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SDGs達成のためのオーケストレーション理論とブロックチェーンについて思うこと。

 前回、SDGsに関する記事を書いた。今回は、SDGsの具体的な達成方法について、個人的に思うことを考えていきたい。

 まず、前提としてSDGsは2015年に国連加盟国194カ国によって全会一致で採択された2030年までの世界的なビジョンである。これらの達成には、国際機関がリーダーシップを発揮して、国家やその他の非政府機関を巻き込んでいく。
 しかし、国際機関は、国家から野心的な政策目標を与えられるが、それを達成するための人、もの、金、技術などの資源が十分でないという状況がある。その理由の一つとして、国際機関が国家よりも強い影響を持ってしまった時、国家主権が脅かされる恐れがあるので国家からあまり大きな権限が与えないという政治的判断がある。
 また、もう一つの理由としては、与えられる政策目標に対して国家間での合意が完全ではない場合、他の国家や機関を拘束するほどの強い能力は与えれないので、財源や組織の運営能力、正統性が完全では与えられないというのがある。
 これらの国際組織の野心的な政策目標と限られた資源の問題を解決するために、オーケストレーションというガバナンス方式が取られる傾向にある。オーケストレーションとは、メインとなる組織が政策目標を達成するための能力や資源が不足している状況で、自発的な協力を第三者機関に要請することでその機関の能力や資源を活用し、政策目標を達成していくというものである。学術的には、メイン機関をオーケストレーター(orchestrator)、第三者機関を中間組織(intermediator)、オーケストレーターと第三者機関からの影響を受けて行動を変化させる主体をターゲット(target)と呼ぶ(O-I-Tモデル)。

  SDGsは、オーケストレーションのアプローチが求められる顕著な例である。それは、SDGsの17の目標は、貧困や飢餓、教育、ジェンダー、水、エネルギー、平和と公平などなど、広範かつ野心的な目標であり、単独の機関ではこの目標を達成できないためである。

 しかも、これらの目標は、トレードオフの関係を持っており、全体的なつながりを理解せずに個別的に問題を解決しようとした場合、一つの目標の達成がその他の目標の達成を妨害する恐れがある。例えば、個別的に全ての目標を達成することができても、全体でみると目標は達成できていないという状況が生まれる。
 つまり、SDGsの一番の目的は、包括的な目標を策定することで、トレードオフを解決することである。そのためには、各目標に関わっている人や組織の調整をする必要があり、かつ全ての組織を一つのビジョンのもとに結集し、能力不足や資源不足を補い合う必要がある。
 そのため、SDGsは、オーケストレーションという手法を活用して関連する機関の調整を行いながら、目標を達成することが求められる。

 そのための機関として、High-Level Political Forum on Sustainable Development(以下, HLPF)が設立された。この機関は、既にある国連機関や国家、企業、NGO間のパートナーシップや行動の調整を行うことを意図して設立された。年に一度の大臣級のSDGsの成果報告会や、四年に一度のSDGsの15年間の達成計画について話し合う国家元首級の会合が主となる機能である。あとは、報告書を作成することで、ボトムアップ的な行動の変化を促している。

 ここからが本題になるが、僕はこれらのSDGsの野心的な目標の達成と、非常に多くのステークホルダーが関わって、それぞれが自律分散的な行動をとっているという状況をオーケストレーションするには、コミュニケーションテクノロジーの進化が必要であると考える。特に、政治的な取り組みには、その情報の信頼性が重要になる。そこで、ブロックチェーン技術を活用することで、情報の透明性を担保し改ざんのリスクを抑える。
 そのブロックチェーンが情報を集めるために、ウェアラブル機器の活用が重要になると思う。個人の自発的な行動や意図を全体的な目的と調整するためには、音声や視覚、身体の反応などを通じて常に情報を集め、その情報をもとに全体の行動の最適化を行う。これらの情報は個人と結びつかないようにして、集められる段階で匿名化する。そして、個人にフィードバックする段階でも誰に届いたかは中央によって把握できないようにする。これによって、個人のプライバシーと全体的な効率化や危機管理を行えるのではないかと思う。
 また、各プロジェクトの進捗を全体に公開し更新し続け、これまでの経緯も含めて知ることができるようにすることで、新規にプロジェクトに関わりたい人を募集したり、足りない技術や資源を効率的に集められるようにする。
 そして、個人や組織のSDGsへの取り組みの貢献度を評価することで、全体にとってより適切な行動の学習を促進し「頂点への競争」を生み出す。もともとの境遇や持ちうる資源によって重み付けを行い、評価への反映のされ方を平等にする。自分の貢献が常に評価されているのは、気持ち的にどうかと思う部分もあるが、地球の持続可能性が不可逆な地点に来るまで荒治療としては必要なのかもしれないと思っている。

 以上の問題関心から、SDGsのオーケストレーション理論について研究させてもらっているのと、ブロックチェーンの政治的な活用を行っていきたいと思っている。

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まこつ(Makoto Matayoshi)

沖縄生まれ沖縄育ち。大学院進学を機に上京。SDGsの達成に向けて、マルチステークホルダー間の協調プロセスを研究テーマにしています(オーケストレーション理論)。暖かさは普遍的な価値だと思います。
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