柏戦の備忘録-2周目-

前回対戦

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スタメン

プラン瓦解までの6分42秒

 柏のキックオフから早速ヨンジェと中野がプレスをかけに行き、そのプレスに久保田も連続することでいきなりボールカット⇒ゾーン3まで侵入することに成功した岡山の1stプレー。さらにその後、柏ゴールキックからの柏ボール保持でも、柏のボールホルダーに対してかなり強めにプレスをかけに行く岡山。この2つのプレーから見ても、岡山のこの試合のゲームプランとして有馬監督は、「立ち上がりから積極的にボールを奪いに行く」ことを示していたのだと思う。

 いつもなら様子見のロングボールから入ることが多いチームがなぜそういうゲームプランにしたのか。ここからは個人的な推測がかなり強めになるのだが、理由を挙げるとすれば以下の通り。

①柏は前節(栃木戦)で立ち上がりに失点している⇒立ち上がりをある程度意識しているところに柏の出足を挫くようにするため
②ナイターでも30℃以上の暑さの中で、最初に出足を強くプレーすることで暑さに慣れるため
③リーグ4連勝、公式戦5連勝の勢い・良い流れをそのままぶつけるため

 時間は前後するが、24:50の岡山のこの試合最初のCKで、普通に上田がゴール前に入れるのではなく工夫を加えていたので、立ち上がりに奇襲的に前からインテンシティを強めていくことでセットプレー(CK)を獲得⇒トリック気味にセットプレーを行なって先制点を奪う、というのは計画されていたのではないかと推測。仮に先制出来なくても、立ち上がりに奇襲をかけることで柏の出足を挫いて序盤の主導権を握り、後は上手く岡山のボール保持時間を増やしつつ、柏のボール保持攻撃をやり過ごしてオープンなゲーム展開にしないまま終盤までゲームを運びたいという岡山の思惑はあっただろう。

 しかし岡山のそのゲームプラン(推測)が実行されることはなかった。0:52、柏の初めてのボール保持攻撃から岡山がハイプレスに行った前述のシーン、①トップ下(江坂)と左SH(瀬川)が左サイドで近い距離間を保ちパス交換⇒②岡山の守備を右サイドに引き付けてからCB(染谷)に下げて逆サイド展開⇒③フリーで受けた右SB(田中)からの縦パスでクリスティアーノ(以下クリス)がジョンウォンと1対1で勝負させる状況が出来上がったシーンである。このシーンでクリスが中に入れたボールがブロックされて柏のスローインとなり、クリスのロングスローにオルンガの背後から大外の瀬川が飛び込んで柏の先制ゴールとなっている。ここまで長々と書いてきたが、実際にゲームとして過ぎた時間は1分20秒です。

 0-1となってから、今度は柏がマッチアップしやすい状況(基本システムは442同士)を利用して岡山のボールホルダーに激しくプレスに行く。5:03から瀬川が連続して岡山のボールホルダーにプレスバックやプレスを繰り返し行っていた。岡山としては柏にやりたいことを逆にされてしまった格好であった。なお柏としては、立ち上がりから強く行くことは特に考えていなかったはずである。

 そして6:42、クリスの右CKから江坂が頭で押し込んで0-2。1点差ならばまだどうにかできるだろうが早々に2点差にされてしまうとしんどい。岡山の当初のプランは6分42秒で早々に崩れてしまった。

 その後の試合経過としては、2点差となって余裕のできた柏がプレスラインを自陣まで下げることで、岡山の後方でのボール保持に対しては最少人数でプレッシャーをかけて多数を後方に配置。そうして岡山の選手たちを自陣に引き込み背後にスペースを作った上でクリスとオルンガの個人能力を活かしたトランジション攻撃を随所に見せる(特に椋原・廣木のSBの上がった背後を突く)。
 一方どうにか1点ずつ返していきたい岡山だが柏のCH(ヒシャルジソン・三原)とCB(鎌田・染谷)相手に中央を崩すことができず、ヨンジェと中野の前線も背後を取る形もキープもままならず、攻撃に深さを作れなかった。柏が余裕を持ってゲーム運びできる展開もあって、ピッチのほぼ全てのゾーンで柏の質的優位が露わとなる試合となってしまった。かろうじて仲間、田中がどうにかボールを失わずに時間を作れていたというところだろうか。

