Album of The Year 2018

以前はブログの方でまとめていた年間ベストですが、今年はnoteでまとめてみようと思います。では20作どうぞ。
※追記:Spotifyへのリンク等追加しました。

20. juice /iri

新世代邦楽のスターになりえる逸材だと思うiriの2枚目。新世代らしく様々な音楽の影響がフラットに入っていて(ラップもできて、メロディーも書けて、弾き語りもできる!)、所謂邦楽女性R&Bに留まらない魅力がある。素直に売れてほしい!

No.19. WORLD’S END / lyrical school

今年のアイドル界は解散、卒業が相次いだが、そんな中でもアルバムをキッチリ仕上げてきたリリスク。1枚目以来の完成度で、新体制になったことで声の高低や佇まいも含めてリリスク史上一番バランスが良い状態になっているのでは。

No.18. OIL OF EVERY PEARL'S UN-INSIDES / SOPHIE

インダストリアルがここまでポップになったのか、ポップにインダストリアルがここまで入り込んだのか、どちらかは分からないがとにかく異形でポップという意味では最前線の音像なのではないかと思う。グライムスが近々出すであろう新作も今作に相当影響されているに違いない。

No.17. Safe in the Hands of Love / Yves Tumor

根っこにはHip Hop、R&B的な要素があるものの、ノイズ、エレクトロニカ、インディーロック等ががカオティックに混ざったような何とも形容しがたい音楽。だけど、中には歌心や、エモさみたいなものが内包されていて人間臭さもあるのがかなり特徴的。海外ではバンドセットでもライブをするようだけどどんな内容なのか興味ある。

No.16. Modernluv / TAMTAM

前作に引き続き、現在進行形の洋楽を要素(The InternetやHiatus Kaiyote等)を取り入れながら、しかしグッと深夜に合うようなクールでメロウな面を押し出した一作に。そして邦楽的なメロディセンスも発揮されているのも相変わらず素晴らしく、新しい傑作が生まれた感がある。

No.15. Broken Politics / Neneh Cherry

前作に引き続きFour Tetプロデュースで制作されたアルバムで(しかも今作にはMassive Attackも参加)、近年のモードが結実したのではないかと思うような充実した内容になっている。Four Tetらしい凝ったエレクトロニカサウンドに、Neneh Cherryの歌声が乗って、トリップホップ好きにはこれ以上ないほどツボ。

No.14. Bad Witch / Nine Inch Nails

私のようなトレントレズナーを崇拝しているようなファンは毎回最高!と言いたくなるのだが、今作はここ数年で最も話題になったのではないかと思う。ヘヴィさが回帰しているからだとは思うが、確かにダウンワードスパイラルを彷彿とさせるようなキレッキレなインダストルロックが鳴っている。ボウイへのオマージュを捧げた(と思われる)曲もあり、EPサイズといえども聴きどころは多い。

No.13. The Calling / Sevdaliza

イラン生まれのオランダ人シンガーSevdalizaによる2017年のフルアルバムに続くEP作品。トリップホップの系譜にいる人は毎年何らかの形で出てきているような気がするが、その中でも最もエキゾチックな雰囲気を醸し出していて、妖しさに惹かれる。来日公演が正式に発表される前に無くなってしまったようだが、ぜひリベンジをお願いしたい。。

No.12. Age Of / Oneohtrix Point Never

「21世紀の電子バロック音楽」ということで、有機的でクラシカルな鳴りをしつつ、それでもなお露悪的な電子音使いである感じも残していて本当にコラージュの上手い人だなと感心させられる。来日公演では映像とともに世界観を表現するようなライブになっていた。正直映像の方はよく分かなかったけど、思ったよりもプレイヤー感溢れるものになっていて意外で良かった。

No.11. And Nothing Hurt / Spiritualized

力強く美しいロックアルバム。今までの集大成的に宇宙を感じるような壮大なサウンドでありつつも、同時にもの悲しさや枯れを感じさせるようでもあり、なんとも言えない味わいがある。疲れた時にそばに置いておきたいような1枚。来日公演では曲順通りに再現していて、貴重なものを見られてよかった。

No.10. Queen of Golden Dogs / Vessel

Yves TumorやOPNなどの実験的な内容のアルバムが内容が並ぶこのリストだけど、このVesselの3枚目は中でも最もぶっ飛んでいる。祭りだ!とでも言いたくなるような怒涛のビートに、中世的なメロディーが飛び交う。「クラシック・レイブ・エレクトロニック」と形容されているが、最早何なのかよく分からないのが最高。

No.09. Joy as an Act of Resistance / IDLES

久々に一聴してアガッたロックアルバムになった。曲展開は凝ったものがありつつも、やさぐれ男臭さが前面に来るような、(ポスト)パンクサウンド。ロックバンドが持つマジックをパッケージングできた、奇跡ような一枚。ライブがマジで楽しそうなので、来年絶対フェスに来てほしい。

