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「メタバース霊岸島」構想の実現に向けて

2022年9月26日作成

2023年4月より、「メタバース霊岸島」をオープン予定です。
霊岸島は、東京都中央区新川1丁目・2丁目にある島で、隅田川・日本橋川・亀島川に囲まれています。
亀島川沿いの水辺空間に、川を表舞台とした街づくりを、バーチャル空間にて再現します。
地元住民や企業に対して啓蒙活動を行うことにより、地元の声を形成し、リアルに建設へと導くのが目的です。

1.活動背景・目的・実績

筆者は、1992年から川を中心としたまちづくり活動に携わってきました。
川といいましても特に都市河川です。
東京でいえば、荒川・隅田川・神田川・多摩川などです。
大阪でいえば、淀川・大川・土佐堀川・堂島川・安治川などです。

Δ写真1.霊岸島 (出所:Google earth)

1-1.活動背景

大阪は、「水都大阪」として認識している住民の割合が比較的高く、全国一の水都としての立ち位置を定着させています。
一方、東京は、「水都東京」として認識している住民の割合は、依然として低く、水都として定着しているか?疑問です。

その理由の一つとして、大阪と東京の治水対策に違いがあります。
一言でいいますと、「大阪は水門のまち、東京は堤防のまち」です。

1-1-1.大阪は水門のまち

大坂の治水対策は、3大水門によります。
大阪市内を流れる安治川、尻無川、木津川の河口部に、それぞれ水門を設置し、高潮からの被害を抑えています。
結果として、3大水門により陸側の河川堤防を低く抑えることができ、その分親水性が増します。

特に、道頓堀川沿いに設置されている「とんぼりリバーウォーク」という水辺遊歩道は、「水都大阪」の象徴です。
川面までの距離が近く、川に対してお店が開かれており、イベントも度々行われます。

1-1-2.東京は堤防のまち

一方、東京の治水対策は、堤防です。
東京の主だった川には、水門がありません。
高潮に対して堤防を高くすることにより、被害を抑えています。

しかし、河川堤防が高くなり、街中から川面を眺める場所が少なくなり、親水性は小さくなります。
また、延々と続く堤防の距離は、トータル数十km以上に及び、大阪の水門・堤防と比較しても、維持管理費用に莫大な予算を投じています。

1-1-3.「水都東京」の復権を目指して

しかし、東京の小河川の中にも、水門により高潮から守られている地域が存在します。

例えば、
 ・中央区:亀島川沿い
 ・江東区:小名木川沿い
 ・墨田区:縦十間川・横十間川沿い
などです。

この地域内であれば、想定される洪水・高潮被害からまちを守ることができ、親水性を高くする仕掛けが可能となります。

1-2.活動目的

「川をまちの表舞台」にすることが究極の目的です。
この活動では、そこに至るまでの啓蒙装置を制作することが狙いです。

Δ図1.「メタバース霊岸島」設立趣旨

1-2-1.対象地域は霊岸島

上記の地域の中で、より都心に近い中央区の亀島川沿い(住所:中央区新川1・2丁目)にある霊岸島を取り上げます。

Δ図2.霊岸島位置図

霊岸島は、亀島川・日本橋川・隅田川に囲まれた島です。
亀島川は、上流端と下流端に水門が設置され、高潮から守られた地域です。

この地域の住民は、水辺に対する意識が、高いことがわかりました。

1-2-2.霊岸島は、かつて江戸湊・舟運・日本酒のまち

霊岸島には、かつて江戸湊があり、全国から舟運により物資や情報が集められました。
特に京や大坂から菱垣廻船・樽廻船により運ばれる物資は、「下り物」と呼ばれ、外来品のごとく珍重されました。
中でも、京都の伏見、神戸の灘から運ばれる日本酒は、「下り酒」と呼ばれ、江戸中で人気となり広まりました。

1-2-3.「メタバース霊岸島」構想

霊岸島を、
 ・川を表舞台にしたまちづくり
 ・江戸情緒のあるまちづくり
にするための手段として、メタバースにより
 ・水辺を活かしたバーチャル空間
 ・江戸時代のまち並みを再現したバーチャル空間
を制作し、地域の住民を中心として啓蒙活動を行い、リアルに水辺遊歩道建設に繋げたいと考えます。

筆者は、このプロジェクトを「メタバース霊岸島」構想と名付け、地元企業に呼び掛け、既に準備を始めています。

しかし、活動資金は、今のところゼロです。
今回、良いタイミングで「noteクリエイターサポートプログラム」の企画を知るに至り、助成をしていただきたく申請を決断しました。

2.活動内容

活動内容は、

  • メタバースによるまちづくり制作

  • 制作したメタバースワールドへの住民参加・啓蒙

  • 中央区・東京都への建議献策

です。

2-1.メタバースによるまちづくり制作

既存のメタバースプラットフォームの中から
 ・適合するプラットフォームの選定
 ・制作する空間イメージの形成
 ・既存のワールドよりモデルケースの選定
 ・制作範囲・制作箇所の決定
などを既に行いました。
あとは、予算を確保した上で、「メタバース霊岸島」ワールドの制作にかかるだけです。

