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群馬県沼田市白沢高原温泉望郷の湯

縁もゆかりもないのに懐かしく思う場所がある。
その名もずばり「望郷の湯」
群馬県沼田市にある日帰り温泉だ。

最初は友人夫婦と私と夫の4人で訪れた。
友人夫プレゼンツのミステリーツアーで、ピカピカの新車で迎えに来てくれた。
どこに行くかは知らされず、大泉から関越道に乗って沼田インターで降り、到着したのは吹割の滝だった。

水量の多さに驚きながら水辺を歩く。
雪解け水が流れているのか水辺は涼しかったが、橋を渡り山の方を散策したら汗ばんだ。
次は温泉でひとっ風呂と言う。
いいねぇ
ナイスミステリー!

望郷の湯に到着した。
人混みから解放されて、友人とのんびりお湯に浸かった。
露天風呂からの眺めがそりゃもう素晴らしかった。

広間で休憩してから外に出たら、野菜の直売所があった。
次が人気の川場田園プラザとわかっていたのに、主婦ふたりで新鮮野菜を爆買い。
5月だったので、あちこちにりんごの花が咲いていた。
満開のりんごの花を見たのは初めてかもしれない。

望郷の湯を次に訪れたのは去年の夏だった。

次男は大学4年で院進が決まっているが、研究室の人間関係や研究テーマそのものに悩みを抱えており、ストレスなのか体調が悪そうだった。
顔に見慣れぬ湿疹ができていた。

親と一緒のお出かけなんかにはついてこない次男だが、
温泉行かない?と誘ってみた。
車の運転もできるよと。
次男は免許は取ったが、忙しくてロングドライブはしたことがない。

行くと言う。
話に乗ってくるなんてめずらしい。
私も体調不良を抱えていて、一泊旅行をキャンセルした三連休だった。
日帰りなら安心だ。
あの温泉でのんびりするのもいいだろう。

渋滞する関越道を次男は慎重に運転した。
だいぶ時間はかかったけれど無事望郷の湯に到着。
広間に集合するだいたいの目安を決め、解散して入湯。

男湯と女湯は週替わりの交代制らしい。
開放感はどちらも素晴らしい。
お客様はいるが混雑していないのがいい。

露天風呂の一角に、内風呂にあるような個々の洗い場があって、青空の下でシャワーを浴びることもできる。
男の子のお孫さんを連れた女性がそのシャワーで虹を作って男の子に見せている。
男の子がきゃっきゃと喜んでいる。
いいなあ。
おおらかだな。
気分が晴れる。
男の子は3歳で、活発すぎてじいじはお手上げなんですよ、とその女性が教えてくれた。

お風呂から出て広間に行ったが、夫も息子もいない。
ちょっと館内をパトロールだ。

レストランを見てこようかなんて歩き出した途端に見慣れたバッグとソックスを履いた足発見。
カプセル型のマッサージチェアに夫がすっぽり入っている。
ここにいたか。
まるで無重力空間とかなんとか書いてある。
んなわけない。

ヘッドカバーがパカッと開いて夫が出てきた。
もちろん私もトライだ。
無重力なわけがない。

カバーを閉じて目を瞑る。
15分の無重力空間だった。
記憶もない。爆睡だった。

広間に戻ると息子もいた。
気乗りしなさそうな息子を無重力に連れて行きカプセルに押し込める。
私が外からヘッドカバーを閉じたら中の息子がすぐ開く。
すぐさま閉、開、閉。
カバーを開いてウザそうな顔で
閉めんなよ、
と中の息子が言う。
顔の湿疹がちょっと薄くなったように思える。
お湯がよかったのだろう。

長い廊下を歩いてレストランへ。
河岸段丘の説明パネルやギャラリーのように写真の展示がある。

途中に大きなダイニングテーブルとチェアが置かれたコーナーがあり、
そこが私の祖母の家に似ていてたまらなく懐かしい気分になった。

お座敷のレストランで食事した。
味も美味しいし、こちらも窓からの眺めがいい。

さあお次は野菜直売所
「座•白沢」で爆買いだ。
前回は花に感動したりんごも並んでいる。
「夏あかり」というりんごを買った。
息子がいないと思ったら、
外でソフトクリームをひとりペロペロ食べている。

大学の仲良し友人関係と違って、研究室は上下関係もあるだろう。
同期と言っても考え方の違いがあるかもしれない。
大学でのことは私には何もわからないが、今こそおとな人生の学習どきという気もする。
壁にぶち当たっているのは確かだが、なんとか乗り越えてほしい。

ソフトクリームはめちゃうまかったそうだ。
りんごの「夏あかり」もシャキシャキで大好きな味だった。
自宅近くのスーパーではお目にかかれない。

翌週に、息子が行きたいと言うので、二週連続で行くか〜と笑いながら、また望郷の湯に行った。
祖母の家でもないのに、
おばあちゃん、また来ちゃったよと思った。
夏あかりはもう見当たらなかった。
ハチミツと日本酒を何本か買った。
またソフトクリームを食べている息子。
お子さまか!

吹割の滝も見学して、川場田園プラザにも足を伸ばし、ミステリーツアーをなぞった。

次男は元気を取り戻し、夫も私もほっとした。

「夏あかり」の季節になったらまた行ってみたい。
おばあちゃんも思い出させてくれたし。
とほんわか考えていたら思い出した。
兵庫県の家だけど沼田だった。
おばあちゃんの旧姓は。

私の望郷の「望郷の湯」だ。

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