Albums of The Year 2021

2021年の年間ベストアルバムをゆるく紹介しようと思います。今年もコロナ禍が続いたのもあってチルい感じがメンタル的に心地良い感じになりました。20作、簡単にコメント付きでどうぞ。

20. " LET’S JUST SAY THE WORLD ENDED A WEEK FROM NOW, WHAT WOULD YOU DO? " / HONNE
非常にポップで聴きやすさで言えば随一のHONNE。ゲストも多めでなかなかに華やかなアルバムで、夜のドライブとかにハマる。

19. " STILL SUCKS " / Limp Bizkit
年間ベストにリンプを入れる人は少ないだろうが、世代なので・・。10年ぶりに突如としてリリースされた今作でも、本気でふざけ倒しているのにリフとかは特異性があって素晴らしい。「未だにクソ」というタイトルも最高。

18. " Happier Than Ever "/ Billie Eilish
1stではその歪さ自体も評価されていたように思えるが、今作は楽曲それ自体とか構成で順当進化したような内容に。予想以上に「アルバム」としてクラシカルな趣さえあるように思える。後半に置かれている表題曲はもはやアンセム。

17. " Mother "/ Cleo Sol
今年も冴えまくりのInfloプロデュース作品。その中でもシンプルながら、鳴っている音の凝縮具合や選び抜かれた感じが素晴らしいのが今作。コロナ禍のムードにも合ったような気がするが、塞ぎこんだ感じではなく開けているように聴こえるのも◎。

16. " Cavalcade " / black midi
新時代のキンクリとも言われている(?)、black midiの2枚目。混沌として緩急のつけ方がぶっ飛んでいるのが相変わらず素晴らしい。ただ意外とメロディーが聴きやすかったりして、いわゆるプログレとかマスロック的な文脈だけではない飛躍を期待。来日公演が中止になってしまったのは本当に残念だった・・・。

15." CALL ME IF YOU GET LOST " / Tyler, the Creator
カニエやドレイクが若干失速した感があり、ケンドリック・ラマーも現時点では新譜を出していない2021年にとって、個人的にはあまりラップに手が伸びる年ではなかったかなと(あまり積極的に掘ってもいなかったが)。その中でも今作は聴くたびに良くできているなーと思ったのは、やはり圧倒的に音楽的に豊かだから。

14. " Californian Soil " / London Grammar
あまり積極的に評価しているメディアや人を見かけないのだけど、これ個人的にはツボにハマりまくりだった。結構モロにMassive Attackな表題曲もあれば、アップリフティングなエレクトロ曲もあったり、過去作よりも開けた印象がある。なんとなく、The XXの"I See You"を想起させるようなと言えば分かりやすいだろうか。あととにかく、7曲目の"Baby It's You"が名曲!

13. " Ultrapop " / The Armed
ハードコアにシンセをカオティックにぶち込んで、謎な高揚感が生まれている今年一番の奇天烈アルバム。タイトルに偽りなし。1曲が短いのがより疾走感を生み出していて、功を奏していると思うのだ。

12. " The Art Of Losing " / The Anchoress
過去にはマンサンのポール・ドレイパーのプロデュースだったり、今作でもマニックスのジェームスが参加していたりして、たしかにその独特の「ねちっこさ」は親和性があるかも。最近こういった耽美なアートロック的な作品が少なかったように思えるので、若干の懐かしさも感じつつ愛聴しとりました。

11. " 20,Stop it. " / KID FRESINO
ドラマ主題歌の客演など時代の真ん中にいる感じがするが、このアルバムは今聴いてもその完成度やトラックの鋭さには驚く。色々な音楽的要素があまりにも洗練されて溶け込んでいるように聴こえるので、なんとなく全体がツルっとして捉えどころがないようにも思えるのだけれど、聴けば聴くほどその凄みにハッとさせられるような。

10. " It's All Smiles " / No Rome
The 1975との共作も経てようやくリリースされた1stアルバム。ウェルメイドなポップ作品を出してくるのかなとなんとなく思っていたので、ハイパーポップとノイズが共存するようなアグレッシヴな内容に最初は驚いた。ただそのノイズだったり時折現れるシューゲイザーっぽさだったりが、すべてヒリヒリするような「エモさ」に繋がっているのが素晴らしい。もちろんメロディは超ポップ。

09. " Mood Valiant " / Hiatus Kaiyote
前作から6年も経ってしまったが、ずっと待ち続けていた3作目。ジャンルレスで変則的で、なぜオーストラリアからこんなバンドが出てきたのは謎だけど、このグルーヴにもっていかれる。相変わらずどうノレば良いか分からんが、とにかく気持ち良い。結構来日してくれるので、またこのグルーヴを生で体感したい。