 試合としては0-4で柏の勝利です。ハイ。

未だ拙い岡山のハイプレス

 ここで終わってしまっては何となく味気ないので、試合の振り返りというよりは岡山が改善すべき部分に関して少し書いていきたい。具体的にはハイプレスの部分。柏戦でもここの拙さを利用されていたので、象徴的だったシーンを一つ挙げておく。

 3:35、柏の後方でのボール保持から、①:CB(鎌田)から左SB(古賀)へのパス⇒②:久保田が古賀に詰めに行く⇒③:古賀からCH(三原)に戻す⇒④:①のシーンでトップ下(江坂)が左に流れることで上田をサイドに引っ張り出し、中央が空いた所に左SH(瀬川)が入って三原からパスを受ける⇒⑤:瀬川がそのまま前を向いてシュートと繋がったシーン。

 前から行くという意識が強い(≒強すぎる)ときの岡山はとにかく人(近くのボールホルダー候補)に食いつきすぎる、それによって全体のポジショニングのスライドが遅れる傾向がある。この試合での柏は、岡山のその傾向をいち早く理解し、442というシステム上最もプレッシャーのかけづらいSB(古賀・田中)を前進の起点に設定、岡山が無理にSBにプレッシャーに行ったところを前進のスイッチとして利用した。横ズレで開いた所にCH(ヒシャルジソン・三原)が入る形を取ることでポゼッションを安定させていた。さらに左サイドではトップ下(江坂)と左SH(瀬川)が近い距離を保ったり、ポジションチェンジを行なったりすることでマークをぼかす形を取っていた。なお右サイドはクリスが突撃するシンプルな形。

 前から取りに行きたいのに前線からの1stプレスが定まらず、それでも一度前から行くと決めてしまっているので芋づる式に人に食い付いてしまうことでフリーな選手、スペースを与えてしまうというのは前半戦でも良く見られた光景。代表的なのが1-5で大敗した横浜FC戦。

 後半戦になって、プレスラインを少し低く設定し、相手のパスコースを制限しつつボールを奪うまたは仕方なく相手が蹴ってマイボールにできるようなプレーが増えてきていたが、まだまだハイプレスではそういったプレーはできていない(もっともTRでは出来る頻度が上がっているから実戦でもやろうとしているのだろうが)。これができるようになれば、もっと主導権を握ってゲームを運べるようになると思うので伸びしろと捉えたい。

雑感

・0-3になった後なので手放しで喜ぶことができるかと言われればそうではないが、後半開始から久保田→関戸となってから、柏の第二ラインの背後のハーフスペースで受けてそこからボールを進めていこうとする姿勢が前半よりは見られるようになったのは良かった。特に後半は柏が省エネでゲームを進めていこうとするのが明らかだったので、フォアチェックが甘くなり、田中やジョンウォンからボールを前進させようとするプレーが増え、上田や喜山からの展開も少しずつできるようになってきていたと思う。もっとも最後の部分ではほとんど何もできなかったわけであるが。

・仲間がボールを失わずにドリブルで運んだり、時間を作ったりできていたシーンが多かったのは一つの驚き。個人的に良かったなと感じたのが、後半開始早々の45:18からの、スローインを受けてからの中へのドリブルでフリーの選手(ここでは中野と関戸)を作ってペナに入る形を作れたプレー。攻撃陣では唯一柏の質的優位に個人で対抗できており、選手としては十分に上でやれるレベルになってきているなと改めて感じた。

・自信を持って挑んでの大敗だけにショックも大きいはず。だからこそここから先のゲームでどういう振る舞いを見せるのか。横浜FC戦の大敗から公式戦5連勝に結びつけたメンタリティを見せてほしいと思います。




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ファジスキー

百合は癒し
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