写真__2_

演奏家・石川浩司(元たま)の魅力

子供たちが自作した楽器を使って石川浩司(元「たま」のランニングの人)とセッションするというゴキゲンな催し物を観てきた。新宿クリエイターズ・フェスタというイベントの一企画なので短い時間ではあったけれど、心がざわつく瞬間が何度もあって非常に楽しめた。

石川さんをあまり知らない人が思う彼のイメージってどんな感じなんだろうか。元「たま」のランニングの人で、風呂桶を叩いて奇声を上げる山下清画伯的な?概ねそれで間違いはないんだけど、ライブで観るとたぶんイメージそのままで謎の感動に包まれること請け合いなので機会があったら是非観てもらいたいと思いつつこの文章を書いている。

★石川さんの見所その1「サウンドチェックが意外と綿密」

風呂桶、スネア、手鍋、タンバリン、シンバルで構成されたすっとこどっこいなドラムセット(のようなもの)を適当に叩いているように見せかけて、何気にいつもサウンドチェックの段階で各部の音の鳴りをしっかりと確かめている。今回はキーボードのお兄さんが鳴らした音に即興でリズムを合わせていたが、まるでフリージャズのドラマーのようにしなやかなプレイをさらっと披露していて震えた。リズム感もすごくいい。

★石川さんの見所その2「ランニング姿」

「たま」全盛期を知る全ての者をあの頃に引き戻す問答無用の勝負服。

★石川さんの見所その3「独創性の高さ」

ドラムセットひとつとってもそれは十分すぎるほど窺えるのだが、かばんの中から取り出す小道具もヤバイ。企画に擦り寄った形で披露された「きらきら星」鎖を手に持ってじゃらじゃら振ることで星のきらきら感を演出したかと思えば、やかんにその鎖を入れて荒っぽく振り狂いながら
「UFOがきたぞおおおおおおおお!!!」
って叫びながら子供たちを恐怖の渦に叩き込む狂乱アクションをぶっかます。最高かよ…Σ(゚д゚lll)

★石川さんの見所その4「心に刻まれる儚さ」

朴訥とした風貌と度を越えた純粋さが生み出す儚さみたいなのがある。ジャンルは違えどフレーミング・リップスも俺のなかでは同一線上。

子供たちが自作した楽器ってのは、たとえばヤクルトの空き容器を箱に何本か刺して上からポコポコ叩くようなもの、ストローと紙で作ったような謎の笛。それらを曲に合わせて独特の感性で乱雑に鳴らしている子供たちを観ているだけでも非常に楽しかったんだけど、披露されたある1曲だけはちょっと違う意味でグッときた。えぐられた。大げさでもなんでもなく、生きてるうちにはもう聴けないかもなって思っていたあの曲。

二酸化炭素を吐き出して あの子が呼吸をしているよ
曇天模様の空の下 つぼみのままでゆれながら

タカタッタ

このドラムの入りかた。鳥肌がぶわーってたったのと同時にすげえ勢いでガキの頃の自分に引き戻された。イカ天で初めて観て度肝ぬかされて何百回と聴いてきた曲。たまのライブに行ったことがなかったので、正真正銘初めてくらう本家の凄み。石川さんは何度もライブで観たことあるけど、やっぱりランニング姿で桶を叩きながら「着いたー!!」って言われたらさ、ちょっとヤバイよ。できればオリジナルメンバー全員揃った形で観たいけど、それはなかなか難しそうな案件なのが寂しい。

いわゆる懐メロっていうのはどうも苦手というか、フジロックでストーン・ローゼズの寒すぎる茶番を観て以来、極力避けてはいるんだけどやっぱり一瞬で聴いていた当時の記憶が呼び起こされる感じはとても心地よく、音楽を聴く醍醐味のひとつだなと改めて思った。だからさ、ローゼズもちゃんとやれっつーの。あれ?何の話だっけ?とりあえず「たま」ってのは最高のバンドだったってことだ。

【後記】

「さよなら人類」の歌詞の意味についてはこんな仮説があるようです。真偽のほどはわかんないけど味わい深いのでご一読を。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1069887035


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?