見出し画像

えのぐのえのぐから五年経ったというわけで、えのぐ全楽曲を語りたい。

2018年5月5日 20時30分。
VRアイドルえのぐの、初のオリジナル楽曲「えのぐ」のお披露目ライブが開催された。
最先端のVR技術によって実現された、リアルタイムでの歌とライブパフォーマンスは多くの人を魅了し、感嘆させ、VRとアイドルの新時代の幕開けを予感させるものであった。
文字通り、あの日のライブこそがVRアイドルえのぐの、ひいてはVRアイドルという概念そのものの、培ってきた集大成にして、第一歩であったように思う。

あの日から、五年がたった。


五年かあ。

五年は長いよな。

五年という月日の間に、えのぐにも、私たちにも、いろいろなことがあったし、変わったものもたくさんある。それでも「アイドル」としてのえのぐの本質は曲であり、ライブであると、今でも思う。
そこで五周年というこの節目に、2018年5月5日から2023年の今日までの間に発表されたVRアイドルえのぐの全楽曲を紹介しつつ、えのぐの切り拓いた五年間の軌跡を振り返ってみようというのが本記事の趣旨である。
といってもえのぐの楽曲は現時点でも50曲をゆうに超えているので一曲ごとの紹介はごく簡単なものにさせてもらう。幸いにもえのぐ楽曲はそのほとんどが3枚のアルバムに収録されている。以下にアルバムのリンクを貼っておくので、まずは曲を聴いていただきたい。そしてお時間がいただけるのであれば、しばしとりとめない思い出話にお付き合いいただけると幸いである。

えのぐを全く知らないという人のために簡単な紹介をしておく。
VRアイドルえのぐとは、岩本町芸能社に所属するアイドルグループである。メンバーは鈴木あんず、白藤環、日向奈央。元メンバーに夏目ハル、栗原桜子。バーチャル空間を拠点とし、VRライブやVR握手会等の活動をする一方、ライブハウス等リアル現場でのライブ活動にも精力的に取り組む。
2018年3月結成。同年11月UNIVERSAL MUSICよりメジャーデビュー(現所属レーベル:ME RECORDS)。2020年に1stアルバム「真っ白な夢の世界」、2022年に2ndアルバム「なら、真っ白から始めよう。」リリース。
TIF2019、21、22出演。TIFアイドル総選挙2022最終4位。VRアイドルを誰でも知っている当たり前の存在にすること、そのうえで「世界一のVRアイドル」になることを目指し、日々邁進している。



2018年

えのぐ

作詞:風戸ヒカリ 作曲/編曲:Yoshihiro Suda

好きな曲はたくさん増えたけど俺にとって特別な曲は結局これなんですよ。静と動、緊張と緩和のドラマティックな緩急。見た目最新なようでじっさいクラシック。今にして思えばそれってえのぐそのものだった。あの時感じた心の震えは5年経っても消える気配がありません。かしこ。

ショートカットでよろしく!

作詞:風戸ヒカリ 作曲/編曲:Wiggy

今となっては希少なえのぐのストレートなラブソング枠。ふと思ったけどこういうラブソングで季節感が秋、それでいてしっとりせず甘酸っぱい青春恋愛ソングに仕上げてくるのは面白い。へい!へい!へい!ふっふー!の覚えやすいコールに、可愛らしい歌詞とダンス。シンプルゆえに強しの代表格。

絵空事

作詞:福田うまる 作曲:川崎里実 編曲:アオヤマイクミ

バンドが加わって「完成」した曲。なんだかんだずっと一線級に強い。えのぐのハモリ曲も増えてきたけど、ハモリで魅せる曲といえばやっぱりこれだと今でも思う。二代目さん、これからもよろしくお願いします。間奏の詰めっ詰め所信表明パート大好き。ところでみんなは絵空事ラスサビ入りはタメありverとタメなしverどっちが好き?

僕たちの青春ロード

作詞:風戸ヒカリ 作曲/編曲:板垣祐介

青春ロードは今も続いている。

ハートのペンキ

作詞:風戸ヒカリ 作曲/編曲:太田貴之

この曲は現代版「木綿のハンカチーフ」なのではないかと一部(オレ)で囁かれている。都会のえのぐに染まらないで帰ってなんていじらしいことを言っても男は帰ってこないので、むしろ私のほうがあなたの心に色褪せないペンキを塗ったんだぞという気概。これってそんな女の情念みたいな曲だったんですか?中島みゆきが詞を書いた?

