山形戦の備忘録-2周目-

 4連勝です。誰が何と言おうと4連勝です。4連勝できない呪いはもう解けました。異論は認めません。

前回対戦

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スタメン

岡山の4222保持対山形の523守備

 キックオフから山形がジェフェルソンバイアーノ(以下バイアーノ)を走らせるロングボール⇒高い位置の守備を仕掛け、岡山がそのプレッシャーを回避するために前線のヨンジェと赤嶺にシンプルなロングボールを蹴るという展開でスタートしたこの試合。高い位置でプレーする時間を増やして主導権を握りたいとする両者の思いが伝わるどちらかといえば大味な5分を過ぎると、徐々に試合は岡山のボール保持VS.山形の非保持という、前回対戦と似たような構図になっていく。

 岡山のボール保持時の基本システムは、SHの仲間と関戸が中に絞り気味のポジションを取る4222のシステム。これに対して山形は523のシステムで岡山のボール保持に対抗する。山形は前の5枚が五角形(ペンタゴン)を形成して、中央スペースを塞いでパスコースを制限、制限をかけたところで後ろの5枚がラインを上げて迎撃してボール奪取⇒縦トランジション攻撃を狙いとしているようだった。

 山形のこの守り方だと一番の弱点になるのがCH(本田と中村)の脇スペース。SHが中に絞っている岡山は構造上このスペースを叩きやすい。6:40~、岡山この試合最初のボール保持攻撃では、仲間がこのスペースでボールを受けてドリブルでWBの三鬼を引き付けると、三鬼の背後のスペースをヨンジェのパラと椋原のオーバーラップで利用し、最終的に椋原のクロスで攻撃を完結させた。

 前述のような形でスペースを使われるのは避けたい山形。何とか岡山の後方でのボール保持を妨害したいところだが、特に前半は上手く行かなかったというのが実情。その大きな理由が、上田・喜山のCHのポジショニングの工夫であった。2人が入れ替わり列を下りるサリーの動きを入れながら常に濱田とジョンウォンのフォローに回る形を取ることで、岡山は後方での数的優位を保つことができていた。CHだけでなく、椋原・田中のSBも片方が落ちてボール保持に参加する場面も見られた。

 岡山が下がったんだったら山形は追いかければいいじゃん、ということになるかもしれないが、前述の山形の守り方だと、前のペンタゴンはあまり崩したくない。またシャドーorWBを迎撃に向かわせると、ハーフスペースや大外にポジショニングさせている岡山に空いたスペースを利用されて前進を許してしまう。最前線のバイアーノが二度追い三度追いとできるタイプでもなかったので、20分を過ぎた頃から山形は全体のラインを下げて撤退を選ぶことになった。なお高温多湿の状況のため、前半は意図的に奪いに行かなかった可能性も高い。

 こうして後方でのボール保持に成功し、自分達の時間を得ることができた岡山。ボール保持が全てではないが、ボールを保持する方が時間を能動的に使えるというのもまた事実。常にラインブレイクの機会をうかがうヨンジェや、下がり気味のポジションでポストプレーを行う赤嶺にダイレクトにボールを届ける形を入れながら、岡山が主導権を持って時間を進めていた前半であったと言える。

 備忘的に前半の岡山のボール保持攻撃で良かったシーン。
①28:45、濱田から右SBの田中に展開⇒山田が田中に引き付けられた背後のスペースを関戸が突いてクロスを入れたシーン。
②45:27、一森まで下げてから左大外で空いた椋原に展開⇒バイアーノの脇スペースに上田が入ってパスを受ける⇒右大外の田中への展開を匂わせ、山形第二ラインの背後を取った中央の関戸にパス⇒赤嶺のレイオフ経由で田中に展開でゾーン3まで前進に成功したシーン。

無理にゲームを動かさない両者

 岡山のボール保持の時間の長い前半だったが、では山形が防戦一方であったかというと、そうでなかった。立ち上がりの15分を過ぎると、岡山はボールを一度落ち着けようとする振る舞いが目立った。もちろんファストブレイクで攻め切れる場合(主に仲間のドリブル打開からの形)はフィニッシュの形で終わらせようとするが、そうでない場合は無理に攻めるのではなく、一度CBに下げていた。また思いきってGKの一森まで下げる場面も見られた。

 山形も山形で、523(541)のブロックを保ったまま無理にポジションを崩してまで奪いに行こうとする色気は見せず、中央のスペースを空けないことを最優先に守っているようであった。前半の途中から明らかに、岡山が後ろでボール保持される分には構わないという振る舞いになっており、前半は無理にゲームを動かさないようにしようという意図が伝わってくる両者であった。

 そんな姿勢は、山形のボール保持の場面でも随所に見られた。ビルドアップでのボトムチェンジなどのポジションチェンジはほとんど行わず、ポジションを崩さずに最終ラインからダイレクトに蹴る場面が目立った。ロングボールのターゲットは自然とバイアーノになるのだが、バイアーノへの濱田とジョンウォンの対応が良かったので、バイアーノが収めることがほとんどできず、シャドーの坂元や井出が高い位置で仕掛けることができる場面は少なかった。

 前半の山形がロングボール主体になっていたのは、岡山の442守備が機能していたという一因もある。第一ラインのヨンジェと赤嶺は、山形の最終ラインにチェイスするよりもCHへのパスコースを切るようなポジションを取る。その動きに第二ラインの選手(中盤4枚)が連動して縦横のスライドを適宜行うことでスペースを圧縮してコースを制限、山形に蹴らせる形を作ることができていた。またサイドに出た場合はSB(椋原・田中)が上がることで自由を与えていなかった。山形のHV(熊本・ホドルフォ)がドライブするような場面も少なく、一度後方でのボール保持になってからの守備はほぼ大過なくできていた。岡山にとって危険だったのは、ボールロストからの予想外の縦トランジション攻撃くらいであった。

