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気仙沼ニッティング 東北探検隊

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2017年8月9日から1ヶ月間、気仙沼ニッティングは東北探検隊を派遣しました。隊長に任命された私は、毎日ブログを更新しました。このマガジンはその記録です。遡ってお読みいただければ… もっと読む
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記事一覧

煙の臭いをかぎ分ける、炭焼き職人――宮城県七ヶ宿町にて

煙の臭いをかぎ分ける、炭焼き職人――宮城県七ヶ宿町にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」はこの日が最終日。気仙沼市から、宮城県でもっとも離れた七ヶ宿町へ行ってきました。
ここはほぼ、福島県と山形県の県境です。山間に囲まれた長細い町で、真ん中に国道が走っており、道沿いにいくつかの集落があります。田んぼや蕎麦畑が点在する水に恵まれた町で、人口は約1400人。宮城県で最も人口が少ない自治体で、町には信号が一つだけ。今年、町内で初のコンビニエンスストアが開店し

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「逆三日月の目になる笑顔」に励まされる――宮城県気仙沼市・唐桑半島にて

「逆三日月の目になる笑顔」に励まされる――宮城県気仙沼市・唐桑半島にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」28日目は宮城県の気仙沼市に連泊しました。残すところ、探検隊もあと二日。クライマックスを迎え、ややスローダウンしたこともあり、また泊まった宿の女将さんがとても魅力的だったのでした。
唐桑御殿つなかんは、気仙沼市街から車で30分。唐桑半島の鮪立というところにあります。昔は、鮪がよく捕れた漁港で、「まるで鮪が立って沖からやってくるよう」というのが地名の由来だそうです。

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ケープタウンが身近に感じる?――宮城県気仙沼市にて

ケープタウンが身近に感じる?――宮城県気仙沼市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」27日目は宮城県の気仙沼市へ。
いよいよ探検隊も終了間近となり、出発地の気仙沼に入りました。
迎えてくれた気仙沼ニッティングの御手洗瑞子さんと一緒に、少し早めの打ち上げです。
お店は地元で人気の「宮登」。ここは、東北探検隊と縁のあるお店です。御手洗さんは著書の中で「気仙沼でも好きなお店の一つ」として、ここ宮登について書かれていました。そして、宮登の若女将は、隊長の中

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漁港の町で焼き鳥を食べてしまいました――宮城県石巻市にて

漁港の町で焼き鳥を食べてしまいました――宮城県石巻市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」26日目は宮城県の石巻市へ。
夕方に入った石巻市は、何も知らない人が訪れたら「ここはアニメの町?」と思うかもしれません。漫画家、石ノ森章太郎さんの第二のふるさとなので、街中のいたるところに、仮面ライダーやサイボーグ009のオブジェがおかれているのです。

この日は雨ということもあり、どなたともお話しする機会がなかった。そこで夕食は、地元の人が行きそうなお店に行くこと

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牛の削蹄師。爪を切るのは、牛を愛でる人たち――福島県新地町にて

牛の削蹄師。爪を切るのは、牛を愛でる人たち――福島県新地町にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」24日目は福島県の新地町へ。
「牛の育成に爪の管理がとても大事なんです」。そんな興味深い話しを聞きました。牛は一か月に6ミリ、爪が伸びるそうです。伸びた爪では歩きにくくストレスの元となり、また怪我をしやすい。そこで、定期的に牧場では牛の爪を切るそうです。乳牛にせよ、肉牛にせよ、牛は快適でストレスのない環境で育つことこそ、いい牛乳、いい牛肉をつくりだす。そのために「爪

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「いまは、地域資源に食べさせてもらっているようなものです」――福島県会津坂下町にて

「いまは、地域資源に食べさせてもらっているようなものです」――福島県会津坂下町にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」23日目は福島県の会津坂下町へ。
郡山からクルマで猪苗代湖を過ぎ磐梯山を超えると、盆地が現れます。山間に囲まれた田園の町が会津坂下町(あいづばんげまち)です。稲穂が実りはじめ、田んぼが黄金色になる一歩手前ですが、実に美しい。同時に、蕎麦の白い花が咲きはじめ、その美しさも体感しました。

ここ会津坂下に他県から移り住んだ方が、この地に魅せられた理由を話されていました。

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店の都合でやり方を変えたら、お客はついてこない――山形県山形市にて