君がいてくれれば

作詞:風戸ヒカリ 作曲/編曲:後藤康二

あんたま結婚5周年おめでとう。

Brand new stage

作詞:唐沢美帆 作曲/編曲:佐藤純一

「クラップお願いしまーす!」が無事に継承されてよかったです。ラスサビ入りのライブ改変ととびっきりのジャンプが毎度好き。大好き。ゴキゲンなモータウンサウンドなので絶対ブラバン生演奏で最高になるやつじゃん!と2018年当時から思ってたら、ブラバン生演奏でめちゃくちゃ最高になるやつだったのでよかったです。

2019年

Yell for Dear

作詞:山崎あおい 作曲:俊龍 編曲:よる。

この曲についてはとにかく現地でペンライトを(あるいは刀を)「フレフレフレ!」してほしい。この曲の神髄はそこなので。Appare!さんがこの曲を一緒に歌ってくれて嬉しかった。というかえのぐのたくさんの楽曲の中から一緒に歌う歌としてこの曲を選んでくれたのが嬉しかった(YfD親面オタク)アイドルソングが「応援歌」になぞらえられるのって結局そういう「意味」だと思うんですよ。人から人へ、広がっていくエール。

常夏パーティータイム

作詞/作曲/編曲:クボナオキ

タオルぶん回し曲。こういうリアクションが分かりやすい曲は初見でもノリやすくて良い。1万人くらいの夏フェスのクッソ暑い会場でみんなでタオルぶん回してえよな。え?TIF初参戦にこの曲でカチこんだんですか?天才。和楽器アレンジが完全に縁日だったのも好き。でんでん太鼓もあるぞ。

作詞:Y.M 作曲/編曲:永井正道

「もし心もそれに追いつけたのなら きっとどこへだって行ける」のフレーズが、激走戦隊カーレンジャーのOP(夢を追い越したとき 僕らは光になるのさ)をほうふつとさせて個人的に好き。今この時も刻一刻と思い出に変わっていくんだ。久々の声出しで3年分のうぉーおーおーおーおーをさせてくれて嬉しかったよ。

シラユキヒメ ー 鈴木あんず

作詞:名雪 作曲/編曲:アオヤマイクミ

初雪の降った日に聞きたくなる曲。2番までの透明感のある歌い方は雪の降った朝の澄んだ空気を、ラスサビでぶわっと情感が広がる歌い方は力強い春の息吹を思わせる。

「消えちゃうわ。でもいいの。雪は消えるのが当たり前なのよ」

好きすぎてしんどローム ー ×××中毒(らぶりーぽいずん)♥たまきちゃん

作詞/作曲/編曲:神谷礼

親の顔より聞いた推しまいテーマソング(初代)。一昔前のザ・電波ソング。「ああ、たまきちゃんソロはこういう方向性でいくのね」と誰もが納得したのであった。暴走機関車のような早口パートの裏にある膨大なNG集に性格が出てる。

それでも。 ー ヒナタナオ

作詞:ヒナタナオ 作曲:柴崎あゆみ 編曲:中島生也

何億回も言ってるけど明るくポジティブなこの曲調この歌詞”なのに”タイトルが「それでも。」なのがいいのよ。「VRアイドル」でいる時は表に出さない等身大のヒナタナオの本音を”秘めながらさらけ出す”シンガーソングライターの本域。「諦めない」という一世一代のわがまま押し通していこうぜ。

City lights dancer ー Haru

作詞:山崎あおい 作曲:Haru 編曲:鶴﨑輝一

ピンと張り詰めた弦のような声質のハル姉がシティ・ポップ用の適度に脱力した歌い方をすると絶妙にJazzyな色気が出てくることを発見した人はノーベル賞とか貰ったんかな。

2020年


Colors

作詞/作曲/編曲:永井正道

この曲に対してはさまざまな感情がある。思ってたよりも速い曲調が、かえって否応なしに過ぎ去っていく季節を思わせる。この人たち3月が周年だから毎年春にライブやるんですよ。また来年も聴きたいね。桜の咲くころに。

スタートライン

作詞/作曲/編曲:エハラミオリ

門出っていろいろあるけどこの曲で門出を切れたのはものすごく幸運なことだと思う。「泥だらけの靴が繋ぎ止めた」って歌詞があまりにもエハラ節。

e☆Jump!→Dream!!