2-1-1.適合するプラットフォームの選定

日本で利用されている主なメタバースのプラットフォームには、
 ・VRチャット(アメリカ)
 ・Neos VR(チェコ)
 ・クラスター(cluster)(日本)
 ・バーチャルキャスト(日本)
 ・リアリティ(REALITY)(日本)
 ・ゼペット(ZEPETO)(韓国)
など様々なものがあります。

それぞれのプラットフォームに特徴があり、利用者は使い分けて利用しているのが現状です。

検討した結果、選定したプラットフォームは、「DOOR」「cluster」です。

Δ表1.「DOOR」「cluster」比較表

2-1-2.制作する空間イメージの形成

ブランディングにも繋がりますが、「メタバース霊岸島」ワールド制作にあたり、空間イメージとしてキーワードを挙げます。

Δ図3.「メタバース霊岸島」ワールドの空間イメージ

また、イメージパースを挙げます。

Δ写真2.霊岸島周辺の亀島川の現況(左写真)
図4.「メタバース霊岸島」亀島川沿いのイメージ(右図)
(出所:日本大学理工学部海洋建築工学科)

2-1-3.既存のワールドよりモデルケースの選定

ワールド制作あたり、モデルとなるワールドを調査した結果、

  • cluster「バーチャル大阪」内にある道頓堀川沿いの「とんぼりリバーウォーク」

  • cluster「語部居酒屋 夢食感」内にあるバーチャル日本酒バー

などを参考にします。

Δ図5.モデルケース1「バーチャル大阪」
道頓堀川沿いの「とんぼりリバーウォーク」
Δ図6.モデルケース2「語部居酒屋 夢食感」
バーチャル日本酒バー

2-1-4.「メタバース霊岸島」制作の進め方

「メタバース霊岸島」制作の進め方は、下図の順番にて進めていく予定です。

Δ図7.「メタバース霊岸島」の進め方

2-1-5.制作範囲・制作箇所の決定

「メタバース霊岸島」の制作範囲は、下図の通りです。

Δ図8.「メタバース霊岸島」制作範囲

「メタバース霊岸島」の制作箇所は、下図の通りです。

Δ図9.「メタバース霊岸島」制作箇所

2-2.制作したメタバースワールドへの住民参加・啓蒙

「メタバース霊岸島」ワールドを製作した後、霊岸島(中央区新川1・2丁目)内の住民を中心として、アバターを用いてワールド内へ入っていただきます。

図10.「メタバース霊岸島」ワールド内での
住民・企業説明

その際、ワールド内での「水辺見学会」を企画します。
特に亀島川両岸に設置した水辺遊歩道を歩いていただきながら、「川を表にした街づくり」をバーチャル体験していただき啓蒙します。

また、「メタバース霊岸島」の利用者数のデータ取りを行います。

  • 参入者数
     ・霊岸島内の住民による参入者数
     ・霊岸島外の住民による参入者数

  • 開催イベントへの入場者数

  • 参入者数・入場者数へのアンケート調査
     ・利便性
     ・水辺遊歩道に対する好感度

アンケート結果より、改善すべき点は改善し、ワールド制作の質の向上などを高めます。

啓蒙活動によって、水辺遊歩道設置についての賛同者を、霊岸島内外の住民や企業から集い、「地元の声」としてまとめます。

2-3.中央区・東京都・国土交通省への建議献策

「地元の声」として、ある程度まとまった規模に達した段階で、中央区役所・東京都庁・国土交通省の関係部署に対し、建議献策します。
「(仮称)水辺遊歩道設置の関する要望書」としてまとめた書類を提出し、具体的な検討に入っていただきます。

Δ図11.行政への建議献策

3.活動時期や期限

活動時期は、下記の通りです。

  • 2022年
    ・3月~10月:基礎調査:ブログ、noteに調査結果を掲載
    ・11月~12月:街並み制作

  • 2023年
    ・1月~2月:水辺遊歩道・アプローチ階段制作
    ・2月~3月:clusterへのアップロード、アバターによる水辺散策可動
           アバターによる住民参加

  • 2023年
    ・4月~5月:DOORへのアップロード、アバターによる水辺参画可動
    ・6月~7月:スポンサー企業社屋制作、宣伝広告版製作
    ・8月~9月:和船・船着場制作
    ・10月~12月:イベント会場、コンサート会場、日本酒バー制作
           イベント会場での「まちづくり啓蒙セミナー」開催
           コンサート会場での「水辺の音楽祭」開催
           日本酒バーでの気軽な日常会話

  • 2024年
    ・1月~3月:住民アンケート
           「地元の声」形成
    ・4月~5月:行政への建議献策

4.筆者プロフィール

筆者のプロフィールについては、下記の記事をご覧ください。

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