運動と脳機能との出会い~100kmマラソン挑戦編⑧~

ゴールまで残り10km

そういえば、70km辺りで、走りながら涙がでてきた。辛くて泣いていたのか、感動して泣いていたのか、よく分からないけど自然と涙が溢れ出た。運よく雨が降っていたので、誰にも気づかれなかっただろう。

そんな100kmマラソンも残り10kmとなった。あと10kmで夢が叶うと思うと心臓の音がまるで耳元でなっているような気がした。ただ、10kmといってもほぼ歩くしかできなくなっているので、ゴールまで1時間はかかる。

ゴールまで残り5km

1周歩き終え、残り5kmとなった。もう少し、もう少しで、自分はどんなことにも耐えられるスーパーマンになれると思った。と同時に、色々な思いが頭の中を巡った。

走り始める1年前まで、何で生きているのか。自分のやりたいことがない中で生きていた。生きているのが楽しいふりをしていた。周りに100km走ると宣言したら、無謀とだと言われた。両親からは無茶だと言われ、辞めなさいと止められた。そんななかでも、スタートラインに立った。

途中で何度もリタイヤしようと思った。リタイヤしたらどんなに楽だろうか考えた。リタイヤして、みんなに「やっぱり無理だった」と言っている自分が鮮明に想像できた。考えれば、いつも途中で諦めてきた。小さいころの習い事は何一つ続けられなかった。唯一、小学校・中学校まで続けた野球も高校に入ったら辞めた。一つのことをやり遂げるという経験が無かった。そんな自分という存在に何の自信も無かった。

そんな自分が、達成したいと描いた夢が100kmだった。100kmマラソンの練習を取り組んでから、人生が楽しくなった。何か目標を持って、目標達成にワクワクして生きることがこんなに楽しいことだということを経験した。もちろん何度も何度も失敗してケガをした。知識が無かったのだから仕方がない。それでも夢があることで、今を生きてる実感が得られた。それだけで、毎日が楽しかった。

ゴールまで残りあと一歩

一つ一つの思いを処理している間に、ゴールテープが目の前に迫っていた。涙が目に溜まってきた。70km地点で溢れた涙とは違う涙が溢れ出した。

ゴールまで、あと一歩。本当にあと一歩。あと一歩のところまできた。