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楽しくなければITじゃない! -AIによる自然言語処理が拓く、技術の繋がり-

●今回のテーマは「楽しくなければITじゃない! ーAIによる自然言語処理が拓く、技術の繋がりー」

今回ご紹介する安井由香(やすいゆか)は2009年の入社。
入社以来、先進的なIT技術の実証や利用の現場で活躍してきました。
特に興味を惹かれているテーマは「AIによる自然言語処理」。
今後ますます社会での利用が広がるであろうAIの世界で、新しい試みにチャレンジしようとしています。

●先進技術と社会を繋げる役目

 ——安井さんのお仕事はどのように進むのですか?

まだ実用レベルでは利用の仕方が確立していないような、先進的なIT技術を、エクサの社内やプロジェクトで利用できるようにしようと模索する、という位置付けの部署で活動しています。
ITに関する新しい考え方を提案している論文や報告が、世界中には膨大に存在します。様々なテーマがあるのですが、そのような研究をしている人たちの論文の中から面白そうなものを見つけることから仕事が始まります。

 ——論文を見つけることから始まるのですね

論文には「こうすればこんなことができる」としか書かれていませんので、可能性を感じる論文を応用して、私が実際に小さなシステムを作ってみることが第2のステップになります。
どんなデータを入れれば何がアウトプットされるのかを検証しながら、これは役に立つ、利用できると考えられるものは社内でデモシステムとして公開して、皆の意見やアイデアを集めていきます。

 ——世界の研究者と社内をつなぐ役割でもありますね

ただ、技術の進歩は早いので、特に近年は革新的な考え方や手法を積極的に取り入れていくことも欠かせません。
ITスペシャリストとして最新の研究を探求してキャッチアップする役割だと思っています。さらに、プロジェクト現場への技術面での支援や、「こんな面白いアイデアがあるよ」と社内の皆を活性化する役目でもあると感じています。

●AI(人工知能)との出会い

 ——AIというテーマとの出会いについて教えてください

入社6年目に大手銀行のコールセンターのシステムに関わりました。AIを利用して、オペレーターの人の仕事をサポートするシステムを導入するプロジェクトだったのですが、その時、問い合わせの内容に合わせてAIが適切なデータを集めてモニターに表示するというシステムの構築に携わりました。
特に、言葉による問い合わせをAIに学習させる過程に興味を感じました。
その後、製鉄所の中でAIを利用する実証実験などに関わって様々なテーマと出逢いましたが、2018年に二人目の子供の産休・育休から復帰する際に、上司から「どんなテーマを掘り下げてみたい?」と聞かれて、4年目の時の自然言語処理にチャレンジしてみたいと答えました。

 ——自然言語処理の面白さはどんなところですか?

自動翻訳や音声認識などがすでに実用化されて進化していますが、人間の言語をコンピュータに認識させるためにはどうしたらいいのかを探ることが自然言語処理の基本だと思っています。
コンピュータが認識できるように言葉を数値化してデータを解析する技術ですが、これは世界中の多くの人たちが研究しているテーマです。
Web上のビッグデータを利用する技術が発達したり、コンピュータに学習させる方法が進化したり、処理能力が大きくなるとともにいろいろなことができるようになってきています。
特に最近ではBERTという手法がブレークスルーを実現していて、日本語の分野でもたくさんの研究が発表されるようになりました。

 ——具体的にはどのような機能が実現しているのですか?

この2年間、BERTを応用して様々な可能性を探ってきましたが、最近では「長い文章をごく短く要約する」というデモシステムを作って社内に公開しました。
社内で技術情報などを投稿して共有化するプラットフォームがあるのですが、どうしても一つひとつの投稿はテキストの分量が長くなります。読まなければ分からないので、利用しづらい面があるわけです。
そこでAIによって3行ほどで内容を要約できれば便利になると思いつきました。要約に関する論文を利用してデモを作ってみました。
社員から様々な反応やアイデアをもらって、改良していきたいと思っています。
私は直接お客様を担当していませんので、プロジェクト現場の社員の意見はニーズを知る上でとても参考になります。

 ——これからの目標を聞かせてください

今まで2年間は個人を中心に模索を続けてきましたが、2021年からはチームで仕事をするスタイルも取り入れていこうと思っています。AI、仮想化、ソフトウェア開発手法といったテーマをチームでも進めていきます。
IT技術だけではなく、独自の発想を生み出すワークスタイルも模索しようという試みです。
私自身は、AIを使って身近な不便を解消したい、という気持ちを大切にしていきたいと思っています。社内の技術文書の要約もそんな気持ちの表れです。いつかそれがサービスとして社会に広がっていってくれればとチャレンジを続けています。
2人の子育ても進行中ですので、家庭や子育てといった私らしい視点をAIを利用したサービスに結びつけていけたらとも思っています。

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