作詞/作曲/編曲:キノシタ

じゃんどりでおなじみえのぐの名刺。こういう自己紹介曲が一曲あればフェスや対バンでめちゃ便利だ。いくぞ!えのぐ!顔と名前だけでも覚えて帰ってください。

この曲をあえてラストに据えるセトリには参ったね。

ギザギザコミュニケーション

作詞/作曲/編曲:鶴崎輝一

ギザギザな気がする……でおなじみ次世代通信お届けマン。次世代通信お届けマンって何?DMM VR THEATERは俺たちの心の中とギザコミュMVの中に今も生きている。バンドアレンジ版がバカほど暴れることで有名。ゴリゴリな気がする……。「リアルも上等 えのぐの登場」←えのぐのスローガンとして完璧。選挙ポスターにして貼るか。

Welcome to Live

作詞:菊池諒 作曲/編曲:えとゆま

ライブが、はじまる。個人的に開幕この曲から始まるときが一番テンション上がる。幕が上がる瞬間の緊張と不安とワクワクが、舞台上で光を浴びる興奮と高揚が、万雷の拍手に包まれる歓喜と祝福と一抹の寂寥が……つまりは「Live」のすべてがこの曲にはある。全アイドルの教科書にしてほしい。

午前0時のプリンセス

作詞/作曲:角本麻衣 編曲:高橋修平

https://twitter.com/haru_neee/status/1608454085853982721?s=20

ぱっしゅわの時間だあああ!とにかくペンラの色が綺麗。青と紫の幻想的な光で会場が彩られて、そこにシャボン玉なんか舞っちゃったりして、もうそこは夢の国ですよ。魔法にかけられてるんですよ、私たち。いっこうに覚める気配のない。ハルんずさては世界で一番かわいいな?

無敵のヒーロー

作詞/作曲/編曲:藤井健太郎

ぱっしゅわは青と紫が混在するけど無敵のヒーローは会場が赤と緑で真っ二つに割れる合戦仕様なのが楽しい。そしてなんといってもラスサビ向かい合ってのバッチバチにぶつかり合うMCバトルが熱すぎる!ヒーローを大勢の人々の光で照らす構図は最高だと俺のDNAに刻み込まれてるんや。立ち上がれヒーロー!

Original Color Girls!!!!

作詞/作曲/編曲:キノシタ

OCG派と独自色女子派で分かれる。信頼と実績のキノシタ印。るっくみー!←かわいい。感想の寸劇パートが毎度凝ってて楽しい。この曲を和風アレンジにするとどうなるか。独自色小町になる。合いの手も豊富で声出しが楽しい曲。うぃーあーえのぐ!自分たちのアイデンティティを一番に押し出す楽曲のMVを実写で出すVRアイドルえのぐをよろしくお願いします。

It’s 笑 time!

作詞/作曲/編曲:DogP

わらふくきちゃ!ケレンミたっぷりでカラオケで歌うとめちゃ気持ちいい。この曲も外部ウケがいい気がする。とりあえず沙予さんのわらふくを見てくれ(かわいいので)。あとこいつもバンド暴れ奴2号。こいつの初出を声出し禁止の生バンドライブのアンコールでサプライズで喰らった時の俺の心情を述べよ(配点:5点)

Dreamin' World

作詞:友希 作曲/編曲:中村瑛彦

まずもって1stアルバムのリード曲を同業者からの提供曲で飾ることができるのはこの上ない光栄なんですよ。そして「真っ白なキャンバス」から始まったえのぐの楽曲の中で唯一この曲だけが「白」をトレードカラーとしているという点でも特別感がある。「わったしたちみーせてっくどりーみんわー」の振り付けめちゃ好き。

Present for you!

作詞/作曲/編曲:キノシタ

冒頭の母娘の会話と恋人たちの心躍らせる特別な夜、二つの時間を「クリスマス」というワードが繋げているのがお洒落。胸をときめかせながら恋人にプレゼントを渡しに行く聖なる夜は母親にとっては過去で、娘にとっては未来の出来事。そんな二人の待つ家に「今は君だけのサンタクロース」がプレゼントを抱えて帰ってくる……だからこそ「present for you("今"を君に)」いつか君だけのサンタクロースが現れるまで。

2021年

Love me

作詞:Lauren Kaori 作曲:ArmySlick、Lauren Kaori 編曲:えとゆま

甘さ広がるバレンタインソング。シーズンソングは持っていて損はない。ふっふぅーふぅー↑好き。足をくいっくいっとするステップがかわいい。ドゥー・ワップ調のリズムはバレンタインソングの金字塔「バレンタイン・キッス」を踏襲したものか。悩める乙女の背中を押すのもアイドルの使命。

