〝しんがり〟って魅力的


皆さん、〝しんがり〟って知ってますか?

しんがりとは、

戦国時代、撤退する際に、追撃してくる敵を残って迎え撃つ役割です。つまり、殿様など本隊を逃すために、自らの命を張って敵を食い止める、トカゲの切り捨てられたシッポ的な存在でしょうか。

恩田陸の「夜のピクニック」を読んでいて同じ精神を感じました。歩行際も終わりにかかり、貴子は融となかなか話せずにいました。そこに、融のことを片思いする亮子がガツガツと融の横を陣取り、アタックしにいきます。融も煙たがっているが、疲労から突き放すことが出来ません。

そこに、貴子のことを応援しようと友人達がダッシュで融・亮子の2人に近づき、「亮子ちゃん一緒に走ろうー」と2人を引き剥がしにかかりました。その勢いに圧倒されて、有無を言えず亮子と融は次第に距離が離れていったのです。


このシーンにしんがり的な美しさを感じました。

友人達の〝貴子と融を2人だけにしてやりたい〟って思いから、自分達の疲労もピークであるのに息を切らしながらダッシュをして、近づいていく姿。

言わば、

融・貴子は殿様であり、迫りくる敵=亮子を追い払うために身体に鞭を打って、思い出作りの最後の大事な時間も亮子と走りに行くという取った決断が美しかった。

大事な人に迫りくる脅威(人)を自己犠牲の精神で闘い、守っていくシーンは胸に響くなと感じました。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?