「有馬ファジの始まり」2019.02.24 ファジアーノ岡山×水戸ホーリーホック

 ついに2019シーズンが開幕しました!サッカーのある日常おかえりなさい!
 今回は水戸との開幕戦のレビューをしてみたいと思います。監督が代わりシステムも違うということで去年までとの違い、今年やりたいことなどを掘り下げてみようと思うので試合のレビュー要素は少し薄いかもしれません。 
 今回は、攻撃、守備、攻→守、守→攻と4つの局面ごとで考えてみたいと思います。

 両チームのスタメンと基本的なシステムはこんな感じです。

 お互いに4-4-2。ただ後述しようとは思うのですが、岡山の攻撃時は4-2-2-2のように中央へ人を集めているように思いました。

◇攻撃

  自陣深い位置でのGK、DFから始まるビルドアップから見ていきます。CBがボールを持つときに両SBが幅を取ります。右SBの廣木は高い位置を取ることが多かったです。 CHのどちらかがCBの間に落ちることもあるにはありました。しかし、必ずそうするということではなくオプションの一つ位のイメージを持っているものと思います。

 この試合水戸は前からプレスを仕掛けてきました。以前の岡山であればGKから直接前線へのロングパスを蹴っていることの方が多かったと思うのですが、金山は積極的に繋いでいきました。この意識は去年とは異なるものであると思います。 

 そして、次の点が有馬ファジの特徴と言えることだと思います。

 それは右SHの久保田のポジショニングです。久保田は幅をとるよりもハーフスペースに入り相手の間でパスを受けようとします。左サイドにボールがあるときには中央まで入ることもありました。
 これは右からの攻撃を狙いの一つとして準備しているのではと思いました。久保田が中に入っていくことで廣木が上がるスペースを空けているように思いました。
 実際に左サイドでパスを回してサイドチェンジを行い廣木がクロスはチャンスを作れていたと思います。ただ回数自体はそれ程多いわけでは無かったです。もう少しこの形をシンプルに使っても良かったのではと思いました

 2トップの赤嶺とヨンジェの関係は縦関係でした。まずヨンジェが裏を狙う、そして赤嶺がヨンジェが空けたスペースへ下りていきます。この組み合わせの中では縦関係というのは決まり事なのかなと思います。
 前半は2人へのロングボールを入れる位置がハーフウェイラインを超えたあたりでパスの精度も高く良い形で入れることができていました。後半立ち上がりの失点をうけ、前に急ぐようになりDFラインからのロングボールが増えました。その結果、どうしても精度が落ちて難しくなったと思います。
 ただこの2人にシンプルに放り込む形は効果的であると思います。前述の通り水戸は前からプレスをかけてきていました。そのためシンプルにヨンジェを走らす、そしてできたスペースに赤嶺落ちてくることは効果的であったと思います。ヨンジェの何度でも裏を狙う動きは相手にとっても厄介であると思います。今年もこの形は大切な仕掛けの一つになっていくと思います。

◇攻→守

 次にボールを奪われた後の動きを見ていきます。比較的高い位置からの守備をチームに浸透させようという狙いは有馬監督からのコメントでも垣間見れたとは思います。まずは奪われた直後に近い選手がボールホルダーへプレス、周囲も連動してパスコースを潰しに行くことはかなり徹底できていたと思います。岡山と言えば前線の選手もサボらないはこれまで通り続けていく一つのスタイル言えるでしょう。
 当然ここで奪えればチャンスに繋がるのですが、逆サイドには岡山の選手が少ないという状況なので抜けられるとピンチになる可能性もあります。
 特に左サイドでボールを奪われた際、久保田が中にポジションをとっているため相手に素早いサイドチェンジを許してしまうと廣木が2人の対応をしないといけない場面もありました。
 絶対にサイドを変えさせない、さらには一度引くなどの状況に応じた決め事が徹底されればチャンスに変わるので、どのように細部を詰めるかは今後の注目だと思います。特に仲間選手のプレスバックはスタジアムが盛り上がる一つのプレイだと思うので楽しみです。

