『メギド72』第三章、『ケムリクサ』感想/2019年3月第4週-4月第1週の報告。

風邪を引いたりして書くのが延び延びになってしまった。

4月第1週目に読んだり見たりしたもの。
・『メギド72』(第三章完走)
・『ケムリクサ』(完走)
・石田英敬+東浩紀『新記号論』(読了)

以下それらについて感想を書く。

「メギド72」第三章

最近真面目に攻略しているんですが、なかなか一気に攻略はできない。ただ、第三章まではわりとサクッとクリアできました。ここまでが長いチュートリアルっぽいですね。『メギド』とはなんなのか、ようやく全貌が見えつつあります。
 そしてどうやら第三章までは初期に実装されていたらしくクリア後にグランドエンディングっぽいシーンが流れてビックリしました。

・メギドについて。
 「待って、メギドってなに?」というひとに向けて軽く説明すると、まず『メギド72』というゲームには、「メギドラル(悪魔界)・ハルマニア(天使界)・ヴァイガルド(人間界)」という三つの世界があります。そして、主人公はヴァイガルドの住人でありながらメギドラル側を仲介する「ソロモン王」の役割を担っていて、悪魔であるメギドたちを使役する指輪をもっています。
 ソロモン王はその指輪によってメギドやフォトン(エネルギー)を操作できます。指輪はもともとソロモンの伝承にあるものですが、「指」によるメギドやフォトンの操作という劇中のアクションがプレイヤーが実際に行うジェスチャーと一致している、というのがメタな立ち位置としては面白いポイントです。没入体験が捗る。
 メギド=悪魔といっても、主人公の仲間になるのは「追放メギド」といって、何らかの理由でメギドラル(悪魔界)からヴァイガルド(人間界)に追放されてヴィータ(人間)に転生した者のこと、つまり見かけは人間なんですね。必殺技を出すときにだけ悪魔の姿に戻ります。
 また、メギドたちは人間の倫理や価値観に基づいているから、メギドラル側の利益と相反する行動をします(身体的に同族であるヴィータを守ろうとする)。だから、三世界の構図を見たときに想像するような、三世界が互いにいがみ合って戦っているというアングルには還元されないわけですね。

・物語の目的=ハルマゲドンを防ぐ
 『メギド』の背景には、メギドラルとハルマニア間で生じる「ハルマゲドン」(めっちゃヤバい戦争)を止めるという大目的があります。「ハルマゲドン」は、かつて二世界間で起きたときに影響が大きすぎるあまり両世界で停戦が成立したというヤバい戦争で、巻き添えでヴァイガルドも滅茶苦茶になるので追放メギドもハルマもとにかくこれを防ぎたい。そこで要になるのが、停戦時に発効された「護界憲章」というもので、これによってヴァイガルドは両世界からの侵攻から守られることになっている。しかしヴァイガルドに満ちているフォトン(=エネルギー)がどうしても欲しいメギドラルは、どうにかしてヴァイガルドに侵攻したい。そんな事情があって、メギドラルは色々な手を使ってヴァイガルドに攻めようとしてくるので、主人公たちは頑張ってそれを防ごうとしています。

・護界憲章という法、法からの逸脱と再設定。
 「護界憲章」は法的な存在でありながら物理的な侵攻を防いでいるという存在です。この設定はとても良いと思う。そもそも主人公の仲間である追放メギドは「護界憲章」をくぐり抜けるような形で実現している脱法的な存在だと第三章で明かされます(ようやく第三章の話が!)。さらに第四章になると、上のような脱法手段や法を無効化するテクノロジーが前景化し、作中世界に奥行きが増していきます。このあたりにもグッときましたね。主人公のソロモン王はなぜか智略に長けていて(ほんとになぜ)、二章や三章など「王城攻防戦」や「国境争い」をめぐる緊張感のあるお話のなかで「おっ」と思わせてくれることが多くて良いのですが、そこに「法」というレイヤーが加わることでソロモンの「王」たる意味が問われてくるのかなと思います。
 いまやっている第四章は、不死者という強大な追放メギドが護界憲章を無効化して新しい秩序を作ろうとするエピソードで、ようはこれは法の正当性=正義についての話みたいなんですよね。先に少し書きましたが、法は正しく運用される必要があり、そのためにはソロモン王が「王」として適切な運用や基礎づけを行う必要がある。そもそも法は何によって制定されるのか。法を制定する根拠とはパワーです。腕力。したがってゲームとしてもぐんぐん敵が強くなっていく。簡単に先には進ませてくれない。「良き王」となるべく引き続きやっていきます。

ケムリクサ
11話の盛り上がりを見て、最終話が公開される前後に一気に観ました(つまり最終回には間に合わなかった)。『けもフレ』を観るタイミングを逃していたので、たつき監督の作品を観るのは初めてだったんですが、大変おもしろかったです。

おもにツボだったのは以下の二点。
1.廃墟的な世界で世界の謎を求めて探索する
2.始まりの悲劇が長い時間の果てにトゥルーエンドに至る

(1)「廃墟の世界に住んでいる絶滅寸前のヒトと正体不明の敵」というスタートの構図がとにかく良いんですが、そこで終わらずに、廃墟世界を探索するための目的=「世界の謎」と「出自の謎」がうまく回っているのが良い。物語とギミックがひとつのコンセプトのもとに融合している。ギミック面でも物語の面でも強く思い出すのは『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』ですが、もう少し個人創作のクセがつよい、「傑作インディーズゲーム」の手触りに近い。

(2)こういう話に弱い。SFとかKeyが好きなオタクに刺さらないはずがなくないですか?? 好きです。

石田英敬+東浩紀『新記号論』(読了)
週に1章ペースでしか読めなかったんですが、ついに読み終わった。
たいへん面白かった。正逆ピラミッドとか最高なんじゃないですか?
半端に触れるのもイヤなのでどこかのタイミングで書きたいですね。

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