アンプリファー

作詞/作曲:小倉しんこう 編曲:小倉しんこう/梅原新

ライブ化けの化身。爽やかに駆け抜けるギターロックにケレン味たっぷりの大見得切りリリックで間違いなく盛り上がるスマッシュナンバー。サビのぐるぐるに合わせてサークルモッシュしたら絶対楽しいやつ。ワンツースリーフォーのカウントからたまきエントリーが毎度シビれるほどカッコいい。今日もえのぐが世界を変えております。

Armor Break

作詞/作曲/編曲:山崎真吾

この曲が流れたら会場が更地になる。見どころは間奏のS・H・T(スーパーひなおタイム)。ブラスバンドアレンジでスローテンポのジャズダンスになったときは日向奈央がセクシーギルティすぎて大変でした。ところで火力の高さに定評のあるえのぐ楽曲に防御デバフ技が組み合わさったらどうなるか分かりますか?ぼくは身をもって知りました。

Magic

作詞/作曲/編曲:鶴﨑輝一

会場が夕焼けに染まる締めの雰囲気請負人。この曲って土曜夕方アニメのビーイング系のエンディング曲っぽさがありません?(俺だけがずっと言ってる)オレンジから群青へ移り変わってゆくマジックアワーの情景が照明演出と相まって美しい余韻を残す一品。ただしなんとなく、青から繋がるアルバムverは話が別。聴けば聴くほど好きになっていくのはきっと魔法にかけられたから。

BRAVER

作詞:東乃カノ 作曲/編曲:サクマリョウ

俺たちの青春に灼きついた曲。えのぐの青春ライン担当東乃・サクマ組が手がける、煌めくようなギターサウンドとど真ん中ストライクを射抜く力強いフレーズが光る。アウトロで観客もバンドメンも一緒に拳を天に掲げるあの一瞬、あの眩い一瞬のために俺はライブに行っているといっても過言ではない。また今年も熱い夏が来る。

Defiant Deadman Dance

作詞/作曲/編曲:丸山漠

えのぐが戦闘民族と称される理由の7割くらい。外部公演でこれをブチかますと一目置かれるえのぐの裏名刺。火が噴き出る会場でヘドバンしまくると全身がアドレナリンになるという真理。丸山漠からもらったゴリッゴリのラウドロックをカラスは真っ白のメンバー含む生バンド演奏で歌ってるという事実はもっと喧伝したほうがいいと思う。公共の福祉のために。

イレイザー☆ビーム

作詞:山崎真吾 作曲/編曲:中村瑛彦

ビビビビビビビ~ 歌詞がかわいらしくて振付が楽しい曲……と思っていたらMVが出てきて事情が変わった。今までなんちゅうもの撃たせてたんですか?「上手にできたかな」って何??全然誇張でもなくいまだにMV見て泣いてる。ライブだとレーザーが飛び交ってめちゃ綺麗。最近ラーメン番組とタイアップしたらしい。ラーメンタイアップ???

イレイザービームちゃん(仮)、同級生男子くん(仮)と放課後ラーメンデートしてくれ

フラストレーションガール

作詞:常楽寺澪 作曲:石黑剛、常楽寺澪 編曲:石黑剛

「この曲ってすごく私たちらしい曲で…」(夏目ハル談)
タリナイタリナイ!えのぐ解釈強火担こと常楽寺・石黑組謹製、飽くなき壁ぶっ壊し屋さんえのぐを体現しすぎている曲。この曲をVALISが歌うのはいろいろと強火すぎないか?DDDが赤い炎ならフラガは青い炎だと思う。また火の出るステージでライブやりたいね。

燈し火

作詞:東乃カノ 作曲/編曲:サクマリョウ

歩んだ旅路を飾る大団円。全員が横並びになって手を振るカーテンコールはえのぐライブ名物。オーラスの時は最後せーのっジャーンダカダンで終われるのがライブの醍醐味って感じでたまらない。彼女たちの目の前に満ちる燈し火とは何なのか、語るのは野暮ってものでしょう。えのぐの旅はこれからも続いていく。その行く手を照らす光がここにある。

kotonoha - 鈴木あんず

作詞/作曲/編曲:アオヤマイクミ

鈴木あんずさんの歌い方は一言で言うと「対話型」で、詞とじっくり向き合って「その歌が何を伝えたいか」を引き出そうとするタイプ。そう、まさにコミュニケーション推理を得意とする渋谷探偵のように…(CM)