山(形)が動く

 両ゴール前での動きが少なかった前半。どちらかが動かないとこのままスコアレスで終わってしまう可能性が高く、両者の立場を考えると勝ち点1では不満なはず。どちらが先に動くのか、先に動いたのはアウェーの山形。動くといっても攻撃ではなく守備時の振る舞いであった。

 まずは岡山のSBに入った時のシャドーのポジショニングを、CHやCBに戻そうとするパスコースを切るように修正。さらにボールサイドのWBの縦スライド、第二ラインを横スライドさせることでやり直しの逃げ道を無くし、前半は許していた岡山の後方でのボール保持を妨害しようとした。こうなると岡山も後方で時間を取れなくなるので、後半は縦に速く展開することが増えた。
 縦に速くなれば岡山の陣形も間延びし、自分達の攻撃を打ちやすくなるという山形の意図だろう。

 しかしそんな山形の意図に反して立ち上がりにチャンスを多く作ったのは岡山の方であった。縦に速い展開からヨンジェや仲間が高い位置でファールを受ける回数が増え、そこからの上田のセットプレーでゴール前に迫っていた。
 ちなみにこの試合では、前半から岡山がセットプレー攻撃で色々な工夫を見せていた。普段使わないショートコーナーを使ったり、中の守備のタイミングを外すようなテンポでボールを入れたりしていた。失点の少ない山形相手には、セットプレーが重要だということを考えての工夫だろう。もっともそこから得点はできなかったのだが。

 後半立ち上がり10分の流れで得点できなかった岡山。そうなると自然と次の流れは山形に傾くのだが、60分過ぎから山形のボール保持で前半にはなかった動きが見られるようになる。それがシャドーのポジションチェンジであった。特にシャドーが列を下りる動きからパスを受けて中央でプレーする回数が増えていった。61:30には井出が列を下りてボールを受けてからドリブルで打開⇒中央でできたスペースに坂元が受ける⇒右大外フリーの三鬼に展開してクロスを入れるという形を作る。

 山形のシャドーが中央でボールを受ける回数が増えると、大外のWBも高いポジションを取ることができるようになる。さらにHVも攻め上がる回数を増やしてサイドからのクロスから攻勢を強めていく。特に三鬼と熊本の右サイドは両者が相当高いポジションを取っている時間もあった。恐らく60分を過ぎて攻勢を強めていくのは木山監督の試合前からのプランだったのだろう。68分には中央打開の切り札として、井出→南を投入する。

分かっていましたよ木山監督

 そんな前半からの山形の変化に対しての岡山の反応だが、そこまで面食らうという感じではなかった。恐らく有馬監督も、山形は後半動いてくるプランだということをハーフタイムに指示していたのだと思う。

 山形のボール保持攻撃に対しては特段何らかの策を打つというよりは、全体の縦横スライドをサボらず行うことで対応していた。確かに山形に押し込まれる回数は増えていたものの、シュートまで持って行かれていないので問題なしという認識だったような気がする。

 一方攻撃に関しては、山形のボール保持攻撃の回数が増えることで山形のWBが上がる回数が増えるため、上がった背後のスペースを素早く狙うトランジション優先という方針にしているようだった。68分の赤嶺→中野の交代も、ヨンジェとともに相手WBの背後を突いていけ、という狙いだったのだと思う。

 そんな攻撃の狙いがハマったのが73:33からの先制シーン。
①三鬼が上がった背後をヨンジェが取り、仲間が展開⇒②ヨンジェ左サイドから運んで中に折り返し⇒③後方から詰めた仲間のシュートで1-0。
もう一度撃ってみろと言われても難しい、狭いシュートコースを撃ち抜いた仲間のゴラッソではあったが、トランジション時に山形WBが上がった背後のスペースを狙うのは後半特に強調しており、チーム全体で狙いを共有できていたという部分でも非常に素晴らしいゴールであった。

 失点後の山形はバイアーノ→大槻、坂元→北川で前線を活性化させつつ、三鬼と熊本もかなり高いポジショニングで岡山ゴール前に迫る。さすがに岡山もここからボール保持に回るのは難しく、ゴール前への撤退を余儀なくされる終盤であったが、仲間→三村、上田→武田将の交代で運動量を補填しつつ、縦横のコンパクトを最後まで保って逃げ切った。

 試合終了直後の有馬監督のガッツポーズに「狙い通りだ!」というような若干のドヤ顔感がうかがえたのは気のせいだろうか(下動画4:20辺り)。

雑感

・琉球戦とはまた違った趣で、渋ーくゲームを進めつつ、相手が攻勢に出たらそれを利用して得点する。直近の2試合だけ見たら本当の試合巧者である。勝ちを積み重ねることで自信が徐々に確信になってきているのかもしれない。

・関戸の右SHはかなりのハマり役。スタートからは初めてだったが、序盤から右SBの田中と上手く連動して守ることができており、攻撃でも運動量を活かしてのスペースへの飛び出しや意外性のあるドリブルで貢献度が高かった。遂に最適正ポジションを見つけたのではないか。

・上田の帰還、そしてチームとしてのこれまでの積み上げで4222でのボール保持が大分様になっていたことも収穫だし、3バック相手にも縦横を圧縮した442でしっかり守れて決定機をほとんど与えなかったのも収穫。上位相手に勝てたことも嬉しいが、前回対戦でスコア以上にやられた相手に自分達の成長の跡を残せたのが何より嬉しい。

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ファジスキー

百合は癒し
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