◇守備

 守備時のシステムは4-4-2です。相手のビルドアップに対して2トップが規制をかけます。まずは縦に入れさせない、SBへのパスを誘導します。これに対してSHが対応するのですが、SHの対応が遅くなってしまっていると思いました。仲間と久保田は恐らく真面目な性格で、SBに出たら全力でプレスに行くのですが、遅れているのに行ってしまい、パスコースを切ることができずにCHも対応に遅れてしまう状況が続きました。
 特に前半、ベンチサイドの久保田選手へのプレスに対して有馬監督はしきりに指示を出していました。DAZNの映像、現地での印象では恐らくもう一歩寄せろというものだと思います。
 SHが守備のスイッチが上手く入るようになれば取り所が定まるので慣れてくれば上手く対応できてくると思いました。

 水戸の2トップも縦関係のようにあり黒川が落ちる動きを繰り返していました。これに対応するためにCHが人についていくためスペースを作られてしまったと思います。なので、ゾーンで守るというより人を見る守備をしているのかと思いますが、誰がスペースを埋めるのかなど少し曖昧かなと思いました。


 上の画像は19’30頃からの水戸の攻撃です。SBへのプレスが遅れたためにその後の守備が全て後手に回っています。また、CHの2人が動かされたシーンでもあり、水戸のトップの選手の下りる動きも上手く使われました。
 またDAZNでこの後も続けて見てもらえればと思うのですが、サイドを変えられたタイミングで武田が戻ってはいるのですが廣木は2人を見ないといけなくなっています。
 久保田が中に入ることでパスカットしかけてはいるのですが取り切れない場合はこのように逆サイドで数的不利になります。

 次に失点シーンを振り返ります。

 始まりは岡山のCKでヨンジェのヘディングをGKがキャッチしたところから始まりました。GKが志知へ繋いだ時に岡山の選手は誰もプレスに行っていません。そのた、えハーフウェイラインまで簡単に運ばれます。岡山の右サイドで水戸がパスを回しながら、CHを経由してサイドチェンジを行います。

 岸田に対して仲間がプレスに行きますが清水へ縦パスを入れられます。この時も仲間は中を切り、縦に出させようという意識が手の仕草から見てとれます。
 しかし、喜山はインターセプトには至らず清水のポストプレーを許してしまいます。
 走り込んだ岸田に対して前が絶妙なパス、クロスに茂木が合わせて失点してしまいます。
 この時CBのジョンウォンのスライドが遅れているのも確かにありました。しかし、上田がカバーに下がっても良かったのではと思います。

 去年までであれば5バックになり人数はいたため何とかなったシーンでもあるのですが、今年はきちんとスライドをして誰かが出た後のスペースを埋めていかないといけないという良い教訓になったのではと思います。

◇守→攻 

前半のうちはまず近いところでショートパスを繋いでいきます。この辺りも今年の狙いの一つで保持を大事にしているのだと思います。 ただヨンジェも裏を狙う動きは見せているためシンプルに縦を使うこともありました。 今年は2つを使い分けることができそうで楽しみです。

まとめ

 どちらも4-4-2でありながら完成度の違いでやられてしまったと思います。水戸は上手く間にパスを通しながら攻撃を組み立てていけたのですが、岡山は水戸のブロックの外側を回している印象が強かったです。
 ただ久保田のポジショニングは面白いと思いました。久保田が間で受ける形があまり無かったのですがここへパスが入ると相手の守備をズラすことができると思います。
 仲間のシュートやレオミネイロのファーストタッチでのヘディング、終了間際のシュートも含めて決定機自体はありました。一つでも決まっていればという試合だと思います。

 逆に水戸は先制後もプレスを緩めず逆にもう1点取られてもおかしくはなかったです。守備の対応を次に向けて準備していく必要があると思いました。

 新監督、新システムということで完成度に関してはまだ発展途上であると思いました。ただ明るい光も十分に感じることができたとも思います。
 昨シーズンはリーグ戦では開幕戦のみの出場となったジョンウォンもビルドアップでは繋ぐ意識の高さを感じました。失点シーンに絡むことにはなってしまいましたが、それでも終始安定したプレーを見せていたと思います。

 それにまだ1試合を終えただけに過ぎません。怪我などで出遅れている選手が今後戻ってくる、監督の狙いがチームに浸透していくことを考えるとまだまだ楽しみは始まったばかりでしょう。

 まずは、毎週末の楽しみが帰ってきたことを喜びましょう。週末に向けて平日の仕事なり学校を頑張る毎日。そして週末が近づくにつれてのワクワク感。有馬ファジはまだまだ始まったばかりです。もっとワクワクした戦いを見せてくれると思います。
 次節もホームです。今度は点を取って勝つことを期待しながらまた週末の楽しみを待ちましょう!

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