あおげば尊シ☆ぱらだいす!! - ×××中毒(らぶりーぽいずん)♥たまきちゃん

作詞:月宮うさぎ 作曲/編曲:小池雅也

実家のような安心感覚える推しまいジングル。一昔前のアキバ系アニソン。メンツがもう某頭足類娘なのよ。コーレス盛りだくさんでアニフェスでバカの盛り上がり方したい。ぽいたまちゃんへのオファーお待ちしてます。

おでかけ日和 - ヒナタナオ

作詞:ヒナタナオ 作曲/編曲:渡辺和紀

ヒナタナオの書く曲は飾ったところのない等身大の女子って感じ。清涼飲料水とかのCMソングになって欲しい。中高生に高い支持を受けてカラオケで定番曲になってほしい。俺ヒナタナオのことYUIの系統だと思ってるな?

Precious - Haru

作詞:Takashi Matsuda 作曲:Haru、Takashi Matsuda 編曲:Takashi Matsuda

夜景煌めく80"sシティポップ。湾岸沿いのドライブデートにかけたい一曲。夏目ハルの魅力って可愛らしくも芯の通った自立した女性であるところだと思うんですよ。そういう良さがHaru名義だとより色濃く感じられると思う。

2022年

Possible

作詞:常楽寺澪 作曲:石黑剛、常楽寺澪 編曲:石黑剛

HIPHOPへ殴り込みをかましたえのぐの新境地。「レペゼンVR」の矜持の詰まった全編バッチバチのパンチラインが光る珠玉の一曲。IMを塗りつぶしブチ抜いたPossibleはえのぐが不可能を可能に「既にした」という革命宣言に他ならない。ちなみに日英両盤同時リリース。ゴダイゴか?

スタートラインー2022 ver.

作詞/作曲/編曲:エハラミオリ

https://twitter.com/anzu15_225/status/1521830328180293634?s=20

いつだってここが新しい旅のスタートライン。

鏡花水月

作詞/作曲/編曲:馬場遼太郎

4年目になって「艶」をアンロックしたえのぐの花魁道中。今風のアイドル楽曲のトレンドを抑えた4つ打ち和サイバーでクラブ映えも抜群。緩急の効いたリズムとしなやかで制動の効いたカノン・ダンスはどこか「えのぐのえのぐ」の後継を思わせる。「好きだよ…」に撃沈する人続出中。

too good

作詞/作曲/編曲:WEART

Don’t Look Down On Me!キレッキレのK-POPダンスと抑圧を跳ね除けるテンションの効いた歌声。どうしようもなくハルなおの曲なんだよ。この曲を今出すことの意気を汲んでくれと言われた気がした。誰にも負けない最強の二人、まさにtoo good。バーチャルアーティスト渾身のダンスに刮目せよ。

one and only

作詞/作曲/編曲:鶴﨑輝一

https://twitter.com/erimakitamaki/status/1563517038320308225?s=20

愛だよ、愛。

恋擬き

作詞:常楽寺澪 作曲:石黑剛/常楽寺澪 編曲:石黑剛

PS2頃の和風ファンタジーRPGの主題歌だった(存在しない記憶)。えのぐはライブが強いアイドルだけど「音源ならではの良さ」というのもあって、解釈でぶん殴る恋擬きはまさにそれ。技巧派・白藤環の真骨頂。同じ和風でも鏡花水月とは印象が被ってないのもベネ。普段のえのぐとは一味違う「物語」を読み取ってください。

なんとなく、青

作詞:小林亮輔 作曲/編曲:丸山漠

大人たちが知った風な顔で青春と呼ぶ青すぎる季節のことをえのぐが歌えるとしたら、きっとこの時が最後のタイミングだったのだと思う。この曲を初めて聞いた瞬間、4年前に歌ったこの曲のことを意識せずにいられなかった。この曲の中にはあの頃の「5人」がいるんだよ。なんでこの曲が書けるんですか。この曲DDDと同じ人の作曲ってマジ?

