業務の間に四苦八苦しながらMUD検定2級を受けてメディアユニバーサルデザインディレクターになった話

昨年6月にメディアユニバーサルデザイン教育検定(以下MUD検定)を受け、アドバイザー資格を取得したのだが、そのときにUDに感化されまくってしまい「UDを極めてゆかねばならぬ!」という謎の使命感に燃えまくり、11月にディレクター資格であるMUD検定2級を受験してきた。

12月20日、無事に合格証を手に入れて、日本で160人ぐらいしかいないというメディアユニバーサルデザインディレクターという肩書を(協会の方が言うには)ITやアプリの会社の人間として初めて取得した。

年度をまたいでしまいかなり今更感があるが、実は今年の1月くらいに折返しぐらいまでは書いていたのを投稿できていなくてモヤモヤしてしまったので、どうかご容赦いただきたい。

MUD検定2級はものすごく過酷だった

6月に受けたMUD検定3級の試験は、リンクの記事通り一日座学でその日の夕方に試験して終わり。取り扱う情報量は多いけれど、テキストの持ち込みOKかつ採点が加算方式だったので多少間違えても正解さえきちんと書けば合格できる検定だった。

なので、私は「2日間の座学と課題があるけど、2級も余裕でしょ!」とか気軽に考えていたら、難易度のレベル感が違いすぎて座学の2日間で真っ青になるぐらい頭を使って乗り切り、後日の課題に至っては過酷すぎて同僚に弱音を吐きまくりながら修正を繰り返し2回も再提出を迫られた。今回、無事に合格できたのも、座学後に行われた筆記試験の点数が高かったおかげで、講師の先生のコメントに「筆記試験はよく理解しています。課題に関しては今後の努力に期待して合格とします」と書かれるレベル。本当にどうにかこうにか合格にこぎつけた。

感想としては、2級は業務の合間に片手間でできるレベルじゃなさすぎて過酷だったということと、過酷すぎたおかげでとにかく「やりきった!」という達成感がすごいこと、これに尽きる。我ながら頑張った!

とにかくいろんな意味で辛かったので、これから2級を受ける人の参考になれば幸いである。

MUD検定2級の概要

※ MUD教育検定2級について のSS

色覚編とレイアウト編に分かれているのは3級と同様だが、一番の違いはWSの多さ。あとは土日の2日間を拘束される上、受験料が¥54,000 と個人で受けるには価格面でのハードルがめっちゃ高い。

※ その分総合格者数も多くない(160名程度)、かつ内閣府の公認資格が習得できるメリットは大きい

色覚編
特に大変だったWSは色覚編のカラーピック方法だった。3級で触れた見え方の違いや理由、それに伴う表現方法などをじっくりインプットしなおされた上で、実践トレーニングとして独自のCMYKカラーチャートを使ってコントラストや色の見え方を配慮して最適な色を選ぶ方法を教えてもらうというものだ。

例えばC:100 Y:100(緑)を基準色として赤系の色をもう一つ選べという設問だする。緑と赤は混同しやすい色なので、差を40%以上取る必要がある。なので、ここで選ぶべきはM:50 Y:100〜M:30 Y:100 のスパンの色 というのが正解。もしも赤系統という指定がなければ、混同しないシアン系統の色を選ぶほうが更に視認性が上がる。2色であればそこまで悩むわけではないのだが最大6色まで選ぶ問題が出てくる。ニュアンスカラーぽいものを上手に入れないとどうやっても6色選べないという罠があり、その濃度もこの場合はコレ、とかこの場合はこっちじゃないと他の色が選べないという形でとにかく制約だらけ!!(みっちり1時間以上練習問題を繰り返すが、それでも毎回不合格がけっこうでるらしい)

そんな6色の模範解答カラーは以下のとおり。試験ではチャートから間違いなく色を選んで回答すれば合格する。

だが、課題はそういう訳にはいかない。私が今回受験した課題はとある公園の地図をUDに配慮して見やすくするというものだったが、上記6色を上手に使い分け、プラスαとしてハッチングを使ったり文字の色や太さコントラストを調整、それ以外にも微調整云々かんぬんを駆使して、UDを適用した地図に生まれ変わった姿で提出しなければならない。

簡単そうと思うなかれ、M:70 Y:100なんてビビッドな色の使い所の難しさ!

