見出し画像

栽培学習の延長戦にて

保育園の卒園時、チューリップの鉢植を貰った。1号のチューリップは、毎年植え替えていたのに、いつの間にか球根がなくなってしまった。2号のチューリップは、貰ってきた年から花が咲かなかった。蕾すらつかなかった。それでも諦めずに毎年植え替えていたら、4年めにして初めて花が咲いた。諦めずに続けてみるものだ。2号の同級生ママが、どうしたらいいか分からないというので引き取ったチューリップも同じように毎年植え替えて世話をしていたが、3年めを最後に球根がなくなってしまった。どういうことだろうか、ちょっと謎だ。

小学1年生はアサガオを育てるのが定番だ。1号が夏休み前に持ち帰ったアサガオの世話は、もちろん1号ではなく、わたしがやった。2学期になってまた学校に持っていくと知ったときは焦った。どうやって持っていけばいいのか分からないほど、育ちすぎてしまったのだ。子どもの栽培学習に親が関わりすぎてはいけないのかもしれない。
ところが2号が小学1年生で選択したのはヒマワリだった。あれ? アサガオ一択じゃないの? 年の差兄弟を育てていると、学習内容も刷新されるのか。ちょっと驚いたが、小さめヒマワリだったし、これといった親の出番はなかった。

あるときピーマンが植わった鉢を持ち帰ってきた。良かったらひきつづきご家庭で育ててください、というので、夫がセッセと世話を始めた。理科教師をやっていた友人によれば、寒い冬を越すのが難しいのでピーマンは日本では1年草になってしまうらしい。ところが、うちのピーマンは冬を越してしまった。寒い季節になると夜は室内に入れ、朝は外に出し、と夫が毎日出したり入れたりをしているうちに、冬を越してしまった。そうして白い花をたくさんつけ、小さいながらもたくさんの実をつけた。小さいピーマンは種をとるのが面倒なんだよなー、と思いながら、度々食卓に上がった。育てて食べる、これ以上の食育はない。もともとピーマン嫌いな子どもではないが、ますますピーマンが好きになったようだ。

イチゴが植わった鉢も持ち帰った。ピーマンで味を占めたのか、夫はまたセッセと世話をする。ネットで調べながら世話を焼き、ランナーが伸びたと言っては新しい鉢を用意し、イチゴを増やしていった。ところでイチゴは狙われやすい。収穫したイチゴには、何かの生き物に囓られた痕が出てくるようになった。フリージアの球根をネズミに盗られた経験のあるわたしが、ネズミではなかろうかと推理する。夫が入念にネズミ対策を施したが、まだ被害が出る。どうやら敵は空からやってきているようだった。敵はネズミだけではなかったと気づいた夫は鳥対策も始めた。ところが敵はまるで動じない。洗濯物が満艦飾になっていれば、さすがに遠慮するようだけれど、やつらの朝は早い。さすがにその時間帯に洗濯物は干していないので、ヒヨドリの独壇場である。とはいえ、毎日危険を冒してまで来るわけではないようで、朝から熟したイチゴを収穫して、登校前に2号が食すようになった。売っているイチゴのように形が揃っているわけではなくて、ボコボコしているけれど、おいしいらしく、イチゴ大好き2号は、朝から幸せ気分らしい。

学校の学習の延長で、栽培を継続しているだけだが、収穫の楽しみがあるので、世話のし甲斐はある。ハチが来ていても、受粉のためだと思えば、ハチの邪魔をしないように気をつけるし。ネズミもヒヨドリも、わたしたち人間同様においしいものには目がないことにも気がつく。毎日世話をしているからこそ、店頭で買うだけでは分からないことに気づく日々。いつまで続けられるか分からないけれど、できるだけ続けたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?