僕らへの詩

作詞:東乃カノ 作曲/編曲:サクマリョウ

出だしのピアノ伴奏で分かったよ。これは卒業ソングですね。「彼女たち」からえのぐへ、一人ひとり向かい合って贈る言葉。この曲も多くを語るは野暮だから確かなことを一つだけ言うならば……夏目ハルというアイドルは、ものすごく愛されていたということ。

LIVE Ⅳ LIFE

作詞:常楽寺澪 作曲/編曲:鶴崎輝一

LIVEの中に輝く4人の生き様を誇らしく歌い上げるグランドフィナーレ。彼女たちがこの節目にアイドルという人生をこんなにも晴ればれしく謳歌してくれたことは私たちにとっても報いなんですよ。まだまだ先は長い航海、めいっぱい楽しんで生きましょう。

Twilight - 鈴木あんず

作詞/作曲/編曲:アオヤマイクミ

溢れ出す情景と物語。澄みわたる声とサビの広がりが薄明の空を思わせる。昼と夜が交るあわいの時間、どこか別の世界の誰かの物語を「鈴木あんず」という巫女を通じて見ている。そんな感じ。

恋、希う - ×××中毒(らぶりーぽいずん)♥たまきちゃん

作詞:神谷礼 作曲:川崎里美 編曲:神谷礼

がらっとキャラクターを変えてきた推しまいテーマソング二代目。一昔前の乙女ゲーのOP。解釈と考察で曲を「演じ」させたら天下一品のぽいたまちゃん。何故ってそうだね、オタクだからだね。

なないろ - ヒナタナオ

作詞:ヒナタナオ 作曲/編曲:クワガタ

ヒナタナオの曲に初めて出会う17歳になりたかった。毎日この曲をMP3プレイヤーで聞きながら同じクラスの話したことないけどちょっと気になる人を視界の片隅に意識しながら電車通したかった。

Love you - Haru

作詞:松田貴志、Haru 作曲:Haru 編曲:松田貴志

これはアンサーソングじゃないですか。何のって、「夏目ハル」から、彼女への。ずるくないですかこの人???こんなの忘れられるわけないじゃん。去り際のカッコよすぎる女。言っとくけど私たちは10年後もアイドル・夏目ハルの話をし続ける所存ですからね。

2023年

星は三度瞬く

作詞:常楽寺澪 作曲/編曲:藤井健太郎

三度といわず何度でも輝け。えのぐ新シーズンのオープニング、というかスポーツ系のアニメOP。なんならタイトルロゴがパンして回想の挫折シーンが流れてライバルが立ちはだかってサビで走り出す映像まで目に浮かぶ。文脈と思想強めのえのぐ周年曲にしては驚くほどキャッチーで普遍的な、ある意味で商品的な曲。と思って聞いてれば「春になって桜が舞って……」常楽寺はそういうことをする!「星は三度瞬く」という曲名でこんなにも「三人だけの曲じゃないんだ」と思わせてくるのはズルいよ。

奇跡なんかじゃなくたって

作詞:内田直孝 作曲:内田直孝、岸明平 編曲:岸明平

第一印象はシングルB面曲。耳馴染みよく思わず口ずさみたくなるサビのメロディ。てらいなくストレートに愛を歌う歌詞。なにせオリジナルラブストーリーですよあなた。あまりにも正統派なJーPOP。もうドラマ主題歌じゃん(月9よりは木10の雰囲気)。10年後くらいにふと立ち寄ったお店の有線で流れてほしい。そしてこの「歌い方」はSSWヒナタナオからのフィードバックじゃないか。純粋にボーカリストとしての力量で魅せる円熟味。

あとがきと、未来のえのぐへ。

「えのぐ」から「奇跡なんかじゃなくたって」までの全53曲を一気に紹介してきた。

いやー長かったね。思えば遠くへきたもんだ。
5年前、緊張でガチガチになりながら初めてのオリジナル曲を披露した少女たちは今や、だれが見ても立派なアイドルになった。いくつものライブを重ね、たくさんの人々と出会い、世界を変えていった。そして私は、その最高の景色を彼女たちと共に見ることができた。いいでしょう。私の自慢です。

VRアイドルえのぐは凄い。改めてそれを伝えたくて、私は筆を執った。
えのぐは凄い。譲れない想いがある。辿り着きたい場所がある。語りたい夢がある。未来を切り拓く勇気がある。
そして何より、鈴木あんず、白藤環、日向奈央という、最高の3人がいる。

そして、君たちは3人だけではない、ということ。
日々の活動を支える岩本町芸能社のスタッフに、舞台を作るライブ制作スタッフ。楽曲を提供してくれる作曲家。いつも力を貸してくれる頼もしいバンドメンバー。同じステージに並び立つリアルアイドルたち。志を同じくするバーチャルアイドルたち。そして、えのぐみ。もちろん私もだ。

