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KIKIAU KOTONO ENERUGII #28

    もう、頑張らなくていいんだよ


脳出血による記憶の混乱から回復した娘は
以前の状態に戻れたかというと
癌の進行による影響でかなり弱っていました。

脳出血後、何が起こってもおかしく無い
そういう理由で、夫と私は一緒に寝泊まりしている状況でした。

起きている時の大半を車椅子で過ごし
イヤホンで好きだったポケモンのCDを聴き
私と夫が交代で車椅子を押しながら
病棟内をぐるぐると回っていました。

何か話す訳でもなく
「部屋に帰る」
娘がそう言うまで続けるのでした。

夜になると、いつも私の母から電話が来ていました。
病室にある電話なので、娘の調子がいい時には
何かしら話すことができました。

娘が亡くなった後に
私の母から、こんな話を聞きました。

お婆ちゃん 「〇〇ちゃん、今までいっぱい頑張ったね
もう、頑張らなくていいんだよ」

娘 「うん、わかったよ婆ちゃん
もう〇〇頑張んないからね」
亡くなる前日に、そんな会話がなされたということでした。

娘の返事を聞いて、私の母は最期が
近づいている事を確信したそうです。

頑張り続けてきて、末期になった今でも頑張っている娘は
母の言葉に、安心したに違いありません。

病気になってから、どんな時にも「頑張って」
「元気になろうね」「病気を早く治そうね」
そう励まし続けてきた私には
掛けられなかった言葉でした。

でも、本当はね
元気じゃなくても
病気が治らなくても
頑張らなくても
ママはあなたが大好きでした。











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