店の都合でやり方を変えたら、お客はついてこない――山形県山形市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」22日目は山形県の小国町から山形市へ。
山形市に入り、夕食をとるお店に入ろうと街を歩きました。観光客目当てのお店や、全国チェーンの居酒屋などもせっかくだから避けたい。できれば、こじんまりとしたお店で食べたいと思って見つけたのが、「わかしょう」という日本食のお店でした。一品料理を中心としたお店でカウンター席に座らせてもらいました。

ご主人は、10年前に独立してこの店

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小国町はスイスのようなところ?――山形県小国町にて

小国町はスイスのようなところ?――山形県小国町にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」21日目は山形県の山形市から小国町へ。
山形市からクルマで2時間半。新潟県と福島県に隣接する、山形県の端、山に囲まれた町です。面積は東京都23区より広いのですが、その95%が山という、本当に山に囲まれた町とのことです。この旅行で知り合った小国出身の方が「スイスのようなところですよ」と言われていたのが印象的で訪ねてみることにしました。

ほとんど当てもなく現地に到着し

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山形に居ついてしまったデザイナー――山形県山形市にて

山形に居ついてしまったデザイナー――山形県山形市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」20日目は山形県の最上町から天童市を経由して山形市へ。
僕は東京の人間なので、どうしても「東京から見た」東北を描きがちになります。その点を認めつつ、東北にはこんな人もいるんだと思ったのが、山形市で「アカオニ」というデザイン会社を経営する小板橋基希さんです。デザインの領域は、商品、写真、パッケージ、ロゴ、グラフィックからウェブまで幅広く、機能的でありながらどれも温かく

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廃校した小学校の意外な使われ方――山形県最上町にて

廃校した小学校の意外な使われ方――山形県最上町にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」18日目は山形県の最上町へ。
日本海岸沿いの酒田市から最上町には、クルマで約70キロ。最上川沿いを上っていく道は景色が素晴らしい。酒田の人が「最上に行くなら、秋の紅葉すごいよ」と仰っていたのがよくわかりました。
新庄市を過ぎると完全に山間を走ることになります。そんな集落もまばらな道沿いに「Café」の看板が目に飛び込んできました。Uターンして看板に従って道を降りてい

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宿のご主人は「東京で画商をしていました」――山形県酒田市にて

宿のご主人は「東京で画商をしていました」――山形県酒田市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」17日目は山形県の酒田市へ。
「いらっしゃい。長旅ですか?」
宿に入ると、滑舌のいい大きな声でこう話しかけてくれました。昔相撲でもされておられたかのような巨漢のこの方は、「日和山ホテル」のご主人でした。ちなみに、お相撲さんではなく高校時代の応援部だったとのこと。
旅人を親身にかまったくれる方です。宿帳に名前を記入しながら「酒田は初めてなんです」と話すと「この町は昔、

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「美味し過ぎる焼きそば」を出す喫茶店――秋田県にかほ市にて

「美味し過ぎる焼きそば」を出す喫茶店――秋田県にかほ市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」15日目は秋田県にかほ市の象潟へ。
象潟(きさかた)という町は、かつて松尾芭蕉が「松島に並ぶ景観」と称した場所です。象潟の湖に無数の島々が浮かんでいた光景を見た芭蕉が、そう称したのです。その後、江戸時代後期に象潟地震で海底が隆起し陸地化してしましいましたが、水田としていまなお芭蕉の見た光景の面影を残しています。そして、海沿いの町でありながら近くには鳥海山がそびえる。

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田んぼの真ん中にカフェをつくったスロバキアのご主人――秋田県大仙市にて

田んぼの真ん中にカフェをつくったスロバキアのご主人――秋田県大仙市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」14日目は秋田県の阿仁から大仙市へ。
阿仁という山村から角館に向けてクルマで走っていたら、美味しそうなパン屋さんを発見。クルマをUターンさせてお店に入りました。「パンドコロ TOSSI(とっし)」というこの店は、兵庫県の「ビゴの店」で修業されたご主人が焼くパン屋さんで、クロワッサンを購入。「パンとコーヒーが好きで」とお話しすると、近くにこのパン屋さんのパンを使ってい

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マタギという生き方を心底楽しむ人――秋田県北秋田市阿仁にて

マタギという生き方を心底楽しむ人――秋田県北秋田市阿仁にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」12日目は秋田県北秋田市の阿仁へ。
マタギに会うにはどうすればいいのだろう。ネットで調べてみたら、阿仁というところが、マタギ発祥の地で、マタギ資料館もあることがわかりました。秋田市からはクルマで二時間ほど。高い秋田杉が連なる山々をみながらどんどん山奥に入ると、マタギ資料館がありました。ここでは、マタギの歴史からかつて使っていた道具などの展示を見せてもらい。実際、いま

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