大学ではなぜ第2外国語を学ぶのか?

「研究者とは、世界をマニアックに探求するExplayerである」と考え、いろいろとマニアックな話を聞いてまわり、Explayするタネを見つけよう!というインタビューシリーズ。

今回のマニア(研究者)

木村 守先生
東京学芸大学
人文社会科学系外国語・外国文化研究講座アジア言語・文化研究分野
教授

なんで第2外国語を学ぶの?

木村先生とは仲良し(私が思っているだけかもしれないが...)なので、いきなり、「そもそも、なんで第2外国語ってあるんですかね?」と失礼な質問をぶつけてみた。
「第2外国語、つまり英語以外の外国語も学ぶことで、世界の様々な文化・思想・理念に触れることができれば、それだけ教養も深まると思う。まさに、大学の矜持みたいなものですかね」とのこと。なんとなく、どんな理屈よりも納得できる。リベラルアーツ、教養ということであり、そこが崩れると大学は意味を失っていくのではないかと思う。

中国語は学ぶけれど、しかし

現在、東京学芸大学の1、2年生のうち、中国語を履修するのは約6割。コリア語、ドイツ語、フランス語がそれぞれ1割強、スペイン語・イタリア語が合わせて1割弱。圧倒的な中国語人気だ。しかし、中国語を履修しても、中国文化に興味を持つ学生は少なくなってきているという。いや、それでは、ツールとしての中国語を学んでいるだけで、教養としての中国語になっておらず、本来の第2外国語の意味がないのではないか?そのあたりは木村先生も同様の危機感を持たれていた。

漢詩とコンピュータ

木村先生の専門領域は中国の古典。
一番、目が点になったのは、漢詩の「索引」。
例えば、李白の詩の索引があれば、「悲」という漢字から調べられて、「悲」という漢字がどの漢詩のどの句で使われているかがわかるというもの。なんと、なんと!
漢字は一つ一つ独立して意味があるので、索引も作りやすい。さらにいうと、漢字は一字一字独立しているのでコンピュータとは相性がよく、データベースが作りやすいとのこと。(実は、木村先生はコンピュータが大好きで、中国語の研究を行わず、大学を留年しそうになったほど。当然、索引も何冊か手がけている)
なるほど。
さらに、木村先生の専門は「庾信(ゆしん)」。残念ながら未読。。。
技巧を尽くした詩文を創作する、漢詩文のジョイスのような存在とのこと。難解なのだろうが、漢詩文のジョイスといわれると心くすぐられる。
「なぜ、中国古典の研究を?」とお伺いしたら、「なんででしょうねえ、中国語を1年間でしゃべれれるようにしますよと恩師に言われたのがきっかけでしょうか」とのこと。木村先生の場合、中国語とコンピュータの相性の良さという部分も影響はあったのかもしれませんが、やはり、中国文化が好きなのだというのは、漢詩文を専門にされていることからもうかがえる。

言語教育、古典研究

第2外国語で中国語を選択しても中国文化には興味が沸かないのは、漢詩や古文を勉強するけれど、その後、古典には興味が沸かないのと同じような構造のようにも思える。第2外国語の背景にある異文化、古典の背景にある過去の文化を、教養としてではなく、内容が体に染みこむような、心が動くような学びができれば、自国の、現代の文化に縛られない、複眼的な視点を持てる人間になれるのではないか、そんな風に思える。
では、外国の文化や古典を教養として学ぶのではなく、内容に心を動かされるように学ぶためにはどうすればいいのか。
話しはそれるが、私は1920~30年代のアメリカのヒットソングをよく聴くというマニアックな趣味を持っている。100年前の人たちは、この曲をポップソングとして、エンターテイメントとして楽しんでいたのだなあと思うと、とても面白い。100年前のアメリカのポップソングと漢詩を同じに考えてはいけないのかもしれないが、当時の人は漢詩をエンタ―テイメントとして楽しんでいたからこそ、心が動いたのではないだろうかと思う。例えば「李白を読んで、涙する」そんな楽しみ方ができたとき、その文化の持つ視点を自分のものにできるのではないかと思う。
さて、どうしたら、「李白、かっけー」ということにできるのだろうか。
その後、何人かの言語教育、古典文学のマニアたちとも話をさせてもらって、私自身の気づきもあった。キーワードは「縦へのダイバシティ―」、「ツールとしての言語と思いをつくる言語」。
またの機会にまとめて書きたいと思う。

やりたいこと

■李白、かっけープロジェクト
李白を読み込んで、絵本にしたいという学生さんがいるとのこと。
古典を読み込んで、別のメディアや手法で自分なりに表現するという行為を愉しみながらできたら、李白を現代のエンターテイメントとしてよみがえらせられるのではないか!
■中国語版ファンラーニング

                            (ジンズ―)

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