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音楽素人のライブ後記 vol.18

YOASOBI 1st LIVE
『KEEP OUT THEATER』
@ONLINE
2021.02.14
(初)


4万人以上が視聴した、
YOASOBI初ライブ。

ライブレポート企画も大きな反響を呼び、
開催後2週間で100を超えるnoteが、
書き下ろされています。

全部読んでいるんですが、
本当に素晴らしく、
熱のこもったレポートばかり。

私も書くぞ!と宣言していたんですが、
今さら正統派のレポートは書けないなと、、

そこで趣向を変えて、
私なりに今回のライブを、
3つの観点で深読みしてみたいと思います。

臨場感溢れるライブレポートは、
カツセさんによる公式レポートがオススメです(^^)/

深読み①:YOASOBIらしい


立入禁止の工事現場を、
ライブ会場に。

素敵な演出でしたよね。

多くの人が、
「YOASOBI(=夜遊び)らしい」と、
コメントを残しています。

ikuraさんもMCで、
「YOASOBIらしい場所でお送りしております」
と発言していました。

この「YOASOBIらしい」という感覚、
なぜそう感じたのかを、
もう少し探ってみたいと思います。

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まずこの「工事現場」というのが、
象徴的でした。

YOASOBIの楽曲は、
全体としてはポップに仕上げながらも、
ダークな要素を紛れさせているところが、
魅力的な特徴の1つと言えます。

例えば代表曲『夜に駆ける』も、
夜=死をモチーフにした世界観を、
キャッチ―かつポップなメロディ&サウンドで、
発信している楽曲です。


ダークさを取り入れることの魅力は、
本人達の口からも語られています。



つまり、
「ダーク」「ポップ」交差するYOASOBIの世界観と、
「工事現場」「ライブ」不条理な組み合わせ

この2つがシンクロするように感じたことで、
YOASOBIらしい」に繋がったのではないでしょうか。

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そしてもう1つ、
夜遊び」という語句のイメージにも注目してみます。

というのも、
「夜遊び」って聞くと少し、
アンダーグラウンドな印象を抱きませんか?

立入禁止の工事現場に忍び込んで
人目につかずライブを行う。

こっちの方が、
いわゆる「夜遊び」っぽい気がするんです。

そして、
そういう演出を選択することも、
きっとできたでしょう。

でもYOASOBIチームは違いました。

計算されたカメラワーク
と、
芸術性の高い特効による、
激しいパフォーマンス。

照明や音はだだ漏れで、
外から見てもすぐに気付かれる様子。

会場の場所も明かしています。

つまり普通なら認められない
建設中のビルでの「夜遊び」を、
堂々と行っていたのです。

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でもこれって何となく、
「YOASOBIらし」くないですか?

その感覚はおそらく、
YOASOBIがデビュー以来ずっと、
大衆性を意識してきたことに、
由来する気がしています。

諳んじやすいメロディと、
共感を呼ぶ歌詞。

積極的なSNS発信による、
ファンエンゲージメント

YOASOBIの楽曲やプロモーションからは、
大衆に届けたいという強い意志を常に感じますし、
その努力が報われて、
昨年末には紅白初出場も果たしました。

今回のライブは、
こうしたストーリーの上に成り立っています。

だからこそ、
工事現場=隠れて忍び込む場所ではなく、
れっきとした「遊び場」へと再定義して、
正々堂々とパフォーマンスをした姿に、
「らしさ」を感じたのではないでしょうか?

まとめ

ダーク」と「ポップ」が融合する楽曲の世界観とリンクした、
工事現場でのライブ」。

そして、
非行的な「夜遊び」のイメージではなく、
大衆的堂々とした「夜遊び(=ライブ)」。

この2つの重なりが、
「YOASOBIらしい」という感覚を、
生んだのではないでしょうか。


深読み②:建設中のビル


この「建設中のビル」というのも、
深読みできそうです。

まず始めに、
会場となった「場所」を、
確認してみましょう。

ライブ中にあった情報は、

「新宿ミラノ座の跡地」
「建設中」
「将来劇場ができる8F」


この3点ぐらいだったかと思います。

しかし実はこの建設中のビル、
ただのビルではありません

こちらの都市計画資料を見てください。

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地上48階・地下5階建て、
劇場やライブホールに加えて、
ホテルや映画館・レストランも兼ね備えた、
大型複合エンターテイメント施設

そして、
国家戦略特別区域の使命のもと、
世界のエンターテイメントシティ歌舞伎町」を目指す、
一大プロジェクトを担うビルなのです。

さらに、
こちらのプレスリリースもご覧ください。

なんとYOASOBIが所属する、
ソニー・ミュージックエンタテインメント」が、
運営に携わっています!