君たちの味方は、君たちが思っているよりずっと多い。本当はそれが伝えたくて、この記事を書いた。
私が勝手に断言するが、君たちと出逢った人たちはみんなえのぐのことが好きになる。そして君たちが世界を覆すとき、みんなが君たちに力を貸すだろう。なぜなら君たちは……面白いからだ。本気で世界を変えたいと願って、本当に世界を今にも変えようとしている。こんなにワクワクすることはない。君たちの夢は、賭けがいのあるものだ。誰もがチップを積みたがり、そのチップの重みで今に世界はひっくり返るだろう。だから大丈夫だ。世界を変えるたった一つの力は、すでに君たちの手の中にある。

VRアイドルえのぐは、この五年間様々な活動に精力的に取り組み、新たなことに挑戦し、矜持と礼節を胸に抱き、未だここにはない理想へと向かい続けてきた。その歩みはこれからも続いていくだろう。一歩ずつ、一歩ずつ。今も、いつでも、憧れた星に手を伸ばし、それぞれに生を生きている。そしていつか君たちは、伸ばした自分の手の中に、あの日描いた夢と同じ輝きがあることに気づくだろう。その輝きに何と名前をつけるかは君たちに任せるとして、願わくばその時にも私がこうして、語り切れないほどの思い出を語ることができたならこの上ない幸いであることを述べ、此度の結びとする。

P.S.

