2023年3月　
2回目の検査入院でもがん細胞は検出されなかった。

WBCで日本が優勝して、わーっと騒いだ翌日、新幹線で実家に向かう。
前の席も後ろの席も隣りの席も外国の方。とにかくジャパンが熱い。
スペイン語は賑やかだな。

実家最寄りの駅ビルでミニブーケを買う。
母は
「あんた買ってきてくれたん！どこのお花屋さんで？」と前回とまったく同じ質問をし、その時テーブルに飾っていた庭の花と色合わせがぴったりだと大喜びしてその花瓶にブーケの花も生けた。
「あんた、かわいいなぁ」
と言うので、振り返ったら花に向かって話していた。

今回のミッションは脳神経外科の受診。かかりつけクリニックからの紹介状を持っていく。
父によると、母はその病院の診察券を持っているはずだと言うのだが、診察券をまとめるカードケースには見当たらない。
紹介状だけで受付をすると、2年前に受診していることがわかった。
脳の検査を受けていたようだ。

受付にはデジタル日めくりが置いてあった。
先月、真っ白なカレンダーを見ても今日が何日かわからないようだったので、デジタル日めくりを買い、実家の壁に掛けた。それとまったく同じものだったので、
これ、うちのと同じだねと言うと
「今日は24日やね」
そこは日本全国同じなんだけどね。

名前を呼ばれて、私もいそいそと立ち上がったら、「ここはお母さまだけですのでね」と制止された。
認知症のテストを受けたみたい。
その部屋から出てきて最初の一言が、
「でけへんかったわ」だったが表情はウヒ！みたいな明るいもので、落ち込んだりはしていなかった。やはり認知症のせいなのか相当陽気になっている。そんなタイプなんだろうか。

次にMRI。
そして診察。
診察室には一緒に入った。
脳の萎縮は見られない。2年前の画像と変わらない。
テスト結果は...

先生が見ているのを横から見ただけだが、年月日は3月だけが正解。
先生が「時が止まってるよ〜」と笑って令和3年。
さっき、24日やねと言っていたのに18日と書いている。

野菜の名前を10個書く問題は5個しか書いてなかった。
じゃがいも、こいも、さつまいも、芋類多い。
さらにカリフラワー、ラディッシュと書いている。もっと身近な野菜がなんぼでもあるでしょうよ。
なぜにカリフラワー？普段そんなに食べてない。見栄を張ったのか？こんなのも知ってます的な？
謎だ。

診断は軽度認知障害。5年以内に認知症に移行する可能性あり。そのスピードが遅いか早いかは個人差とのことだった。脳を活性化させる薬はあるけど、
「まあ飲んだからどうっちゅうことはない」と、先生はミもフタもないことを言った。

母も薬は飲みたくないと言った。

先生は母の生活習慣話を熱心に聞いてくださった後、お薬はかかりつけクリニックでも処方できるので、お母さんが飲んでみようという気になったら、いつでも先生に言うたらええよ〜
とのんびりおっしゃった。
脳神経外科の受診を渋るかと心配したが、意外や意外、スムーズだった。
母に認知障害の自覚があるのかどうかはわからない。

さあランチを食べに行って、午後は母が参加するクラス会コーディネートを一緒に考えよう！