つまりYOAOSBIのライブ会場は、
ソニー・ミュージックが、
エンタメの未来を託そうとしているビルの、
建設現場だったのです。

さてここからが深読みです。

2年後に完成する、
ソニー・ミュージックの看板にもなり得るであろう、
日本有数のエンターテイメント発信拠点

このビルが完成するまでのマイルストーンが、
YOASOBIが描く未来へのストーリーと、
重なっているような気がするのです。

この1年でYOASOBIは、
誰もが認めるほどの、
圧倒的な飛躍を果たしました。

しかしYOASOBIチームは、
現状に微塵も満足していません

ライブ直後の、
オフィシャルツイートです。

これからのYOASOBI」というフレーズに、
あくまで通過点
というメッセージが伝わってきます。

Nスタの密着取材の中でも、
ライブ後の感想を求められたikuraさんは、
このような発言をしていました。

ライブということの中での
スタート地点に今回立ったので
きょうスタートが切れて
すごく楽しかったな幸せだったなと思います

(出典: 独占!「YOASOBI」密着 初ライブ【Nスタ】)

彼女の言葉からも、
まだまだ上の世界を見ていることは、
明らかです。

Ayaseさんはライブ直後のインタビューにて、
「完成した際にはまたライブがやりたいね *¹」
と語りました。

まだまだ建設中のYOASOBIが、
果たしてビルが完成する2年後、
どこまで躍進を遂げるのか。

答え合わせが楽しみです。

【まとめ】

ライブ会場となった建設中のビル。

2年後に完成予定の、
ソニーミュージックも携わる
世界に向けた
日本のエンタメ文化の発信拠点

YOASOBIも2年後、
世界を代表する日本のアーティストに、
なっているかもしれません。
※補足
ビルが着工したのが2019年8月。
その2か月後の2019年10月に、
YOASOBIは結成されました。

動き出したのも、
ほぼ同時期なんです。
【出典】
*¹ 【Interview】Vol.17 YOASOBIライブレポート&インタビュー


深読み③:語り手から作り手へ


YOASOBIは、
「小説を音楽にするユニット」です。

1つの物語をもとに、
主人公の想いと、
読者の想いと、
文学的視座を、
楽曲を通して代弁しています。

YOASOBIはデビュー以来、
物語の語り手としての立場を守りながら、
活動を続けてきました。

あくまでも聴く小説であって、
読む音楽であるっていうのが、
YOASOBIの理想だと思うので。

小説を読んで、
物語をしっかり咀嚼した上で僕が曲にして、
主人公の気持ちを汲み取って表現するikuraがいて、
初めて成り立っている。

うん。
そこのバランスはかなり考えて作ってます。

(出典:BACKSTAGE PASS 2021年3月号)
私ができるのは主人公の心情を代弁すること。
とにかく原作を読みこんでから歌っています。
声質も原作にあわせ、
登場人物を意識して変えています。

「夜に駆ける」は男性視点の物語なので中性的な声で、
「ハルジオン」は恋する女の子のお話なので柔らかい声を意識したり。

小説内での主人公の心情の変化に寄り添えるよう
曲の途中でドラマチックに歌い方を変えたりもしています。

出典:YOASOBI「僕たちのルーツと、いま目指すミライ

その一方で、
YOASOBIは自分達でも、
物語を紡ぎだしています。

その1つが、
紅白歌合戦への出場です。

2人は、
これまで様々な場面で、
紅白というファンに伝えてきました。

こうして応援を増やし、
拡げてもらうことによって、
自らの手で、
夢を叶えた物語を書き上げました。

さらに紅白出場を果たした6日後、
初のCD作品となる1se EP、
THE BOOK』をリリースしています。

配信済みの楽曲を集めるだけではなく、
曲順にもこだわりながら、
Epilogue」で始まり、
「Prologue」で終わる
という構成。

別々の物語として存在していた楽曲を繋げることで、
新たな物語を創り出しているように感じられます。

もちろん、
バインダー型のビジュアルブック仕様で、
1枚ではなく「1冊」のCDとなっている点も、
ストーリー性が込められていますね。

このように、
YOASOBIは少しずつ、
物語の「作り手」としての顔も見せてきました。

そしてまさに、
「作り手・YOAOSBI」真価を発揮したのが、
今回のライブだったのではないでしょうか?

全てを0から創り上げた
企画・演出。

曲順も、
初ライブにふさわしい
考え抜かれた象徴的なセットリストでした。

おそらく多くの人の予想に反して、
YOASOBIは『夜に駆ける』を最後から二番目に置き、
迷いを捨て前を向くメッセージを込めた『群青』を、
ライブの最後に添えた。

このセットリストこそが、
YOASOBIの次の一歩を感じさせるものだと勝手に解釈している。

(出典:ここが、物語のプロローグ。YOASOBI 1st Live “KEEP OUT THEATER”ライブレポート)

セットリストの物語も素晴らしいのですが、
この引用した公式ライブレポート

音楽ライターではなく、
小説家・カツセマサヒコさんが書いているところが、
象徴的です。

この「音楽を小説にする」試みによって、
YOASOBIは、
物語の主人公になったとも解釈できます。

普段は物語を音楽として届けながら、
ライブでは自らが物語となって
ファンに届ける。

そして「深読み②」で触れたように、
ビル完成までのストーリーを追いかけながら、
躍進の物語を描こうとする2人。

これからのYOASOBIには、
語り手としてだけでなく、
作り手としても目が離せなくなりました。

まとめ

小説=物語を音楽にするだけでなく、
自らが物語にもなれることを示した、
今回のライブ。

語り手作り手行き来しながら、
YOASOBIの世界はこれからも、
広がっていく気がしています。


おわりに


3つの深読み、
いかがでしたか?

YOASOBIの世界観と、
表現の余白は、
つい色々と深読みをしたくなります。

曲順についても、
まだまだ考察できそうですし、
バレンタインという日程、
壁や柱に書かれたクレジットも、
気になるエッセンスでした。

ぜひみなさんの考察も聞けたら嬉しいので、
気軽にメッセージしてください!

最後に、
YOASOBIチームの1人で、
ソニー・ミュージックのA&Rでもある、
山本さんの深読みを紹介して、
締めたいと思います(^^)

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