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病気の説明

  
私と夫は、看護師に促されてナースステーションへと向かった。
ステーションの扉の前で深呼吸をしドアをノックした。

担当の医師からの説明はどの位かかったのか覚えていない。
覚えていたのは、病名と今後の検査
そして、治療しなかった時の余命。

説明が終わると、急いで娘の寝ているベットへ戻った。
今から入院生活が始まる。
ここが私と娘の生活の場になるのだ。
「医師の説明は理解できましたか?」
看護師にそう聞かれて、働いていた時に私も同じように聞いてたな
と思った。
事務的に「はい」と答えたけれど、
こんな精神状態でちゃんと理解できているかなんて
到底無理に決まってると内心思った。

私は医療従事者の立場と患者家族の立場の両方に立たされた。
病院側も、私が医療従事者だということで
期待を持たれたような気がした。
そう、「わかっているよね」みたいな・・・・。
振り返ると、いつも良い子で、扱いやすい子として褒められ
親を心配させない期待に応える子どもとして生きてきた
私の勝手な受け取り方に過ぎなかったかも知れない。
実際に期待は有ったとしても、受け入れる必要はなかったのに
私は何の抵抗もなく振る舞ってしまった。



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