パラレルワークの新しい形、アグリゲーターという職業が凄い!!

最近、怪物的な働き方をし始めている人を何人か見るようになってきた。彼らは、特定の分野の専門家であり、俯瞰ができるテクノロジー・エバンジェリストであり、自らも事業を仕掛ける起業家であり、他人を助けるコンサルタントであり、社長であり、投資家であり、フリーランスである。

つまり、既存の枠に縛られない働き方をして、「次々と新しいバリューを生み出し続けている」のだ。しかも、そのバリューが雪だるま式に増えていく。影響力もけた違いに上がっていく。そのスピードが凄い。

これらの人に共通する主な特徴は、
・ハイパー・コネクト・メディアを呼吸するように使いこなす。
・アウトプット(発信)が圧倒的に多い。
・同時並行的に複数の組織に所属し、名刺を5枚以上持っている。
・40代以上であり、大企業経験勤務と転職の経験がある。

彼らはいわゆるアグリゲーターと呼ばれる存在なのだ。もうすでにその存在の出現は5年前に予見されていた。2013年に発刊された以下の書籍だが、以下のサイトにも紹介されている。5年後にはそういう人が出てくると言い切っている。

ITが発達した21世紀型知識社会では企業と個人の関係が劇的に変質新しい価値を創出する力と明確なビジョンを持った人材が企業の内外で自由に活躍できるようになり、近い将来には複数の会社で仕事をするサラリーマンも登場する、と論じられています。そして同書が、そうした新しい人材の概念として定義しているのが「アグリゲーター」と呼ばれる職種・働き方です。
~日本の人事部サイト~

アグリゲーターは、ハイパー・コネクト・メディア、つまり、SNSやグループウェア、コミュニケーションツールを使いこなす。SlackやFaceBook、Zoom、Skype、G-Suiteなどを使いこなして仕事をする。これにより距離の制約を受けなくなり、時間の削減が可能になる。業務時間に縛られることもないし、同時並行してパラレルに仕事が可能になるのだ。文字通り光のスピードで時空を越えて仕事ができる

また、アグリゲーターはアウトプットが異様に多いのが特徴だ。スピードに重きを置いているために自分のことをさらけだして皆に知ってもらった方が早いからだ。従来型の企業にあるような超秘密主義の働き方はしない。あらゆるリソースを引き付ける必要があるから、自分が何をやっているか、何に興味を持っているか、何を必要としているかを常にオープンにする。

アグリゲーターは同時並行的に複数の組織に属している。一つの組織にコミットすることはアグリゲーターの才能を殺すことになる。特定の領域に強いバックグラウンドを持つ彼らは、どこでも欲しい存在であるのだが、特定の組織に所属することは管理に費やす無駄な時間も多くなることだ。アグリゲーターにはそれが我慢できない。多くの組織に所属することで所属するすべての組織に対して価値を返すことができる。

多くの組織に所属することはアグリゲーターならではの生存戦略でもある。終身雇用の終わりが声高に叫ばれる昨今、一つの組織に所属することはそれなりのリスクだともいえる。アグリゲーターが多くの組織に所属しポートフォリオを築くことは、全ての卵を同じ籠に入れないという戦略でもある。どこかがダメになってもどこかで成功できる。十分にしたたかでもあるのだ。

アグリゲーターになるためには、十分な社会人経験を積むことが必要だ。最低でもいくつかの全く毛色の違う組織文化を体験していることが重要だ。そして、特定の業務分野に対して非常に強いバックグラウンドを持つケースが殆どである

逆説的に言えば、その太い幹があるからこそ、周辺に対して大きく枝を張り巡らせていくことができるのだ。だからこそ、アグリゲーターは年齢相応に実力のある人が多い。特に、日系・外資系の双方の文化を経験しており、要職を務めた経験があり、両方の違いを理解している人が多いようだ。

アグリゲーターは掛け算の思考をするのだ。だから、広げれば広げるほど実力も大きくなっていく。だから、本質的にアグリゲーターはパラレル思考である。同時並行的にプロジェクトをこなす。パラレル・アグリゲーターと名付ける所以だ。外から見るとぐちゃぐちゃにしか見えない

また、アグリゲーターとインテグレーターも違う。どちらも多くを集めてきて掛け算の思考をするのは違いないのだが、インテグレーターは一つのプロジェクトに対して多くの要素を持ち寄り加工を最小限にして掛け合わせ、全体として機能するように調整するのが仕事だ

しかし、アグリゲーターは複数のプロジェクト全部に対して思い入れを持ち、手をかけているのが特徴だ。だから大抵のアグリゲーターは24時間働いている。週末とかワークライフバランスとかも関係ない。ワークとライフすらアグリゲートされており、ご飯を食べるのも子供と遊ぶのも仕事なのだ。

アグリゲーター同士が出会うとスパークが起きる。掛け算と掛け算が掛け算になり無限大に発散していくからだ。アグリゲーター同士は仲が良いが、あまり深く付き合いすぎると収集つかなくなるかもしれない(笑)。

一方でアグリゲーターに似ているが違う人種もいる。つまり、アグリゲーターと同じように多くの経験を積んでいるが、同時期に非常に少数のプロジェクトに対してフォーカスをして結果を出すタイプ。これらのタイプはプロ経営者や外資系のカントリーマネージャーに多いタイプだ。

アグリゲーターと違うのは個々のプロジェクトの期間が短くなること。彼ら自身の生存戦略の為にもダメなプロジェクトは捨てていかないといけないからだ。彼らは同時並行で行うパラレル・タイプと対比すると、連続的に事を行っていくシリアル・タイプであるといえるだろう。

アグリゲーターは非常に優秀な人だったり特殊能力を持つ人が多い。しかし、彼らが個々のプロジェクトを見たときにちゃんとやり切っているかどうかも注意深く見ていく必要があるだろう。時に忘れっぽかったり、細かいことを気にしなさすぎるという問題もあるからだ。

アグリゲーターは誰にでも勧められる働き方ではないが、価値を創り出していく一つの形であることは間違いない。あなたの周りにはアグリゲーターいるだろうか。そしてあなたにはその素質があるだろうか。

あ、アイキャッチ画像はアリゲーターねw。


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