今回、えのぐ全楽曲について紹介をしてきたが、ここで私は一つの仮説を提唱したい。
それは「ショートカットでよろしく!、Love me、Magicの3曲が、すべて同一の人物についての楽曲である」という説である。つまり、この3曲はある恋人たちを主人公とした、一連のストーリーになっているということだ。
なぜ私がこの仮説を持つに至ったのか。鍵となるのは「季節」と「関係性」である。順を追って説明していこう。
まず「ショートカットでよろしく!(以下ショトカ)」。これは「街路樹の色が変わってきた」とある通り季節は秋、そして二人の関係性はというと、「つきあってはいるが、キスはまだ」という段階のまま、一向に進展が見られない状態のようだ。勇気を出して一歩を踏み出してくれない彼氏にやきもきし、二人の距離を一気に縮める「ショートカット」を期待する、そんな乙女心を歌った楽曲となっている。
続いて「Love me」。こちらはバレンタインの曲なので日付は2月14日。女の子の側が意中の男の子に、勇気を出してチョコを渡し告白をする、まさにその決定的瞬間をとらえた楽曲だ。
そして「Magic」はというと、「頼んだカフェラテはまだ熱くて飲めない」つまりホットのカフェラテが提供されているということは、この曲の季節は冬だ。そして二人はなにげない日々を重ね、いつしか隣にいるのが当たり前になっている。そんな円熟した関係性が見て取れる。
この3つの楽曲は、二人の関係性の進展と月日の流れがリンクした一連のストーリーになっているのだ。「Love me」で女の子の側からチョコレートと共に想いを伝え見事交際を始めた二人は、しかし「付き合い始めて何か月」も経った「ショトカ」の秋となってもそこから進展がない。二度目の冬を迎える「Magic」に至っても男の子の人を待たせる癖は治っていないようだが、重ねてきた日々は「あなたを待つのは嫌いじゃない」と言わしめるほどの特別な時間を二人に与えてくれた。そしてこの3曲を一連の流れとして見る場合、「カフェラテ」はより重要なキーワードになる。季節外れのオープンカフェに行ったり、待ち合わせの待ち時間に頼んだり、二人のデートの定番はきっと、あの日二人を結び付けたチョコのように甘い、カフェラテだったのだろう。古典的な解釈をして差し支えなければ、このカフェラテの熱さは恋の熱情冷めやらぬメタファーとして読み取ってもいいかもしれない。
そして、カフェラテに着目すると、もう一曲「カフェ」が登場する曲があることに気づくだろう。そうだ、「甘かったはずのカフェオレが少しだけ苦かった」なんとなく、青である。「なんとなく、青」の季節や二人の関係性をはっきりと断定するのは難しいが、ひとつ推察できることがある。この曲の語り手は学生だ。そして遠からず訪れる別離の予感を抱えている。「Magic」では「いつか別れは来るけど それがどんな形かもわからないけど」と漠然と形ないものだった別れの予感は、「なんとなく、青」で学生というファクターを通すことで具体的な形が浮き上がる。言わずもがな、それは卒業である。二人は卒業を控え、そして卒業を機に二人は離れ離れになるのだ。おそらく彼は……上京するのだろう。夢を叶えるために。なぜそんなことが言えるのかって、それはまさに夢を追って旅立つ人を見送った曲がえのぐ楽曲にあるからだ。
「ハートのペンキ」。プラタナスは落葉樹だ。プラタナスがまだ青々としていた季節に、彼は旅立ちの決意を告げたのだろう。ハートのペンキはよく聞けば符丁だらけの曲だ。二人の思い出の公園のベンチはどこなのか、二人が交わした約束とは何なのか、RADIOから流れてくるLOVE SONGはどんな曲なのか。私たちにはいまだに知る由がない。「あのベンチ」「この約束」と、二人の間だけにしか伝わらない合言葉だけでこの曲は交わされている。そしてその事実こそが他でもなく、二人が我々の知る由もないところで何気ない日々を重ねてきた証左なのだ。つまり「分け合ってきた時間の意味はなくなったりしない」……ということである。
そして彼女は「何回も季節が巡り景色が変わったって」彼を待ち続けている。彼の人を待たせる癖は一向に治る気配がないようだが、彼女の恋もいまだ色褪せてはいない。そうだ、「ハートのペンキ」は、「木綿のハンカチーフ」の復讐なのだ。夢を追って東に旅立ち、約束を違えてついに帰らなかった男。涙を拭くための木綿のハンカチーフをねだるはめになった、あの時と同じ結果にはならないぞというリベンジ宣言なのだ。都会の絵の具がいくら彼を染めたって、ペンキのほうがずっと強い。なんてったって「塗りたて注意」だ。塗りたての、まだ乾いてないペンキに触れたらどうなるか。そう、くっつくのだ。くっきりと色がつく。どれほどの月日が流れ、どれほど彼が都会の絵の具に染まったとしても、それよりももっと深く鮮やかな愛の色が二人の心には塗られている。彼女は諦めてなんかいないのだ。彼がこの町に帰ってくる再会の日を。
果たして二人の恋の行方はどうなるのだろうか。そしてもう一つ、「この胸は”まだ”ドキドキしてる」。彼女の恋の始まりはいったいいつだったのだろうか。最後のピースをはめるとしよう。季節と関係性を軸とするえのぐラブソング最後の一つ、「Present for you!」だ。
意中の人にプレゼントを渡そうと走る彼女の胸は「D・O・K・I ドキドキ!」と高鳴っている。そしてプレゼントを渡した帰り道、彼に「わざと遠回りして送ってもらった」のだろう。そしてその夜に言えなかった言葉、「I Love you so」を翌年のバレンタインに伝えたのだ。「待ってるだけじゃ、つまらない」から。
そして「Present for you!」は二つの時間が交差する曲だ。好きな人に渡すプレゼントと恋心を抱えて走った聖なる夜は、あるいは……母親になった誰かが娘に語り聞かせる「思い出」なのではないだろうか。そして母娘が待つ家に、プレゼントをもってサンタが帰ってくる。「”今は”君(娘)だけのサンタクロース」ということは……かつてはほかの誰かのサンタクロースだったということだ。もしそうだとしたら――「あなたでよかったなって本当に思える」未来に、きっと二人はたどり着いたのだ。

以上を簡単に図示するとこのようになる。

いちおう断っておくが、これらの楽曲はそれぞれ作詞者が異なっており、制作時期もバラバラだ。楽曲製作者が示し合わせてこれらの楽曲を一連のストーリー連作と「設定」して制作した……という可能性は無論ないであろう。あくまでもつじつまを合わせてこう”読むことができる”というだけである。
ただ、音楽というのは生き物だ。それが制作され世に出たときだけでなく、その曲が演奏され、歌われるたびに新たな作品として現出し、その時々であらためて意味を授かる。それが音楽の面白いところだと思う。一曲からだけでは読み取れない行間が、ほかの楽曲と合わせ見ることで思いがけず浮かび上がってくることもある。個々の楽曲をただ聞くだけでもよいが、それぞれの曲同士の目に見えない「繋がり」を意識してみると、より楽曲の世界を奥深く感じ取ることができる。そんな楽しみ方も、中々に乙なものである。

などと御託を並べてみたが、私の言いたいのは要するに「えのぐの曲、聞けば聞くほどいいよね・・・」という、ただそれだけのことだ。それだけのことを述べるのにずいぶんと遠回りをしたような気もするが……


風戸ヒカリの正体はとうとうわからなかったな。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?