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「津山城天守閣再建構想」03:再建戦略1「メタバース津山城」計画

2022年12月05日作成

前回の記事では、過去における天守閣再建の動向について報告しました。

今回は、リアルで津山城を再建することを提案する前に、バーチャル(メタバース)で津山城を再現する方法について探ります。
バーチャルで津山城を再現する目的は、津山市民や地元企業に対する啓蒙を行い、リアルな再建への熱意を高めるためです。

1.メタバースとは?

メタバース(metaverse)は、インターネット上の仮想空間の一つです。
 
・メタ(meta):「超越した」
 ・ユニバース(universe):「宇宙」
との合成語です。
メタバースにおいて、利用者はアバターを使用して交流や買い物、イベント開催などの様々な活動が可能です。

1-1.セカンドライフ

2006年にメタバースの先駆けとして「セカンドライフ」が注目を集めました。
仮想空間で、利用者は自身が決めたアバターとなり、他の利用者と交流することができました。
また、仮想通貨である「リンデンドル」で売買も可能です。
さらに、注目を集めたのが土地売買で、投資目的も含めて一時は過熱したこともあり、100万ドル以上稼いだ人も現れました。

Δ図1.SECOND LIFE

個人の利用者のみならず、IT企業・メディア・金融機関・自動車メーカー・ファッションブランドなど数多くの企業が参加し、発表会の開催やプロモーション活動を展開しました。
しかし、利用者は高性能なグラフィック機能を有するPCが必要となり、操作できるまでに時間もかかります。
また、企業の参画が先行し、仮想空間内には広告ばかりという状態になり、利用者が減少し企業も撤退しました。

1-2.Facebookの動向

2021年7月、Facebookの創業者であるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)が、
「今後数年のうちに、Facebookはソーシャルメディアを主とする企業ではなく、メタバースの企業とみなされる」
と発言しました。
同年10月には、メタバース構築に向けて、5,000万ドル以上投資し、Facebookの社名をMetaに変更することを表明しました。

その背景として、技術発展が下支えしています。

  • VRヘッドセットの発達:比較的安価

  • スマホの高性能化と普及:スマホからメタバースへアクセス可能

  • 多数利用者の同時接続可能:造時に数万人が接続可能

などの技術発展が下支えしています。

Δ図2.「Horizon Workrooms」
(出所:Meta Quest)

2021年時点でのメタバースのサービスは、2006年当時と比較しますと、格段に向上しています。
2021年8月、Facebook(現在Meta)は、VRヘッドセットを使用して仮想空間内でミーティングができる「Horizon Workrooms」を開始しました。

しかし、2022年10月、Metaは当初の目標の約半分に下方修正しました。
「Horizon World」の2022年末までに達成したい月間アクティブユーザー数が、28万人に下方修正されました。
当初設定されていた目標は、50万人なので、約半分となりました。

2.メタバースのプラットフォーム

メタバースのプラットフォームには、日本で利用されている主なものを挙げますと、
 ・VRチャット(アメリカ)
 ・Neos VR(チェコ)
 ・クラスター(cluster)(日本)
 ・バーチャルキャスト(日本)
 ・リアリティ(REALITY)(日本)
 ・ドア(DOOR)(日本)
 ・ゼペット(ZEPETO)(韓国)
など様々なものがあります。

それぞれのプラットフォームには特徴があり、利用者は使い分けて利用しているのが現状です。

3.メタバースのワールド事例

メタバースのワールド事例について説明します。

3-1.都会を再現したワールド

Δ図3.バーチャル渋谷

都会を再現したワールドの中には、

  • バーチャル渋谷

  • バーチャル原宿

  • バーチャル秋葉原

  • バーチャル丸の内

  • バーチャル六本木

  • バーチャル大阪

など、様々な都市がバーチャル化されています。
利用者は、アバターを通して街並みを散策しながら、イベントに参加し買物を楽しむことができます。

バーチャル渋谷・原宿・大阪については、下記の記事をご覧ください。

3-2.風景や店を再現したワールド

Δ図4.夕陽がさす海辺

海辺や川辺、山並み、満開の桜、紅葉などを表現したワールドがあります。
また、廃校跡や廃線跡を表現したワールドもあります。
何となく心癒されるバーチャル空間となっており、波の音を聞きながら砂浜をいつまでも見ていられる自分に驚くこともあります。