正直に告白すると合格をもらった提出課題なんて、実際のDTP現場じゃこんなデザインはクライアントからダメ出しでるなと思うぐらい色が派手。森を表現するのにグリーンを使いたいのでC:60Y:40にして、その上に神社があるからM:70 Y:100って目に痛い!

理論上のカラーチャートをリアルに落とし込むのは本当に難しい。しかしここを丁寧に、かつ色同士が邪魔しないように配置してあげる配慮こそが、ユニバーサルデザインなのだと改めて感じられる試験であり課題となっている。

※ おまけ:P型とD型に変換。隣り合う色を入れ替えても見事に見分けやすい配色になっている

レイアウト編
基本的なレイアウトの仕組みと、組版による可読性や視認性に関してのインプット。個人的にDTPを一番長くやっていたので座学は正直知っていることばかりで全く困らなかった。が、会社から言われて来ただけのディレクター職の人は全く付いていけない方もいて、ここはかなり経験がものをいう座学であった。

その後のWSは2つ。大小に切り分けられた黒い紙を方眼紙に貼って、バランスを見るというものが1つ。

※ 変わったのをおわかりいただけるだろうか…? Before → After でかなり黒と余白の充満度のバランスがよくなった(ハズ)

この他にも、スカイツリーや隅田川の写真や文字のレイアウトを実際に切り貼りして、講師の先生(某美術系大学の元教授)にアドバイスをいただき改善する…などがあり、一日でも相当な学びがあった。

MUD検定2級の良い点、悪い点

良い点
とにかく色とコントラストとハッチングなどのUD配慮が短時間でめちゃくちゃ向上する。指導の仕方も的確で繰り返し訓練が必要なところをわかるまで懇切丁寧に教えてくれるので、全員が劇的にCUDに強くなる座学だった。

また、元大学教授が組版の基礎から大学卒業レベルぐらいまでの知識をコレでもかと詰め込んでくれる。DTPをやっていればもちろん知っていることも多いが、フォーマットとレイアウト方法ので学んだグリッド設計はかなり綿密な計算が必要だが、パチっと式にハマったときのレイアウトのしやすさはすごくて、もっと早く知りたかった!となった。

なんとなくで組版や色選びをやっていた人が2日間で学び直すには十分お得な試験だったと思う。

悪い点
MUD検定はそもそもが印刷物においてのUDから始まっているせいかWebデザインやアプリに関しての配慮は全く教えてもらえずとても残念だった(一応テキストにWebデザインのサンプルが載っていたが間違いなくミレニアル世代は開けた瞬間即刻閉じるだろうなレベルだったので察して欲しい…)

講師の先生たちの年代を考えると仕方がないのかも知れないが、これからはUDとWebアクセシビリティは切り離せない時代に入っているので、今後はぜひWebやアプリに関しての知見も取り入れてもらいたいものである。

あと、配られた課題がCDのみで焦った。今どきのiMacにはドライブないんだよ!!ということで、特別に宅ふぁいる便で送ってもらったが宅ふぁいる便はセキュリティ的に不安なので、今後はもう少しそこらへんも考慮いただけれると嬉しいなと思う。

まとめ

○ MUD検定2級は3級からは想像できないくらい課題が過酷
○ DTP向けには充実した座学と課題で54000円はそこまで高くないと思う
○ ただしWebやアプリには適していない

以上、受験の参考になれば幸いだ。

余談だが、私自身がもう少しUDを極めれるようになったら、Webやアプリ向けのUD勉強会を自社向けだけでなく開催したいなと思った。




この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

ありがとうございます。励みになります!
22

Fenrir Designers

フェンリルでデザインに携わるスタッフが運営するブログです。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。