08. " Good Grief! " / James Ivy
これはEPなので厳密にはラインナップしてはいけないのだが、とにかく素晴らしいのでここに入れておきたい。90年代~00年代前半ぐらいのオルタナ、エモらへんを想起させつつ、ハイパーポップを通過しためちゃ今っぽい音になっている。それに加えて、何より素晴らしく曲が書けている上に、若干だけしゃがれた声も最高で、2020年代の始まりとしてはドンピシャじゃないかなと。次世代のスターになりえるのか、今から本当に楽しみ。

07. " Life's a Beach " / Easy Life
チルくて、ユルくて、絶対に毎年夏に聴きそうなEasy Lifeのデビュー作。結局こういうのがあれば他に何もいらないんじゃないかと思うぐらいの心地良さでずっとこれに浸かっていたい。ただ、いきさつとしてはロックダウンがもろに影響していたり、不眠症やメンタルヘルスがテーマになっていたりしてそこはかなり現代的。できるだけ早く、サマソニのビーチステージにおいでよ。

06. " Collapsed In Sunbeams " / Arlo Parks
マーキュリー・プライズも獲得した、2021年最大の新人といえば彼女だろう。R&Bは勿論、インディ、ジャズも各要素が濃すぎず軽く乗りこなして、全方位的にいい塩梅的な作品だと思う。声もメロディーも良いし、レーダーチャートで全パラメータ平均以上的な感じとも言える。どんなシチュエーションでも、どのジャンルが好きでもハマる普遍さがある。

05. " Infinite Granite "/ Deafheaven
ブラックメタル畑でももともとシューゲイザー要素があったりした彼らだけど、ここまでクリーントーンでキラキラ感を前面に出してくるとは思わなかった。ただ単なるシューゲイザー、ポストロック的な作品というわけではなく、ドラムを筆頭にかなり動きのある作風であり、それが独特の陽性さや美しさを感じさせる。ラストにはスクリーム&ブラストが来る構成も憎くて素晴らしい。

04. " fishmonger " / underscores
2020年代のポップはこういうものがスタンダードになるのだろうか。エモ/パンクからシームレスにエレクトロに行き来しながら、いわゆるハイパーポップな突き抜けをして、めちゃ聴きやすいという、ものすごい中毒性ある音楽。結構真面目に時代更新するんじゃないかと思うのだけれど、さてどうなるか。

03. " Colourgrade " / Tirzah
かつてはトリッキーのアルバムに参加していた、Tirzahの2枚目。音数の少ない、非常に歪で退廃的な、ラフとまで言ってしまっていいような実験的な作品になっている。ただ時折、ブリストル・サウンドであったり、ArcaやFka Twigsと共鳴するような瞬間があり、ハマる人にはとことんハマるはず。深夜に聴くベースミュージックとして最高なんです。

02. " Sometimes I Might Be Introvert " / Little Simz
前作の"GREY Area"を2019年のベストアルバムに選んだが、いよいよ超絶傑作をドロップしてきた、という感慨が生まれるような圧倒的感がある。Infloプロデュース作の集大成としては勿論、彼女のラップも相変わらず鬼スキル。オーケストラの導入での壮大感や、ラップだけでなくソウル、ファンクも織り交ぜた、いやー実に隙のないアルバム。2021年の名盤として語り継がれることだろう。

01. " if i could make it go quiet " / girl in red
かなりありのままにレズビアン的な心情を歌ったり、メンタルヘルスの苦悩を緩急ついたポップで表現した"Serotonin"(フィネアスプロデュース)など、Z世代の代表的な評価を目にしがちな彼女。確かにその要素も強いが、個人的には音楽的な幅広さやバランス感覚が凄いのではと思っている。インディも、シンセポップも一緒くたになりつつ、全体的にリバーブ掛かった陶酔サウンドが独特。そのうえ、メロディーとしては純粋に「良い曲」だし、ポップアルバムとして完成度が高い。

というわけで新世代ポップの萌芽を随所に感じるような素晴らしい作品が多数リリースされた素晴らしい年でした。来年こそフェスとか来日公演が復活するような1年になるといいですね。最後まで読んでいただいてありがとうございました。

01. " if i could make it go quiet " / girl in red
02. " Sometimes I Might Be Introvert " / Little Simz
03. " Colourgrade " / Tirzah
04. " fishmonger " / underscores
05. " Infinite Granite "/ Deafheaven
06. " Collapsed In Sunbeams " / Arlo Parks
07. " Life's a Beach " / Easy Life
08. " Good Grief! " / James Ivy
09. " Mood Valiant " / Hiatus Kaiyote
10. " It's All Smiles " / No Rome
11. " 20,Stop it. " / KID FRESINO
12. " The Art Of Losing " / The Anchoress
13. " Ultrapop " / The Armed
14. " Californian Soil " / London Grammar
15." CALL ME IF YOU GET LOST " / Tyler, the Creator
16. " Cavalcade " / Black Midi
17. " Mother "/ Cleo Sol
18. " Happier Than Ever "/ Billie Eilish
19. " STILL SUCKS " / Limp Bizkit
20. " LET’S JUST SAY THE WORLD ENDED A WEEK FROM NOW, WHAT WOULD YOU DO? " / HONNE

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