また、様々な店舗を表現したワールドもあります。
筆者は日本酒が好きで、リアルで居酒屋によく飲みに行きます。
最近は、バーチャル空間でも居酒屋を探すようになりました。
赤ちょうちんの店や居酒屋、ワインバー、日本酒バーなど、飲み屋だけでも様々なバーチャル店舗があります。

海辺の風景や日本酒バーを表現したワールドについて、下記の記事で紹介していますので、ご覧ください。

3-3.城郭を再現したワールド

Δ図5.「バーチャル姫路城」

日本の城に及ばず、世界各国にある城を再現したワールドがあります。
日本国内の城ですと、筆者の知る限りにおいては、

  • 二条城(京都府)

  • 小田原城(神奈川県)

  • 姫路城(兵庫県)

  • 広島城(広島県)

  • 伏見城(京都府)

  • 小倉城(福岡県)

  • 首里城(沖縄県)

があります。
他にも多数の城郭ワールドがあると思います。

なお、小田原城、姫路城、伏見城、小倉城、首里城の城郭ワールドについては、下記の記事をご覧ください。

4.「メタバース津山城」計画

今回の試みは、メタバースによるバーチャル津山城を制作することが主旨です。
上記においても触れましたが、目的は津山市民や地元企業に対する啓蒙を行い、津山城再建への熱意を高めるためです。

4-1.CGでの再現事例

CG(Computer Graphic)にて津山城を再現した試みは、前回の報告書の中でも触れました。

Δ動画1.よみがえる津山城(再現CG編)
(出所:TsuyamaCityPR)

2004年、津山城築城400年を記念して制作された映像です。
津山城の歴史や構造、津山初代藩主・森忠政公の足跡やゆかりの史跡などを再現CG映像を交えながら解説・紹介したものです。

  • 企画・制作:津山城築城400年記念事業実行委員会

  • 番組制作 :株式会社KSB瀬戸内海放送
          株式会社ウィザード

ここに問合せを行い、CGのデータを借りることができれば、「メタバース津山城」の基礎データとすることが可能です。

4-2.制作範囲・制作箇所・制作費用

制作範囲、制作箇所、制作費用の3項目については、お互いに関連します。
3項目を同時に満たす着地点を見出す必要があります。

4-2-1.制作範囲

Δ写真1.津山城案内図

制作範囲ですが、下記項目に配慮する必要があります。

  • 制作範囲を広げるほど、データ制作費用が高くなり、データ容量も大きくなる。

  • 制作精度を上げるほど、データ制作費用が高くなり、データ容量も大きくなる。

  • メタバースのプラットフォームは、データをアップロードする際に、料金がかかるケースがあり、容量制限がある。

上記項目について、折り合いをつける必要があります。
現段階では不明点が多く、具体的なことを言える段階ではありません。

4-2-2.制作箇所

しかし、少なくとも本丸を含めた天守閣だけは、制作する必要があります。
天守閣の中も再現できれば良いのですが、制作費用やデータ容量の関係上、一部の再現でもできればと考えています。

また、本丸広場においては、住民(アバター)参加による
 ・津山城に関するセミナー開催
 ・音楽フェス仮設会場
 ・背景を夜間に設定しての現代版盆踊り
などを行い、津山城再建の啓蒙に活かすことができればと考えます。

4-2-3.制作費用

本丸広場と天守閣の再現(内部の再現も含める)をメタバースで行う際、その制作費用は、筆者の経験上、約2,000万円は必要であると思います。

しかし、2,000万円という数字は、筆者が勘で言っているだけで何の根拠もなく、この数字が独り歩きすると困りますが。
実際には、大きく前後する可能性大です。

4-3.制作資金

「メタバース津山城」を制作するにあたり、制作資金をつくる必要があります。
制作資金をつくる方法として、
 ・行政に依頼:津山市、岡山県、他
 ・民間に依頼:スポンサー企業探し、クラウドファンディング、他
 ・行政と民間に依頼
などが考えられます。

これも今後、明確にする必要があります。

5.まとめ

以上、
 ・メタバースとは?
 ・メタバースのプラットフォーム
 ・メタバースのワールド事例
 ・「メタバース津山城」計画
について報告しました。

ここからは、同士の政岡さんとともに、関係者(行政・政治・企業・住民など)と協議を行いながら進めていく必要があります。
そうしないと計画で終わってしまうからです。

幸にして、政岡さんを通して具体的な関係者の目星がついていますので、後は会って協議を重ねていくだけです。

6.参考・引用Webサイト

7.筆者プロフィール

筆者のプロフィールについては、下記の記事をご覧ください。

8.関連情報

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