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KIKIAU KOTONO ENERUGII #32

         遊び相手


小児科病棟は、24時間年中無休の保育園のようでした。
年齢は0歳から14歳までの小児がんで、化学療法を
受けている子ども達でしたが、笑い声や歌声が
どこからか必ずと言っていいほど聞こえてきました。
病気ではあったけれど、どこかしら活気がある病棟でした。

どの子も、体調が良い時には
点滴が下げられている台を押しながら
ガラガラとキャスターの音をさせて
病室から病室へ遊びに行ったり来たりして過ごしていました。

娘の朝のルーティーンは、回診に来る先生達に
おもてなしをする事でした。
おままごとのキッチンをベットに並べて
「先生は、何がいいですか?」と声をかけていました。

どの先生も、笑顔で対応してくださり
「とうきびを下さい」
「モグモグ、美味しかった〜ごちそうさま」
そう言って次の部屋へ回診に行かれます。

娘にとって先生たちは
本当に優しい、遊び相手と思っていたようで
それが証拠に、誕生日にもらったマニュキアセットを
持ち歩き、病棟をプラプラ・・・・。
「〇〇ちゃん、調子はどうかな?」と
聴診器を当てに来た男の先生に、診察が終わるや否や
「先生、遊べる?」
そんな風に声をかけていました。

付き合ってくださった先生達は皆
「この指にお願いします」と言って手を差し出し
娘にマニュキアを塗られて、嬉しそうにしていました。

娘は「先生、それって水で落ちるから大丈夫だよ〜」って言った後に
また、プラプラしながら他の先生に声をかけられるのを
待っていたのでした。

娘が出逢った小児科の先生達の対応には
尊敬と感謝しかありません。

最後まで読んでくださって、ありがとうございます。またの訪問をお待ちしています : )