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ぼくらの少年探偵団

ポプラ社という出版社を聞いて思い出すのは、

ちょっと硬めの表紙に独特の挿絵。

小学校低学年の頃、少しひんやりした床に紙特有の匂いに包まれた図書室で出合ったのが少年探偵団シリーズでした。

そして、それが僕の初めて触れたミステリー小説との出合いでもあり、未だに好きなジャンルは推理小説なのです。

江戸川乱歩という名前の特異さが、エドガー・アラン・ポーからきたペンネームだなんてことはもちろん知らないし、ましてや不動の人気を誇るコナンくんに引き継がれるなんてことも知るはずもないわけで。

江戸川乱歩=暗い=怖い

というイメージを植え付けられた作品でもあります。

子ども向けに書かれた小説とはいえ、今でもその世界観はドラえもんと同じく古びない。

あの独特の文章を読むだけでフッと幼少期が蘇る。

下校時に怪しい老人の後をつけると蝋人形の館があるような。

夕暮れが恐怖に包まれる孤独感。

でも、今から考えるといろんな変装で子どもを待ち受ける怪人はかなり狂ってる感じがする。

まず、学校が終わるまで彼はどうやって子ども達を誘惑しようかと考えます。

おそらく全身を鏡に映しながら、ふんふふんと鼻歌まじりにお出かけ前のお嬢様気取りで衣装を選び、高須医院長もびっくりの特殊メイクを施していく。キモッ。

ヒルナンデスが終わり、ミヤネ屋も終わろうとする頃、彼は通学路や公園で子どもたちを待ち受ける。

紙芝居で子どもの心をつかみ、狙いの子どもに気を引くような仕掛けをして、とぼとぼと老人のふりをして歩き、子どもをおびき出す。

内心ひやひやしながらも、まんまとついてきた子どもににんまりとし、明智小五郎に挑戦状を叩きつけるべく誘拐するのだ。

変態やん。

ていうか、普通に誘拐すればいいじゃん(問題発言)

今ならさしずめツイッターやLINEで不審者連絡されて、簡単には成功しないだろう。

子どもは安全ブザーを持ち、スマホで実況さえしているかもしれない。GPSだってついている。

きっと当時のメイク技術も女子校生の詐欺メイクすっぴん動画と比べれば、足元にも及ばないものだったろうと推察する。

怪人は時に追いつめられると姿を消す。

ある時は、本の背表紙だけをのれんのようにつなげたものを背中に背負い、ムカデのような姿のまますっからかんの本棚に横たわって収まり、息を殺して書棚を演じ、またある時は、巨大なちょうちんのような物を広げ郵便ポストを演じる。もちろん息を潜めて、子どもが探す姿に小躍りしながら中の人になりきるのだ。

怪人というより変人である。

彼は追い詰められたら、この場所でこういう風にやり過ごそうと計画しているのだろう。そして危機が去った後で、用意した物を片付けながら一人ほくそ笑むのだ。

うまく行っているからいいようなものの、失敗した時はただの間抜けである。

もし、それを実行する前に逮捕されたら、せっかく準備した物が使えなかったストレスで発狂してしまうのではあるまいか。

そもそも少年探偵団というものが成立していることも現代なら大問題である。

なにしろサッカークラブとは訳が違うのだ。いつ何時、危険にさらされるか分からない。むしろその危険性は極めて高い。あろうことか子ども達に怪しい人物の後をつけさせる場合すらある。

もし明智小五郎が、少年探偵団を使って解決した事件を得意げにブログに書こうものなら、大炎上必至である。

明智もある意味幼児虐待だ。

そう考えると、コナンくん達の少年探偵団も親はどうしているのだろうと思ってしまう。

全ての回を見ているわけではないが、もう100巻にもなろうとするのに、親達が阿笠博士を訴えている話は見たことがない。

仮にあったとしても、ストーリーに影響を与えるほどの事はなく、うやむやになっているはずだ。

と、ここまで書いていて、そういう妄想する僕も変人だということに気づいた。

まぁ、何か熱く語りたくなるものがあるのは、やはり作品の面白さだろうとうっちゃっておこう。

クイーン、明智小五郎、ポアロ、ミスマープルやルパンと怪人二十面相たちが戦うパロディの傑作はこちら。あえて旧版にしたのは表紙の絵も好きだから。

古い本だけど、リニューアルされたものもあり、シリーズ四冊あります。西村京太郎さんはトラベルミステリーだけではないのですぞ。

「そして誰もいなくなった」に代表されるような孤島モノや密室殺人が起き、探偵が一堂に会し、名推理を披露するパターンはお約束ながらも、やっぱり好きです。

それを逆手に取った作品もあるわけですが


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