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リサイタルシリーズ「VS」Vol.8 亀井聖矢×イム・ユンチャン 2024/02/01

2月1日 東京芸術劇場のリサイタルシリーズ「VS」亀井聖矢さんとユンチャン・イムの2台ピアノのコンサートに行ってきました。

ユンチャン・イムは、2022年のヴァンクライバーンコンクールの優勝者 。亀井さんは、セミファイナリストです。このお二人、見かけが似ていて、現地ではよく間違われていたようでした。 亀井さんが、ユンチャンの演奏に感銘を受け、「一緒にやりたい」と申し入れていたのが今回実現したと。


華やかで楽しい2台ピアノ

プログラムは
1.亀井さんソロ ショパン:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 のアリア「お手をどうぞ」の主題による変奏曲変ロ長調Op.2
2.ユンチャン・イム ショパン/エチュードセレクション

ここから2人で・・・
3.ラヴェル/ラ・ヴァルス
4.サン=サーンス/組曲「動物の謝肉祭」(ラフマニノフ組曲から変更に)
アンコール チャイコフスキーくるみ割り人形から「花のワルツ」

兄弟みたいにそっくりな2人だけど、音質が違う2人の天才による演奏はダイナミック。そして、お二人が楽しそうに演奏されるので、こちらも幸せな気持ちになりました。

亀井さんがリーダー的な役割だったのか、終始合図を出していたような。途中ミニMCもされていて(いつもの楽しいトーク。どんどん上手くなる)、ユンチャンを盛り上げていました。「笑うのが亀井、笑わないのがユンチャン」だそうで(確かに!)。

ラヴェルはとにかく響きが素晴らしかった。そして、ラフマニノフ組曲が「動物の謝肉祭」に変わったのですが、これは面白かった。2人の掛け合いがまるで2人芝居のよう。よいコミュケーションが取れていることがよくわかりました。アンコールの「花のワルツ」。優雅な音の広がりに、出だしから、つい身体がリズムを取ってしまいました。気持ちはダンス。
この2台ピアノ、「また」はあるのかな?ぜひまた聴きたいです。

生ユンチャンを聴いて

ソロパートは亀井さんから。先日聴いた「お手をどうぞ」。いつも通りのキラキラ輝いた演奏でしたが、若干重みを持たせていたような気がしました。いろいろ試している途中なのでしょう。ショパンを研究し続けていることがよく伝わってきます。

そして、ユンチャン。
翌々日から始まる国内ツアーの抜粋。
昨年の来日時に聴きそびれたので、今回は楽しみにしていました。ソロコンサートにも行きますが、ここでもソロが聴けるとは!

まだウォーミングアップなのか、ミスタッチがほんのちょっとあったりしましたが、「うわ、これは凄い」と思いました。ユンチャンは亀井さんと同様に超絶技巧の持ち主ですが、音のバリエーションが豊富。タッチ、打鍵のスピードをコントロールしつくして、フレーズごとに使い分けているのが、素人の私にもわかります。

2025年のショパンコンクールに出るのかどうかはわかりませんが、「このまま出たら優勝しちゃうのでは?」と思うような凄みを感じました。

リストの超絶技巧練習曲で驚愕した

ユンチャン・イムを初めて知ったのは、一昨年のヴァンクライバーンコンクール。亀井さん、吉見さん、田所マルセルさんが出ていて、注目。配信も視聴していました。

すごい人がいるとネットで言われ始め、その人がセミファイナルでリストの超絶技巧練習曲全12曲を弾くというので、ベッドの中で深夜(早朝?)に配信を聴き始めました。あまりに凄くて、いつの間にか起き上がって正座して聴いていました。

リストの超絶技巧練習曲は、ラザール・ベルマンの演奏が大好きで、これまでも繰り返し聴いています。力強くて誰も真似できない演奏。

他のピアニストも、鋭く力強く弾かれる方が多いと思います。

それに比べて、ユンチャンのは柔らかい。しかも、テンポは速くもの凄い超絶技巧。18歳でこんな演奏・・・天才。

ラフマニノフ3番で泣いた

ファイナルはラフマニノフ協奏曲第三番でした。
亀井さんはファイナルには残れず、悔しい思いをされたようですが、後に書かれていた記事によると、ユンチャンの演奏を聴き「これではしょうがない」と納得されたと。

この日は、コーチングのオンラインイベントである国際コーチング連盟主催コーチングコンバージに参加していました。お昼休みの直前に演奏は終了していたのですが、すぐにアーカイブが上がっていたのでそちらを視聴。言葉を失うくらいの素晴らしい演奏に、昼食のドーナツ食べるのも忘れ、いつの間にか泣いていました。指揮のオルソップさんももしかして泣いていたかも?

会場の空気も完璧に支配していて、終わった瞬間の「爆風のような歓声と拍手」に、私も家でスタンディング&拍手👏👏👏

この方の動画も含め、何回も視聴しました。


来週のショパンエチュード全曲のリサイタル、心から楽しみにしています。
そして、この才能が今後どのように、どこまで花開いていくのか、考えるだけでワクワクします。





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