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小国町はスイスのようなところ?――山形県小国町にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」21日目は山形県の山形市から小国町へ。
山形市からクルマで2時間半。新潟県と福島県に隣接する、山形県の端、山に囲まれた町です。面積は東京都23区より広いのですが、その95%が山という、本当に山に囲まれた町とのことです。この旅行で知り合った小国出身の方が「スイスのようなところですよ」と言われていたのが印象的で訪ねてみることにしました。

ほとんど当てもなく現地に到着したので、まずは観光案内所を訪ねました。
窓口の女性の方は、ひとつひとつ丁寧に見所を教えてくれます。キャンプのできるところ、釣りのできるところ、近くの飯豊連峰を登るところ、写真を撮るのに適したところなどなど、とにかく自然が満喫できるのです。あとはお蕎麦の美味しい店、ラーメンならここなどと。
この方、観光案内の人でありながら、知り合いに話すかのように自分の感想を交えて話してくれます。例えば「私はお蕎麦あまり好きなじゃくてラーメンの方が好きなんです。でも、ここのお蕎麦はほんとーに美味しいんです!」と。地図で見つけた滝について伺うと「私は何年も最近行ってないんですけど、数日前に行かれた方がよかったと仰ってましたよ」と。

この方は地元の方なのですが、30歳で山形市に出て9年働いたあと、また小国に戻ってきたそうです。「若い頃は、いつも町を出たいと思っていました。狭苦しいし、何もないし。でも山形市から帰ってきて、本当に自然が身近にあるよさが分かるようになりました。歳なんですかね(笑)」と。確かにコンビニエンスストアも少ない町で、休日の買い物は、新潟県の亀田市にあるイオンに行くそうです。だから「亀田のイオンに行くと、小国の人にだいたい会うんです」。
この人の言葉が面白かったので、「小国はスイスみたいなところだと聞きましたが、本当ですか?」と聞いてみました。すると、「えっ、ごめんなさい、私、スイスに行ったことないんです」(笑)としどろもどろでした。

宿は、この方が「友達が来たら勧めたい」という宿「梅花皮荘」(かいらぎそう)に泊まることにしました。小国町の中心からさらにクルマで1時間。山の奥へ奥へとどんどん深く入っていきます。途中の田んぼにあるマネキンは、猿よけのためだそうで、ライフルを構えています。

ようやく到着した梅花皮荘の周辺は、川が流れ、近くの山々が見渡せる、360度景色が素晴らしい場所でした。連なった山があちこちにあり、沢も広がっていて、近くの清流の水の色が美しい。たとえるなら、上高地のようなところです。

宿の人に勧められて、景色がいいという近くの峠に行ってみました。この日は曇りでしたが、そこから見える、飯豊連峰は、何重にも山が折り重なって見えます。山が近いだけでなく、遥か奥まで次々と山が連なっているのです。山に囲まれた景観に素晴らしい場所は、他にもあるでしょうが、ここは日本ではないスケール感を感じました。こじんまりしていない、ダイナミックさがあるのです。天気がよかったらと想像するとゾクゾクします。


そこで「スイスみたいなところ」と言われた方を思い出しました。この方も、スイスに行かれたことがないかもしれません。しかし、小国町がスイスに似ているかどうかはおいておいて、そう形容したくなるのがよくわかりました。

***この日見た風景から(山形県小国町)***

道路沿いには、このような滝がいくつも見られる(小国町)

宿の近くを流れる川。水の澄んだ色が綺麗。

飯豊連峰の登山口は、森林セラピーで有名。

登山口近くを散策。立派なブナの木が連なる。

小国町を流れる清流。

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