No.08. Dirty Computer / Janelle Monáe

ブラックパンサーが公開された今年にアフロ・フューチャリズム的なジャケットで、女性のアイデンティティとセクシャリティを現すメッセージがあり、プリンスを筆頭とした80'sと現代のR&Bをハイブリッドし・・ととにかく隙がない。しかもこの上なくポップな内容で、今年の顔となるアルバムといえばコレになるのではないかと思う。

No.07. Ordinary Corrupt Human Love / Deafheaven

サブスク時代に7曲で1時間を超える尺、ブラストビート満載という時代とは逆行しているけれども孤高になりつつあるなと。ブラックメタルだのシューゲイザーだのあまり関係なく、彼らの推し進めてきた世界観が深化してスケール感がアップしたなという感動がある。Chelsea Wolfeとカップリングツアーしないかなー。

No.06. Singularity / Jon Hopkins

素直に聴けてしかも非常にハイクオリティな音像で、何気なく何度も聴いてしまうようなエレクトロニックミュージック。何年か経っても風化しなさそうな、末永く聴き続けるであろう作品。言葉で素晴らしさを表すのが難しいがとにかく一聴の価値あり。

No.05. Double Negative / Low

今作で初めて彼らの音を耳にしたわけだけど、過去作を少し聴いて比較した限りでは今作で突然変異したよう。ヴォーカルにはエフェクトがかかり、かき消すようにノイズがあり、しかしふとした瞬間にこの上なく美しいメロディーがあり・・凄まじい音像をしているのでスピーカーで爆音で聴くとトリップすること必至。KID Aと比較されることもあるようだけど確かに納得。

No.04. Negro Swan / Blood Orange

今年に入って漸く、近年のブラックミュージックの潮流に本気でノレた感があるのだけど(それでもまだつま先ぐらい)、インディーロック好きが入る入り口としてBlood Orangeは最適なんじゃなかろうか。内容的には重苦しいものがあるものの、表面的な音だけをみれば上質で甘美なソウルで聴きやすい。何度リピートしても飽きない内容になっていると思う。アートワークも儚くて好き。

No.03. 2012 - 2017 / A.A.L. (Against All Logic)

天才ニコラス・ジャーの別名義。ソウル、ファンクをサンプリングしてダンサブルなものに仕上げながら、細かく細かくコラージュがされていて、やはり一筋縄ではいかない感じが流石。いい意味で本人名義よりも軽さがあって聴きやすく、もしこれをサラリと作っていたとしたらホントに末恐ろしい。当たり前のように年間ベスト3には食い込むよね。

No.02. A Brief Inquiry Into Online Relationships / The 1975

今まで聴いてこなくてごめんなさい、まさかこのバンドがこんなホームランを打ってくるとは全く思ってなかった。色々なところで言われているように10年代を総括するような音楽が次々と登場し、SNS時代を歌う、後になって「10年代がどんな時代だったか」を思い出すときに語られそうな内容になっている。そしてこのロックがヒップホップ/R&Bにセールス的にも引けを取った時代に、バンドとして何を鳴らすか、最高の曲順でアルバムを構築するかを真摯に考え抜き、それが結実していて非常に感動的。これは今この時代に聴いておくべき。

No.01. Cocoa Sugar / Young Fathers

何をインスピレーションにして、どういう思考で作ったのか具体的にはよく分からないけど、異形なものが突き抜けた結果ものすごくポップに聴こえるということが起きているアルバム。音楽性がボーダレスなのはもちろん、楽曲として強度があって、例えばライブで再現したとしてもなんだこれは?という感じで盛り上がるのではないかと(昨年のMassive Attackでのサポートアクトでもその片鱗は見えたが、このアルバムを通過した後で現在どうなっているのか実際に見てみたいところ)。
ポップさ、ジャンルレスさ、温度感、オーガニックさどれをとっても自分には理想的なバランスで、しっくりくるこれぞ!という作品で、今年のNo.1はこれ以外はありえない。

他にはDJ Koze、宇多田ヒカル、tUnE-yArDs、TOM MISCH、Jorja Smithなども良かったです、ここには挙げきれないぐらい。

まとめ
01. Cocoa Sugar / Young Fathers
02. A Brief Inquiry Into Online Relationships / The 1975
03. 2012 - 2017 / A.A.L. (Against All Logic)
04. Negro Swan / Blood Orange
05. Double Negative / Low
06. Singularity / Jon Hopkins
07. Ordinary Corrupt Human Love / Deafheaven
08. Dirty Computer / Janelle Monáe
09. Joy as an Act of Resistance / IDLES
10. Queen of Golden Dogs / Vessel
11. And Nothing Hurt / Spiritualized
12. Age Of / Oneohtrix Point Never
13. The Calling / Sevdaliza
14. Bad Witch / Nine Inch Nails
15. Broken Politics / Neneh Cherry
16. Modernluv / TAMTAM
17. Safe in the Hands of Love / Yves Tumor
18. OIL OF EVERY PEARL'S UN-INSIDES / SOPHIE
19. WORLD’S END / lyrical school
20. juice / iri

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