもマンションが2棟ほど、2000世帯くらいでした。

今の柏の葉は、当時の赤ちゃんが成長し、中高生になり、子育て層がミドル層になりました。新しい住宅が建設され、また新しい子育て世代や赤ちゃんが増え、5つの世代が共存するようになりました。豊かで、健全な街の構成になったのではないかと思います。

街のコンセプトである「健康長寿の街」を体現するかのように、当時のシニア世代も引き続き元気に活動されています。

次のお話にもつながりますが、だからこそ必要としている活動の種類も増えてき他のだと思います。

住民目線で見た柏の葉の市民活動

事業者主導の活動の課題

柏の葉で行われている活動には、主に住民主導のものと事業者主導のものの2種類があります。

以前の柏の葉では、事業者主体のイベントはかなり盛んでした。

例えば、街全体を学びの場と捉え、アートを建築やサービスと同等に位置づける「五感の学校」や、柏の葉のママたちが企画からたづ触った遊べる図書館「本のたからばこ」、職場体験をメインプロジェクトにした子供向けのピノキオプロジェクトなどたくさんの魅力的な活動が行われていました。単発のイベントだけでなく、T-site主体の取り組みだったT-KIDSのシェアスクールは普通の習い事としてもニーズが高かったように思います。

ところが、現在はこれらの事業者主体のイベントは何一つ残っていません。

背景には色々な大人の事情がありますが、簡単に言えば、お金ありきのイベントなので、お金が出なくなれば打ち切られる、そういった構図になってしまうのです。

なおかつ、子供向けのものは採算を取ることが難しいという現実もあります。

市民主導の活動と、新しい事業者の登場

一方、住民主導の活動は残っているものが多いことがわかります。それは趣味や好きなことでつながっており、お金の有無が関係しないからです。

だからこそ活動拠点がなくなっても、マンションのコミュニティルームだったり、個人宅で続けていくことができるのです。

また、事業者主導の活動にも、新たな形のものも生まれています。

T-site周辺で開催されている「パンフェスタ」は多い時で2万人ほどの来場があるビッグイベントです。マルシェを事業として行っている会社が運営するMarché 96beeも定期的なマルシェとして柏の葉に定着しつつあります。私の会社が主催する「職ママフェスタ」も昨年第6回目を無事開催できました。


事業と市民活動の中間、新しい可能性の芽ぶき

マルシェコロールは「みんなでつくる、みんなのマルシェ」をキーワードに、まちのみんなで運営する都市型マルシェを目指し、2008年からスタートしました。しかし、事務局運営の継続が困難となり、2016年を最後に終了となりました。ですが、街のシンボル的なこの活動を再開させたいと、地域有志が立ち上がり2022年8月に復活。その後も回数を重ねながら、再びまちに定着するイベントになりつつあります。

あおぞら学習ルーム2000年生まれの若者が運営する、放課後の居場所です。無料で居場所を会報誌、学習の見守りなどの活動を行っています。

このような活動はいずれ、事業化していく可能性があると思いますが、お金をもらってその分だけ働くというものではなく、「やりたい」という気持ちをベースに始まっている活動です。事業化したとしても、膨大な収益を得たいというものではなく、活動が健全に回る範囲で事業を運営する、健全なものになるのではないでしょうか。

市民活動における課題

とはいえ、柏の葉の市民活動にはまだまだ課題があります。ここでは私が課題に感じる3つについて議論します。

活動の場所がない

柏の葉には公民館や近隣センターがありません。これはふらっと無料で立ち寄れる交流の場がないということです。もちろんららぽーとなどのイベントなどで交流できる可能性はありますが、商業施設での活動は、お金がないと始まらない交流です。

活動の発信ツール

どの市民活動も「好き」という気持ちを軸に始めておられるため、活動が広がりきらないという課題があります。たとえば発信が苦手だったり、発信するにしても、各々でやっても無駄が多かったりします。

柏の葉ナビなど、いくつかの発信ルールがあるにはありますが、WEB情報を取りに行きづらいシニア層への浸透は微妙です。住民が自発的に取りに行くことは考えづらいため、住民にフィットしたツールがあり、ちゃんとほしい情報が届く仕組みを作ることが大切だと考えています。

活動資材や経験の共有と連携

街にはマルシェで使う机やテントなど様々な資材があり、そのノウハウや経験を持つ人がいますが、それぞれの共有と連携がされていないのが現実です。
1つ目の論点である「活動の場所」にもつながりますが、1つ場所があれば、そこに資材と人材を集めて、利用ルールを決めて街の活動者で共有するなども可能になるのではないでしょうか。

また、「柏の葉」は本当に狭い範囲です。柏の葉以外の柏市各エリアの活動連携を進めていくことで、より広いニーズに対応できる豊かな活動になってゆくのではないでしょうか。


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