見出し画像

居心地ってなんだ?

「研究者とは、世界をマニアックに探求するExplayerである」と考え、いろいろとマニアックな話を聞いてまわり、Explayするタネを見つけよう!というインタビューシリーズ。

今回のマニア(研究者)

萬羽 郁子 先生
東京学芸大学 総合教育科学系生活科学講座生活科学分野 講師

住居学ってなんだ?

住居学の研究をされている萬羽郁子先生と話をさせていただいた。
そもそも、「住居学って?」というところから。
もちろん、文字通り住空間についての研究なのだが、建築や内装のような大きな視点ではなく、もっと小さな、「住居が完成した、その後の」という視点からの研究。
例えば「なんで、棚の上の埃はちょっとベタベタしているんだ?」というようなこと。(実は、キッチンで発生した油が埃と一緒になって飛んでいくのだそうだ。オープンキッチンはカッコいいし、コミュニケーションはとりやすいかもしれないが、家中に油をまき散らしているのですと。オープンキッチンには垂れ壁があるのはそのためか!) 
住居を美しく、清潔に、使いやすい状態に保つための技能やリテラシーを研究するということが、少しずつわかってきた。

住居学を研究する本質をワードにしたい

住居学がすごく面白いことも、膨大な知恵(おばあちゃんの知恵袋的な)がこれまでも積み上げられてきていることも何となくわかってきたが、面白さがうまく伝わらない感じがした。
「なぜ人は住居学リテラシーを研究し、積み重ねてきたのでしょうか?」とお聞きしてみたところ、それはやはり「居心地」なのではないかということに。
なるほど、人類が積み重ねてきた住空間リテラシーの出発点には「居心地」があるように思われる。

居心地と教育

では、「居心地」と教育はどうかかわってくるのか?
例えば、室内温度が25度のエアコンの効いた部屋にいて、寒いと感じたら、エアコンの設定温度を変えようとする。
が、実は同じ部屋には暑いと思っている友達がいたら、「なんで設定温度あげるんだよ!」ということになる。その時、寒いのなら日当たりのいいところに行くとか、エアコンの吹き出し口から離れるということができるようになる、そんな居心地をつくりだす能力を育成する必要があるとのこと。
どこへ行っても、どんな人と空間を共有していようと、うまく自分の居心地をつくりだせる力はとても大切であると確かに個人的にも実感できる。
そう考えると「居心地と教育」から色々な課題が見えてくる。

AI、そして、ダイバーシティ

スマートハウス化が進めば、多くの人の居心地はAIが管理するようになり、多くの人は居心地をつくろうとしなくなってしまうのではないか?
そして、自分の「居心地」を理解できなくなると、他人の「居心地」を理解できなくなり、他者と同じ空間を共有する(相手の「居心地を想像し、創造してあげる」)ことができなくなってしまうのではないか?
やはり、自分の居心地を理解し、居心地をつくりだせる、生涯居心地教育はこれからの時代だからこそ必要なのではないかと思われる。

最後に

しかし「居心地」というのはとても面白い。
一人ひとり違うものだし、むしろ、一人の人間でも1日にうちで変化し、年齢によっても変化していく(変わらない部分もありそう)。
快適で、清潔で、機能的であれば、居心地がいいか?と言われれば、そうではないし、ストレスがなければ居心地がいいのかといわれれば、いや、ちょっとはストレスがあったほうが居心地がいいなあとも感じられる。
「居心地」についての研究は、かなり、ビジネスとの相性もよいという感触もある。これはexplay化する必要がある!

やりたいこと

・「居心地ってなんだ?」を深堀したい。
・生涯、自分の生活の居心地よくできる人を育てること「生涯居心地教育」
 分野を確立したい。
・多様な居心地を収集したい。
― 全学校の職員室の工夫を集めたい。
― 大学の研究室の写真をとってこだわりポイントを集めたい。
― カウンセラーの部屋の工夫
― 子ども部屋

                            (ジンズー)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?